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エンタレイド社内見学

前回のあらすじ

召喚獣にカツアゲされてしまうエイダ。

主従関係とは一体…

 朝ごはんを食べ終えると、アイリは召喚先へ行ってしまった。

 先ほどの話によれば、今日はヒーローショーに出演するそうだ。


「折角ですし、この後町の紹介もかねて町を回った後にアイリちゃんのショーを見に行きましょうか」


 エイダの提案を俺はありがたく受け入れることにする。

 流石に説明なしで、町を一人で探索するのは無理があるしなあ…。


「それよりも先に社内の見学をさせたらどうじゃ?」


 リンがすごいもっともなことを言う。

 リンって見かけに反してもしかしたら一番しっかりしているんじゃないのか?

 そんなことを思いながらニヤニヤとリンを見つめていると、リンがしまったという顔をする。


「こんな普通の事を言ってしまってはまたキャラが薄まってしまうのじゃないか!?」


 まだ言ってるのかよ。

 もういっそのこと常識人キャラのツッコミ側に回ってほしいところだ。


「リンちゃんの言うことももっともですし、社内を見学しましょうか~」


 その言葉にリンが「おー」と答える。

 それにつられ俺も「おー」と言ってしまう。


「まずは、うちの社訓です」


 元は従業員も多い会社のようだったし、社訓はしっかりしてるよな?


「来るものは拒まず、去る者なんて許さない、来ない者すら引きずり込め。です」


 しっかりしてなかった!?

 普通に怖いよ。


「これって、昔から変わってないのか?」


「いえ、昔の物はダサかったので、時代の変化に合わせ私が今風に1から作り直しました」


「昔の社訓を作った人に謝れっ」


 どうりで、おかしいわけだ。

 そんな会社に何かを頼みたくないし、そんな会社で働くのは嫌だ。

 ただ、そんな会社で働かなくちゃいけないんだよなあ…。


「あっちが、お店になります」


 エイダがそう指さす方にドアがあり、その向こうには雑貨屋のような光景が広がっていた。

 本当に普通だった。

 先ほどまでのやり取りから、俺はてっきりもっとふざけた内装の絶対に人が寄り付かない様な店を想像していたが、本当に普通のお店だった。

 俺は、その光景がいまいち信じられず店の中をじっくりと見て回ったが、何もおかしなところは無かった。


「ソーマさん、何かおかしなところがありましたか?」


 逆だよ。

 おかしなところが何もないから、探し回っちゃったんだよ。


「いや、案外普通だなって。………リンみたいに」


「そうそう、普通じゃよな―ってさりげなく儂の事を普通っていうでないー」


 リンはぴょんぴょんと飛び跳ねて抗議するが、かわいいだけで何の怖さもなかった。

 こういう所は、見た目通りお子様なんだな。


「やっぱり、ソーマさんもこのお店おかしいと思いますよね?」


 エイダは何か勘違いしていないか?

 普通でいいじゃないか。

 むしろ、おかしいと思うあんたの方がおかしいよ。


「私も一度このお店を今風に改良したことがあるんです」


 改良済かよっ!?

 でも、普通だったよな?


「どこを改良したんだ?」


 もしかして、内装に関してはセンスがある方なのか?


「店を全面的に改装したらウロス君に丸1日お説教をされて、ウロス君の指示のもとで戻すことになったんです…」


 やっぱり、センスの欠片もなかったよ。

 でも、エイダめっちゃ不服そうな顔してるな。

 反省の色が全く見えないや。


「今もウロス君に私の考えの良さを伝えようと説得しているのですが、もしよろしければ一緒にやりませんか?」


「ごめん、無理」


 そもそも、俺はウロス君側の考えだ。


「こっちのドアはなんなんだ?」


 そういって、俺は店にあった出入り口とはまた別の扉を指さして尋ねる。

 見た感じ普通のドアに見えるが、どことなく禍々しいオーラを醸し出していた。


「ああ、それはお客彷徨うトイレです」


 え?

 今なんて?

 お客様用トイレじゃなくて、お客彷徨うトイレ?


「えっと…それはどういうトイレなんだ?」


「呼んで字のごとく、一度トイレに入ったら最後。うちの商品をお買い上げするまで、永遠にトイレを彷徨っていただきます」


「横暴すぎるっ」


 酷い商売方法だな。

 というか、彷徨えるほど広いトイレなのかよ。



「こっちが、召喚部屋になります」


 そういって案内されたのは俺がこの世界にはじめてきた場所だった。

 この部屋は先ほどの店の風景と打って変わり、オカルトグッズが所狭しと並べられている怪しい部屋だった。


「この部屋の使用用途はまた今度説明いたしますね」


 まあ、部屋名から説明されなくても大体の用途は理解できそうなんだよな。


「ちなみに、この部屋の地下には拷問…あっ間違えました。モンスターのふれあい部屋があります」


「いま拷問っていったよな!?」


「気のせいです」


 とってもドス黒い笑顔ではぐらかされてしまう。

 この会社怖いよ…。

 拷問という名のモンスターとの強制契約だろうか。

 俺の中で様々な妄想が膨らむ。



「ここは、私たちの居住スペースです」


 今度は、2階に案内された。

 2階にはいくつかの部屋があり、恐らくここの中のどれかが自室となるのだろう。


「ここの部屋と屋根裏部屋だったらどちらがいいですか?」


「ここの部屋がいいに決まってるだろ」


「そうですか。屋根裏が好きそうな顔をしていたのでつい…」


 どんな顔だよ。

 って、俺の顔か。

 初めて言われたから意識したことがなかったな。

 いやいや、屋根裏が好きそうって本当にどんな顔だよっ。


「どこでもいいのか?」


「ええ」


「儂と同室でもいいんじゃぞ?」


「それじゃあ、適当にこの部屋にしようかな」


「無視か!?そういうプレイなのじゃな!?」


 先ほどからMっ気に目覚めてしまったリンに付き合うのがめんどくさかったので、その言葉もさらっと流すことにする。

 適当に選んだ部屋を開けると、その部屋には真っ赤な飛沫が部屋一面に飛び散っていた。

 それはあたかも殺人現場のような、凄惨な光景だ。

 俺は、その光景を見て何もなかったかのようにドアを閉める。


「絶対何かいわくつきな部屋だよな?」


「気のせいです」


「あの飛沫はなんなんだよ」


「この部屋でカラーボールを投げて一人で遊んでいただけですよ」


 それ絶対に楽しくないよな?

 だいたい、その言葉が本当だっていうなら俺と目を合わせてくれよっ!

 俺は先ほどから、露骨なまでにエイダから目をそらされていた。


「べ、別にここで昔の従業員が首切り自殺なんてしてないんだからねっ」


 アウトじゃねえか。

 ツンデレ風に行っても、ダメなものはダメだろ。

 他の部屋も少し怖くなってしまった俺は仕方なく屋根裏部屋に住むことに決めるのだった。

 その時に、「やっぱり屋根裏部屋が好きそうな顔ですもんね」なんて言われてしまったが、あの光景を見た後で他の部屋を覗く勇気が俺にはなかった。



更新が遅くなってしまい申し訳ありません。

今後も遅くなるかもしれませんが、気長に待っていただければ幸いです。

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