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第二十話 町の探索

「ふう、やっとついた!」


 僕たちは鎌という兵器を仲間にして、アルムの町にやってきた。

 実際鎌は攻撃力が高いうえにHPもあり『再生』のスキルで回復も早い。前衛で攻撃を食らってもちょっとやそっとじゃ死なないだろう。

 でも、さすがに『パーティが全滅しない限り蘇生する』というのはかなりチートなスキルだと僕が鎌に言ったところ、


「あのスキルは取得条件が難しいからそれくらい良いんじゃない?」


 と返された。実際鎌の『再生』のスキルについて知っているやつはほとんどいないようでちょっと再生力を上げるスキルといえば納得してしまいそうな代物なのが意外だ。

 ちなみに鎌の知る限り『再生』のスキルの取得方法を知っている人物は30人ほどだそうだ。もちろん、そいつらの約8割は鎌が教えたものだ。お金をとるという割に取るお金は実に良心的なのは鎌の安心設計。

 料金30000ニュール。18000ニュールは鎌たちの取り分で12000ニュールは必要なアイテムなどを買う資金にしているそうだ。

 ………なんかシュール。そういえば、ニュールニュールと描写していると本当にべとべとしてしまいそうなので、Nと表記しよう。

 実際メニュール画面でもNと表記されている。

 あれっ?変なところで混ざった。


 グー…………


「お腹減ったな」


 僕はそうつぶやくと鎌は同調して言った。


「うんそうだね。僕も少しお腹が減ってきたかな。丁度お昼時だしみんなでご飯を食べよう。料金は僕が持つから好きなものを食べて」


 鎌はそう言って、僕らを近くのお食事処に連れて行ってくれた。とは言っても宿屋だが。

 この世界のご飯は本当に再現度が高い。

 カレーには特有の辛さがあり、ちゃんと匂いもする。

 食欲は最高のスパイス。カレーだけに。あ、今うまいこといえたかな。

 いやいやそういうことではなく。

 ご飯というものは人類の動力の源でありすなわち、ご飯=命といっても過言ではない。

 それは、どんなものであれ等しく文化の象徴である。

 パン、パスタ、ナン、米、、ジャガイモ、それは文化の根底にあるものであり、今までその国の礎となってきていたものである。

 日本の米一粒に七柱の神様がいるという素晴らしい教えを噛み砕いて神様をその身で食し我は最強の力を得るのだ。ハハハハハハハハ!

 …………ごめんなさい途中から何かに憑かれてました。


「はいはい、ご飯について語るのは良いからさっさと食べなさい。冷めるわよ?」

「いただきます」


 僕はカレーライスをいただいた。

 そういえば、何でナンが出てこないのだろう。

 僕、ナンを食べてみたかったんだけど………ショボン、著者献本。

 何を言いたいのか分からなくなってしまった。


 それよりもカレーだ。こんなときによく分からないネタに走っている場合じゃない。

 僕はそのカレーをスプーンですくい、口元へ運ぶ。カレー特有のにおいが鼻孔をくすぐり僕の食欲を刺激する。

 お腹はすでに受け入れ準備万端状態。

 さあ、食事タイムだ。

 そのカレーを口に入れると、口いっぱいに広がる辛味。舌を刺激するその辛さに思わずコップに手を伸ばすも辛さが引いていく。

 飲み込んだあとには、何も残らない。ただ、口がもっとカレーをよこせといっているだけ。

 その衝撃に駆られ、再びスプーンでカレーをすくい、口に運ぶ。

 次に目を付けたのはジャガイモ。ごつごつとした大きい実からは考えられないほどの程よい食感と歯ごたえが口の中に広がりわずかな甘みが口の中に広がる。

 次ににんじん。まあ、これもジャガイモと同じように甘い。だが、ただ甘いだけでなく、そのやや固めの歯ごたえが、カレーの辛さを際立たせ更なる欲望を掻き立てる。

 たまねぎとご飯とルーを一緒にすくい、それを口に運ぶ。

 たまねぎは煮たり、焼いたりすると甘くなる。これも再現されており、その薄い実は決して強すぎる味ではなく、ご飯とルーを調和させるためにわずかな甘みを取り入れたようになっている。

