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不合格から始まる聖医の絆 ―踏切を越えた先、異世界で命を繋ぐ―  作者: ねこあし


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第55話 「希望の光」

 馬車の中


 六人は、沈黙していた。


 馬車は、南へ進んでいた。


 氷結の地から離れ、安全な場所へ。


 でも、心は重かった。


 闇の王に、完敗した。


 六人全員で挑んでも、歯が立たなかった。


 どうすれば、勝てるのか。


 誰も、答えを見つけられなかった。


 あかねは、折れた槍を見つめていた。


 真っ二つに折れた槍。


 闇の王の一撃で。


 自分の力が、足りなかった。


 封印を強化できなかった。


 闇の王を、止められなかった。


 涙が、止まらなかった。


「あかね……」


 セリアが、あかねの肩を抱いた。


「大丈夫よ」


「大丈夫じゃないわ……」


 あかねが震える声で言った。


「私の力、全然足りなかった……」


「選ばれし者なのに……」


「三つの封印を強化したのに……」


「全ての力を手に入れたのに……」


「闇の王には、全く歯が立たなかった……」


「私、どうすれば……」


 あかねが、泣き崩れた。


 セリアが、あかねを抱きしめた。


 他の四人も、あかねの周りに集まった。


「あかね、聞いて」


 セリアが優しく言った。


「今回、負けたのは確かよ」


「でも、それで終わりじゃない」


「私たちは、まだ諦めてない」


「そうだ」


 トムが続けた。


「俺たちは、何度も困難を乗り越えてきた」


「グレートベア、ドラゴン、戦争、封印の旅」


「全部、みんなで乗り越えた」


「今回も、きっと乗り越えられる」


「でも、どうやって……」


 あかねが尋ねた。


「闇の王、強すぎる……」


「今は分からない」


 ダリウスが答えた。


「でも、必ず方法はある」


「一緒に、探そう」


「うん……」


 あかねが、涙を拭いた。


 そうだ。


 一人じゃない。


 仲間がいる。


 みんなで考えれば、きっと答えが見つかる。


 あかねは、少し元気を取り戻した。


 夕方、村に到着


 馬車は、小さな村に着いた。


 でも、村は荒れていた。


 家々は壊れ、人々は怯えている。


 魔物の襲撃があったようだ。


 六人は、村人を助けた。


 怪我をしている人を治療した。


 壊れた家を修理した。


 魔物を倒した。


 村人たちは、感謝した。


「ありがとう、冒険者さんたち」


 老婆が、六人に言った。


「あなたたちが来てくれて、助かりました」


「いえ……」


 あかねが申し訳なさそうに言った。


「私たちが、闇の王を止められなかったから……」


「こんなことになってしまって……」


「そんなことないわ」


 老婆が、あかねの手を握った。


「あなたたちは、三つの封印を強化してくれた」


「それで、私たちは数ヶ月の猶予を得た」


「準備する時間を得た」


「だから、感謝してるの」


「それに、あなたたちはまだ諦めてないでしょう?」


「はい……」


 あかねが頷いた。


「私たち、まだ戦います」


「闇の王を、必ず倒します」


「そう。その勇気が、私たちの希望よ」


 老婆が微笑んだ。


「だから、頑張って」


「私たちも、応援してる」


「ありがとうございます」


 あかねが、老婆を抱きしめた。


 そうだ。


 自分たちは、人々の希望だ。


 諦めるわけにはいかない。


 どんなに強い敵でも、戦い続けなければならない。


 その夜


 六人は、村の宿屋で休んでいた。


 疲れ切っていたが、眠れなかった。


 闇の王のことを考えると、不安で一杯になる。


 あかねは、一人で外に出た。


 星空を見上げた。


 でも、星が少ない。


 黒い雲が、空を覆っている。


 闇の王の影響だ。


 その時、紋章が温かくなった。


 あかねは、左手首を見た。


 紋章が、微かに光っている。


 そして、声が聞こえた。


『汝、絶望するな』


 紋章の声だ。


『闇の王、強大なり』


『されど、汝には力あり』


『まだ、真の力に目覚めておらず』


「真の力……?」


 あかねが呟いた。


『汝、三つの力を持つ』


『地の力、風の力、光の力』


『そして、統合の力、炎の心、絆の力』


『全てを統合せよ』


『真の統合を成せば、真の力が目覚める』


『その時、闇の王と戦える』


「真の統合……」


 あかねが考えた。


 今まで、統合の力は使っていた。


 でも、それは三つの力を一つにするだけだった。


 真の統合とは、全ての力を一つにすること?


