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スライム

街を案内してもらえることに

 俺は、エイダとリンに連れられて町へ出ることに。

 案内してもらえるとは言われたものの、彼女らの説明に俺はそこまで期待していなかった。

 だって、二人とも常識はあるかもしれないけど性格的に普通に説明してくれなさそうだしな。

 そもそも、この世界の普通ってなんなんだ?

 俺は、そんなことを考え始める。

 そもそも、この世界に来てから驚きの連続だった。

 勿論悪い方の意味だが。

 もしも、リンが本当に個性が薄く見える世の中だったらどうしようか…。

 俺はそんなことを考えただけでも嫌な汗が流れてしまう。


「壮真よ、さっきから上の空でどうしたのじゃ?」


 リンから呼びかけられたことで、俺は思考を中断する。

 どうやら、最初の案内スポットについたようだった。


「ここが、業務用スライム卸売店じゃ」


 やっぱり最初からまともじゃなかったよ。

 そもそも、業務用スライムってなんなんだ?


「なあ、いきなりボケをかまさなくてもいいんだぞ?」


「ボケてないわっ!」


「ここは、スライムをお得に買えるので割と重宝されているんですよ」


 エイダがフォローを入れるが、そもそもスライムを買うという行為がよくわからないんだよなあ…。


「折角だし買っていきますか?」


 いやいや、買ってどうするんだよ。

 それとも、スライムってモンスターじゃなくて俺の世界にもあるあのネバネバした流動性のある物体の事を言っているのか?


「一つ聞きたいんだけど、スライムって魔物のスライム?」


「よくご存知ですね!ええ、生きている生の生き生きとした生スライムですよ」


 そんなに生を連呼する必要ないよな。

 というか、生き物の方だったか。

 そうなると、ますますスライムを買うという行為の理由がわからなくなってしまう。

 ペットとして飼ったりするのかな?


「これが、食べるとうまいのじゃ」


 食べちゃうのかよ!?

 そもそも、スライムって食べられるんだな。

 俺の世界には無いしそれなら一度は食べてみたいな―


「ソーマさん、人間はスライムなんか食べませんよ。ウロス君とかリンちゃんみたいにモンスター系の血が混ざってるとよく食べるそうですが」


 あっぶねえ。

 騙されかけたよ。


「俺は、この世界の事を全然知らないんだからそうやって惑わすようなことを言うのはやめてくれないか?」


 俺は、リンに注意するが彼女はチロッと舌を可愛らしく出して語尾に☆が付きそうな勢いで軽く誤ってきた。

 可愛らしいけど、こいつ絶対に反省してないな。


「でも、業務用スライムなんて何に使うんだ?」


「主に、訓練用ですかね。小さい子に魔物慣れさせたり、モンスターテイマーというモンスターを育てる職業の方がまだ弱いモンスターに経験値を与えるためによく買っているそうです」


 なるほど。

 それが正しい使い方か。

 そんな話をしているとリンがスライムを買ってきたようだ。

 リンはむしゃむしゃと、スライムを頬張っている。

 本当に食べるんだな…。

 スライムは、ゲル状の物体に目が付いたとってもキュートな魔物だ。

 正直、敵として表れても殺すのを少し躊躇ってしまうかもしれない。

 俺だったら。

 だが、リンはそんなことお構いなしにスライムを食べている。

 リンに齧られるたびに、スライムは断末魔の悲鳴を上げていて見るに堪えない。

 いや、普通に怖いって。

 ギャアアアアアアアと悲鳴を上げるスライムも、それを気にせず食べるリンも。


「おいしかったのう」


 ようやくリンが食べ終わったようだが、心なしかリンが先ほどよりツヤツヤして見えた。

 これが普通なのかと思ってエイダをチラリと見ると、エイダも苦笑いしていたのでこれはきっと普通じゃないのだろう。


「やはり、これ抜きでは生きていけぬな」


「そんなに美味しいのか?」


「うむ、あれは別腹じゃ。壮真もぜひ食べてみるとよいぞ」


 絶対に嫌だけどな。

 少なくとも、あんな光景を見せられて俺は食欲が沸かない。

 というか、食欲無くなっちゃったよ。

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