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少女と桜吹雪
はぁ、はぁ、はぁ、
そびえるその木を見上げる
その瞬間目を奪われた
なんとも美しく言葉で言いあらわすことが
できない
ぼくは見惚れるまま立ちつくした。
ふっと気づくと木の反対側に人の気配がした。
僕はすぐさま反対側に向かった。
そこには、
黒い髪の少女が一人泣きながら木にもたれる
ようにして座っていた。
僕は少し驚いたがすぐに声をかける。
「なんで泣いてるの?」
その声に気づいた少女は顔を上げた。
「わからないの、ここがどこなのか」
不安でいっぱいの顔で泣きじゃくっている。
「大丈夫!僕がいるよ」
僕の言葉で彼女は僕の顔をじっと見つめた。
少し照れくさかった、
しばらくして安心したのか泣くのをやめた。
「君の名前は?」
「りょっグスこ」
しゃくりあげながら答えている。
「りょうこだね」
「うん、」
「僕はね、しゅうじ」
「しゅっんじ?」
「そうだよ」
彼女の顔に少し笑顔が浮かぶ。
その瞬間
ぶうぁーと急に二人の間に風がふく。
目の前に桜吹雪が舞う。
「うわあ!!」一瞬彼女から目をそむける。
風がやんだ途端
彼女は目の前から姿が消えていた。
次回の更新には時間がかかります。