ここ、どこですか?
2作目です。
ベタだったり、そうじゃなかったり。
6人のイケメンくんと主人公を上手く絡めていきたいです。
最終的にどうなるのかは作者自身、まだわかりません。
長編になりすぎないよう、上手くまとめたいです。
「まじで!!?乙ゲーみたいじゃん!!」
それがえみちゃんの昔話を聞いた私の第一声。
「そうでしょ?自分でもそう思う。」
彼女の言葉に苦笑が混じるのも当たり前だ。
だって、小学3年生まで男の子6人(しかも全員イケメンだったらしい!)の逆ハーレムの中で過ごしていたって 。
まじで、それなんて乙女ゲーム?
「私が引っ越さなければ、いまごろウフフな状態だったんだけどね。」
ぐおおおお、えみちゃん、なんてもったいないことをっ!
まぁ、引越しならしょうがないだろうけども。
それはそうと、逆ハーレムだったと聞いたら次に気になるのはーー。
「ねぇねぇ、よかったらその男の子たちとのエピソード聞かせて?」
これしかないっしょ!
「まじで!!?乙ゲーみたいじゃん!!」
男の子たちとのエピソードを聞いた後、私は再び声をあげていた。
だって、神社でかくれんぼしてて迷子になって男の子ズが迎えに来て怖かったようわーん(泣)って 。
まじで、それなんて乙女ゲーム?
もしかしてえみちゃん、話作ってます?
「今考えると、自分でもあり得ない状況だったなーと思うよ。」
私の疑問が顔に出てしまっていたのか、えみちゃんは言った。
苦笑交じりに。
「えみちゃんの話だけで、乙ゲーが一作作れるよ!」
まじで、作れそう。
実際、話を聞きながら、私の頭の中ではそれがゲーム画面(選択肢付き)に転換されていたほどだ。
我ながら素晴らしき乙ゲー脳()
その後、私たちは最近した乙女ゲームの話や漫画の新刊、来期の期待アニメについて語った。
語りに語った。
気がついたら日が暮れていたほどに。
「そろそろ帰ろっか。」
座っていたベンチを立ち上がり、言う。
「私も言おうと思ってた!」
笑いながらえみちゃんが言った。
そうして2人は公園を出て、家路についた。
ついた、ハズだった。
ううん、絶対ついた!
ついただけじゃなくて、ご飯食べてお風呂入ってテレビを少しみて歯を磨いてトイレに行ってから日記を書いて寝たハズだった。
いーや、絶対寝た!
なのにここはどこだ???
えーと、とりあえず落ち着こう。
なんでこうなったのか、よく思い出すんだ、私!
数分前、寒くて目が覚めた。
秋に入りかけているのに、半袖半パンで寝るのはまずかったかなーと思って起きたんだ。
寒い。
辺りは暗い。
目に映るイチョウの木。
薄暗い中でも鮮やかに染まった黄色い葉が綺麗だなぁなんて思った。
思って、思った。
「イチョウの木ぃぃぃぃぃぃぃぃ!??!!??」
いやいやいや。
硬く目を瞑り、千切れるほどほっぺたをつねる。
そして目を開くとイチョウの木は消えてーー。
「ねぇぇぇぇぇぇ!!!!」
消えて、ない。
こんな意味不明な状況なのに
「あ、これアニメとかで主人公がよくやるテンプレパターンだ!」
とかどっかで思ってる。
我ながら素晴らしき二次元脳()
じゃなくて!
もういい、ぐだぐだ考えるのは辞めだ。
面倒くさい。
ここで昔から変わらない私の性格を発揮。
幼い頃から一定のところまで考えると、なんかどうでもよくなっちやうんだよね。
例えば、服を買うとき。
小学生のころだったかな?
2枚の服を前にどちらを買うか一時間近く悩んだ。
母も父も
「優柔不断だ」
と呆れていた。
散々悩んだくせに、最終的にどっちでもいいような、どっちもいらないような気になった。
結局、
「どちらにしようかな♪」
ってやって決めたんだっけ。
例えば、中学校の美術の授業。
凝りに凝りまくった彫刻。
放課後居残ってまで作っていた彫刻。
数日かけてやっと半分できたころ、なんだかいらないものに見えてきた。
それを捨てて、みんなが彫ってるのと同じようなデザインのをその日に作って提出した。
要するに、私は飽き性なのかもしれない。
そして今、考えることに飽きた私は、見えるもの全てを信じることにした。
もう、深く考えるの面倒くさい。
夢ならどうせ、覚めるでしょ。
開き直った私は改めて辺りを見回す。
イチョウの木が何本も並んでいる。
あとは何もない。
ここって公園?
いつもえみちゃんと話す公園とは違うみたいだけど。
冷たい風が吹く。
寒い。
やっぱ、半袖半パンで寝るのはまずかったなぁ。
てか、今何時なんだろ?
空の明るさから判断するに、真夜中ではないようだ。
朝の4時すぎくらいだろう。
ここにずっといても仕方がないと思った私は、立ち上がった。
とりあえず、ここがどこか判断しようと思った。
寒い。
家に帰りたい。
私は歩き始めた。
イチョウ林は思ったよりも広かった。
寒い。
半袖から伸びる、自分の腕をさすりながら歩く。
しばらく歩くと、視界が開けた。
開けた、けどーー。
目に映ったのは石畳。
そして、お賽銭箱。
「なんで神社?」
思わず口に出した自分の言葉に重ね、私の名を呼ぶ声がする。
声の方を見やると、恐ろしく綺麗な男の子が6人、こちらに向かってかけてくるところだったーー。