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第五話 ギルドで転職。目指せ!グラップラーキング

 このゲームでは転職システムは比較的充実していると思う。

 なぜなら、盾士でもちゃんとレベルが上げられるようになっているから。

 前に言ったように、初級職の武器は冒険者は全て装備できる。そして、それを使って熟練度をある程度上げて技を覚えてから本職に転職するという方法がある。

 だが、職業の中にも特定のスキルはその本職でしか手に入らない。

 その職業の最終技やバフ系統のボーナス。

 盾士には露骨にそれが出ていて、『盾士』というその職業で手に入るスキルの半分はバフというものだ。

 そして、そのボーナスはもちろん防御。盾でも殴れば他の武器並みとまでは行かなくても、ちゃんとダメージは与えられるので、最初の階層で雑魚狩りで熟練度を上げる輩がいるのだとか。

 まったく。迷惑なのでやめてほしい。

 ちなみに、盾士の熟練度の上げ方は盾を使った防御、または攻撃。なので比較的他の職業と比べて熟練度があがりやすい。なのに雑魚狩りをするのはおそらく、早めに戦闘で生かしたいということなのだろう。どれだけ需要高いんだよ盾士。

 これは、ネットでの情報なのだが、β版では、『拳闘士』の初級スキルというものがあった。それは全部バフ系スキルだったため、運営に報告され幻の職業『戦士』というものがあった。

 閑話休題

 そして、『拳闘士』というその職業は盾士と比べて圧倒的に需要が低い。どれくらい低いかというと、社長を前にした平社員の頭ぐらい低い。もっとひどい言い方をすると、女勢力の強い家族の中での父親の威厳くらい低い。

 もう、『拳闘士』というその職業が遊びで作られた職業じゃないかとすら言われている。

 だけど『冒険者』の廃人は『拳闘士』もちゃんとコンプリートしている。

 真の廃人プレイヤーは『冒険者』と言ったな。あれは嘘だ。


 実は個人序列というものがある。それは、この世界の掲示板に張られており、ついでにスレッドなんかも立てることができる優れものだ。

 ぶっちゃけたことを言うとその序列ベスト10の中に『冒険者』はいない。

 確かに、全職コンプしたあとの、『冒険者』は廃人として申し分ない。いや、本当に。下手にそのプレイヤーに挑むと並みのプレイヤーは返り討ちにあうぐらいに強い。だが、器用貧乏の代名詞『冒険者』本職に勝てないどころか冒険者と相手の相性が廃人プレイヤーのほうが強かったとしても敗北する。

 どんだけそいつおかしいんだよとか言いたいが、そんなレベルじゃない。


 ためしにベスト5まで並べてみよう。

1位 まっかさまさ  盾士

2位 棟梁さん    双剣使い

3位 ちくわ     銃使い

4位 となりのド○ロ 拳闘士

5位 ああああ    片手剣使い


 分かっていただけただろうか。

 この世界においてネタ職業扱いされている拳闘士が第4位にランクインしていることに。

 これは、原因不明のバグが起こる以前のものなので、間違いがおきようがない。

 1年経って少しずつよりクオリティが増してきているこの中、この不動の5人のプレイヤーは負けたことがほとんどない。

 そして、苦戦していてもこの5人の決闘でHPがイエローゾーンに入ったことは1度も無いとさえ言われている。

 僕はこれから上を目指そうと思う。序列ベストテンは無理でも序列100位ぐらいまでは上り詰めたい。

 この世界で半年あれば多分うまくいくはず。いくぜ!『拳闘士王』にオレはなる!

