あの娘②
お祭りで初めてお面を買いました。1500円もするんですね………
「おらぁ、席着けー」
教室のざわめきになかった声にはっ、とした。いつの間にそんな時間になったんだと、ぼんやりと思った。もう少し話していたいのに……と思っていると
「ほら、そろそろ」
「………はぁーい」
佳奈にうながされてしぶしぶ席に戻る。また行くからねっ、と佳奈に向けて念を押した。
そよそよと、ぼろい校舎の隙間風がちょうど前の席の人にあたっている。廊下側の席で風は吹かない。本来なら。まあ、それだけ伝統?のある学校に通っているのだ。
そよそよ、そよそよ
「………………?」
きょろきょろ、きょろきょろ
どうやら風が当たっているのに気づいてないみたい。しまいにはくるっと振り向いて
「………今……私の首もとにふぅーってした?」
あらぬ疑いをかけられた。
「うんや?それは普通に風だよ?」
「うーん、そっかあ」
のんびりとした感じで前を向く
この娘——羽希七香はボブヘアの髪をふわふわさせながらこてん、と首を傾げた。私よりも背が高く、勉強もできるのでよく宿題を写させてもらっている。常にふにゃっとしているので喋っているこちらも和んでしまう。彼女がノートを取り出し始めたのを見て、私も授業の準備をし始めた。