真剣さ
お前には真剣さが足りない
もう少し,将来について真剣に考えろ
私がよく言われることである
別に将来のことを考えていないわけではない
別に遊んでいるわけではない
周りの人が遊んでいるとき
私は我慢してやるべきこと以上のことをやってきた
周りの人が寝ているとき
私は我慢して努力を続けてきた
そんな中私はいつも考えていた
私は何のために生きているのか
私はなんで生きていたいのか
今でもそれはわからない
それでも一つ分かったことがある
私は生きたくないわけではない
だけど生きたいわけでもない
別に今日死のうが明日死のうが私は何も思わない
なぜなら私が怖いのは「痛いこと」だから
物理的なもの
精神的なもの
自分が痛むことがとても怖いのだ
ではなぜ今までは死が怖かったのだろう
それは簡単なことだった
死と痛みを混合して考えていたからだ
だから体験したことのない死を恐れていた
だから世界の外側を恐れていた
しかし,わかってしまえばどうということはない
痛みは死と等価ではないということが
では私が死んだら世界はどうなるだろう
そんなことに興味など一切ない
少なくとも,私はこの世界を観測可能なハードウェアを喪失することになる
それならば,死後の私にとって世界はないものと等価となるではないか
無いものを在るものとして認識できないように
世界の外側を思考することが出来ないように
さらに私は考えてしまう
私がいない世界はどうなるかを
答えは簡単だ
何も変わらない
私一人の力なんてとても小さいものだ
そんな私がいなくなったところで世界は何も変わらない
私のような出来損ないの歯車は
たとえ壊れたとしてもすぐに変えることが出来る
私の代わりなんていくらでもいる
私よりも質の良い歯車なんて腐るほどいる
ああ,だからなのか
そんなくだらないことを考えているから
真剣さが足りないなんて言われるんだ
しかも私はこれまでの思考に対して
真剣に考えたことがあるのだろうか
わからない
わからないから私は
とりあえず今日も生きてみる
真剣さを欠いたまま
ただ惰性で生きてみる