 僕はそのカレーを見事に平らげ、お代わりまでしてしまった。

 鎌が良い食べっぷりと褒めていたが、調子に乗って三杯目までいこうとしたところでタマによる本気の空手チョップで僕の夢は潰える。僕のお腹はまだ満足していないというのになんてことをしてくれるのだろう。

 うらむぞこのロリ。食べ物の恨みは恐ろしいんだぞ。分かってんのか?


「あんた、いい加減にしなさい!食べすぎよ!」

「ええ、いいじゃないかケチ!」

「ケチはお前だ!この馬鹿トウマ!」

「馬鹿と馬。ふむ、馬が二頭か。鹿も一頭加えたほうが良いかもしれない」

「ねえ、鎌何の話をしてんの!?」

「しかも鎌に払わせてるんだからちゃんとお礼も言わなきゃ!」

「ありがとう鎌、とってもおいしかったよ」

「はいはい、その口についたカレールーを落としてからしゃべりましょうね。カールお○さんみたいになってるからね」


 とタマが僕の口元を拭いてくれた。なぜかこういうときには、お姉さん属性を発揮するんだよな。でも、やっぱりロリといわれるような低身長が原因のせいで、そのお姉さん的な威厳も身長差によってかき消されてしまった。

 彼方がなんかとても怖い目で見てきてたのは気のせいだろうと思いたい。

 僕らの話は終始盛り上がった。

「それよりもこれからどうする?」

「町を探索したいんだけど!」

「そういえば、あんたはプレイ始めたばっかりだからここに来るのは初めてなのね。じゃあ、お勧めの場所をみんなで案内しましょ?」

「賛成!」「……賛成です」

「じゃあ、二人からの了承を得たところでトウマ、行くわよ!」

「あ、ちょっと!あ、足!足が攣った!待って!痛い!」

「このパーティは面白いなあ」


 僕の悲鳴は空しく街の中に解けていき、僕への街の紹介が始まった。


 最初に来たのは商店街。

 もちろんここでは生産職のプレイヤーたちが店を出している。今は材料の種類が少ないためコストパフォーマンスがものを言うような感じになっている。

 これを買えばおまけに○○。これはどの辺の敵に有効な防具(あるいは武器)だから、いくら。

 といったように商売性を競う形になっている。

 これって、ここで商売極めれば現実でも商売がうまくなるのでは?

 叩き売りにいたってはそういうことも可能だと思う。


 僕はずっと皮装備だったため、銅の鎧や篭手なども買った。お金はまだそこそこ余裕があるので大丈夫だろう。


 そうすることで、今の僕の装備はこれだ。

   トウマ LV.9

 装備 武器 素手

     腕   銅の篭手

     胴   銅の鎧

     腰   銅の腰巻

     足   銅の足甲


 全体的に、少し重くなりすばやさにマイナス補正がかけられる。


 今の僕のステータスはこの通り。

 攻撃力  87

 防御力  73

 スタミナ 120(初期値100)

 魔法攻撃 17

 魔法防御 27

 すばやさ 73

 魔力     0

 器用さ   56


 これでしばらくはまた戦えるだろう。タンクのせいで装備の残りHPも少なかったみたいだし、丁度いい。

 少し慣らすために構えて拳を放つ、けりを放つといった一連の動作を人のいないところでやる。

 当たり前だろ?間違って人に当たったらどうするんだよ。

 これで、タマの紹介は終了。

 ちなみに僕のステータスは、平均と比べてみると攻撃とスタミナ、すばやさが高く、魔法系統へのステータスは低い。脳筋というイメージが強いのだろうか。


 鎌は、


「ここは、道場というかステータス調整所みたいなところかな?ステータスを微調整できるんだ。でもそこまで大きな改変はできないから、本当に微調整程度にここでステータスを上げるくらいしかできないよ」