 いや、そんなスキルも職業もないけどね。

 だけれど、職業には必ず何か一つ隠し攻撃スキルというものがある。

 あるいは隠しレアスキル。

 それは、ネットでの情報アップを規制されるほどだった。だけれど、どの職業にも『ある動き』と熟練度があると自然と会得するスキルであるとネットには書かれている。

 それを会得する方法はちょっと分からないがそのうち覚えることだろう。

 今回の僕は、ギルドに行ってグラップラーになる手続きをして、あわよくばパーティに入れてもらおうと思う。

 今の時刻はゲーム内で16時。今日はこれでやめようと思う。だが、外ではほとんど時間がたっていない上にログアウトができないので宿屋に泊まるという方法をとらなければならない。

 だが、ここには『FPSにいる全プレイヤー』がいる。宿屋の部屋数も足りないし、ここを拠点にするプレイヤーたちに泊めてもらおうとしても、泊められるプレイヤーの数には限りがある。そして、レベルや攻略状況もリセットされたので、ステータス状況はみんな同じ。急いで次の町へ行こうにも、スキルだけで次の町へいけるほど、このゲームは甘く作られていない。

 今日は、路上生活をするプレイヤーもいることだろう。

 だけれど、懸念するべきは一つ。『ゲームオーバー』だ。スキルもレベルもリセットして最初から。

 つまり死ねば冒頭から。セーブはあくまでログアウトするときのものであり、『死んでも大丈夫』というふうにはなっていない。このゲームのシビアさは多分一日で十分知ることができたと思う。

 路上生活すらできないプレイヤーは夜通しプレイをするということになる。

 とりあえず、ギルドに行って『拳闘士』として登録しなくては。


「すみません。職業を変えたいんですけど!」

「はい。では、どの職業に転職されますか?」


 ギルドにいるNPC女性キャラの受付さんが丁寧に返してくれる。


「『拳闘士』で」

「『拳闘士』ですね。かしこまりました」


 すると、周りの人間から奇異の視線を向けられた。だが、気にしない。

 まあ分からなくもないんだけどさ、そういうのは掲示板で書き込めよ。本人に失礼だろ?掲示板に書き込んでも失礼だけどさ。


「登録が完了しました。では、またのご利用をお願いします」


 ひそひその声を背中に受け僕はギルドをあとにした。

 早速掲示板をのぞいてみると。


1. 無名の名無しさん

 ついさっき、ギルドで『拳闘士』に転職しているやつがいたww


2. 名のある名無しさん

 >>1

 マジかよ。あれってネタ職業だろ。序列のとなりのド○ロさんみたいにはそうそうなれないぜ?


3. 名乗るほどでもない名無しさん

 >>2

 でもあれだろ?逆に言えばネタ職業でも極めればの究極系じゃねえか?ならそこまで気にする必要もなくね?


4. √の存在さん

 >>3

 自演乙


 あまりにも好き放題書かれていたので、ちょっといたずらしてやった。


5. 拳闘違いさん

 >>1~4

 オレ、参上!


6. 無名の名無しさん

 ガタッ!


7. 名乗るほどでもない名無しさん

 ガタッ!


8. 名のある名無しさん

 ガタッ!


9. かまいたちさん

 君も『拳闘士』なんだ!

 よろしく!


 同じ職業らしき人からも書き込みが来た。


10. 拳闘違いさん

 よろしくおねがいします!先輩!


 かまいたちさんは僕の中で一瞬で尊敬する人になった。なぜかって?普通の人そうだったから。

 あれだよ。先輩は不良とかじゃない限り尊敬する。基本的には。

 それにしても、今日はあっという間だな。うん、あっという間だった。

 小説の一章を飾れるほどには長かったんじゃないだろうか。

 1日が終わり、現実世界での1分が終わる。運営も現在進行形でバグをつぶしていることだろう。バグの原因を突き止めることができれば僕らは現実に戻ることができる。僕は掲示板を閉じた。


 ふと、『FPS』にログインしたときのノイズのことを思い出した。今までのことを考えると、このゲームは『クリアできるまでログアウトできません』と伝えようとしていたのではないか?ゲームオーバーになれば全て最初から。

 この仕様は、『公式』で存在するものだ。ログアウトバグは『非公式』そして、ゲームオーバーになると現実に戻る仕様が各MMOではある。ということはだ。『今このタイミングでゲームオーバーになればどうなるのだろう?』

 僕は早速、掲示板を起動させてスレッドを立ててみた。


本当に申し訳ございません。

前々回投稿しようと思っていたのに投稿できなかったのでその分と前回、今日に加えてお詫びに1話投稿しました。

 誤字脱字の指摘はお願いします。

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