 鎌の紹介した場所は『アルムパワージム』と力強い筆文字と燃え滾る男の背中の筋肉といういわゆるマッチョな男の人がメインに描かれた看板がかかっている。

 だが、その看板には『バグにより一時使用不可とさせていただきます』の文字。

 残念そうに眉を八の字に下げた鎌だったが、笑顔だけは崩れないのはすごい。でも、どうして常に笑顔なんだろう?今度聞いてみよう。


 そして最後に彼方。

 彼女が紹介してくれたのは教会の屋根の上だ。

 一応システム上、上れないことはないのでその上にみんなでジャンプを使って跳ぶ。

 一度では上れないので一回他の屋根を経由して何とかその屋根の上に上る。

 そこから、見た景色は絶景の一言に尽きる。今はまだ昼過ぎくらいなので日はまだ上に煌々と輝いているが、夕日なんかをここで見るには十分だ。

 町の様子も伺えるのでこれはいい場所だ。

 前者は確かに『お勧めの場所』といえばそうなんだけれども、こういうのを求めていた。

 僕、ここが気に入ったな。

 そして、今日の探索は終わり、ギルドを探してギルドに向かう。

 とりあえず、ギルドでサブ職業を登録するためだ。

 僕は何になろうか決まっているのでそれを口にする。掲示板で各職業の特徴やスキルを調べてこれに決めた。


「『神父』でお願いします」


 神父の職業は味方のバフを目的とした職業であり味方の守りの一つといえるだろう。それだけでなく、魔法攻撃や上がりの遅いスタミナも上昇する。

 すると、スキルがたくさん出せるようになり、なおかつ、攻撃力を上げた上でその攻撃も放つことができる。スタミナは熟練度がそこそこないと無理なのでもしかしたらスタミナアップのスキルは出ないかもしれないが、それでも、攻撃アップのスキルは一番最初に覚えるのでそれで良いだろう。


 神父は熟練度を上げるのに武器の制限は素手か、杖なので拳闘士とも比較的相性がいい。しばらくすれば僕の火力もさらに上がることだろう。

 となると、やはり今度のターゲットは盾士か………。

 いや、素手でも上げれないと困るでしょ。剣や槍とかいった、それ系統の職業はちゃんと杖を装備しないとその職業の意味はないけれど、神父にいたっては杖や素手でもオーケー。ちなみに忍者は短刀という専用武器種が必要になるため、忍者になった直後しばらくは短刀を得るための期間となる。

 

 そう思いながらタマたちと街を歩いていた。

 すると、出会ってしまった。

 僕が半ば見捨てるように別れてしまったクイナと。

 思わず一瞬放心したが、向こうはそれ以上にショックが大きそうだ。なぜか分からない。一緒にいるのはリョウカさんと立ち居振る舞いでなんとなくベテランと分かるプレイヤーさんがたが数人。

 膠着をした僕を見て、タマが僕に話しかけてきているが耳に入らない。

 それ以上に僕の目に映ったクイナの行動のほうが僕は釘付けになっていた。


 彼女は僕を見て、驚いて、そして、涙を出しながら僕の目の前から消えていった。

 僕、一体どうすればいいのでしょうか。

 キャラ紹介 No.4 鎌

 固定パーティ『デルタライン』のリーダー。

 いつも笑顔を絶やさず、どんなときにも目は細くしている。これは彼なりの理由がある。

 普段はどことなく普通な感じもするが実際は中二病。前まではたまにちょこちょこ中二発言をする程度だったのにこのゲームを始めてから中二病が悪化。

 顔は中性的でどんな人にでも等しく接する。

 一部女性プレイヤーからの受けがいい。二つ名持ちで『アンデッドプレイヤー』『狂戦士』『主人公(笑)』

 『主人公(笑)』はプレイヤーたちが親しみを持って付けたものだ。

 おっと、シリアスな展開。つまり、次回作者が燃え尽きます。


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