 地の力、風の力、光の力、統合の力、炎の心、絆の力。


 全てを、一つに?


『その通り』


 紋章の声が答えた。


『全てを統合せよ』


『そして、仲間の力も統合せよ』


『真の絆の力、それが汝の最強の力なり』


「仲間の力も……」


 あかねが、後ろを見た。


 セリア、リーナ、エルミナ、トム、ダリウス。


 五人が、そこに立っていた。


「あかね、一人で考えてたの?」


 セリアが微笑んだ。


「ずるいわよ」


「みんな……」


「俺たちも、考えてたんだ」


 トムが言った。


「どうやって、闇の王を倒すか」


「そして、分かったんだ」


「一人じゃ、無理だって」


 ダリウスが続けた。


「でも、みんなでなら、できるかもしれない」


「六人の力を、一つにすれば」


「そうね」


 あかねが微笑んだ。


「紋章も、同じことを言ってた」


「全ての力を統合しなさいって」


「仲間の力も統合しなさいって」


「じゃあ、やりましょう」


 セリアが言った。


「六人の力を、一つに」


「『銀の絆』の真の力を、見せましょう」


「うん」


 六人は、手を重ねた。


 その時――


 六人の体が、光り始めた。


 金色の光。


 あかねの紋章から放たれる光。


 光が、六人を包んだ。


 そして、六人の心が一つになった。


 絆が、見える。


 セリアとの絆。


 リーナとの絆。


 エルミナとの絆。


 トムとの絆。


 ダリウスとの絆。


 全てが、金色の糸で繋がっている。


 美しい光景。


 これが、絆の力。


 光が、消えた。


 六人は、何かが変わったことを感じた。


 力が、増している。


 一人一人が強くなったのではない。


 六人が一つになった。


 これが、真の絆の力。


 翌朝


 村に、魔法の光が現れた。


 転移魔法だ。


 光の中から、七人が現れた。


 凛、エルヴィン院長、そして四天王。


 フェンリル、アリア、ガルム、ルミナ。


 全員が、駆けつけてきた。


「銀の絆!」


 凛が駆け寄ってきた。


「無事だったのね!」


「凛さん!」


 六人が驚いた。


「どうして、ここに!」


「闇の王が復活したと聞いて」


 エルヴィン院長が答えた。


「すぐに駆けつけました」


「あなたたちを、一人にはできません」


「ありがとうございます」


 あかねが涙を流した。


「でも、闇の王は強すぎます……」


「私たち、完敗しました……」


「聞いています」


 フェンリルが厳しい表情で言った。


「だが、諦めるな」


「お前たちは、三つの封印を強化した」


「世界を救おうとしている」


「その勇気が、何より大切だ」


「それに、今度は一人じゃない」


 アリアが微笑んだ。


「私たちも、一緒に戦います」


「四天王全員で」


「本当ですか!」


 六人は驚いた。


「ああ」


 ガルムが頷いた。


「闇の王は、世界の敵だ」


「全員で、倒さなければならない」


「それに、ギルドからも援軍が来ています」


 凛が言った。


「Aランク、Bランクの冒険者たち」


「総勢五十人以上」


「みんな、闇の王と戦うために集まりました」


「五十人……」


 セリアが驚いた。


「ええ。世界中から、勇者たちが集まっています」


 エルヴィン院長が続けた。


「闇の王を倒すために」


「これは、世界全体の戦いです」


 六人は、感動した。


 自分たちは、一人じゃない。


 世界中の人々が、支えてくれている。


 共に戦ってくれる。


 これが、希望だ。


 午後、作戦会議


 村の広場に、全員が集まった。


 六人、凛、エルヴィン院長、四天王。


 そして、自由都市連合から来た冒険者たち。


 ギルドマスター、レオナルド、他のAランク冒険者。


 総勢六十人以上。


 全員が、真剣な表情だった。


「まず、状況を確認します」


 エルヴィン院長が、地図を広げた。


「闇の王は、北の氷結の地に復活しました」


「そして、その力は世界中に広がっています」


「魔物が活性化し、各地で被害が出ています」


「このままでは、世界は滅びます」


「だから、闇の王を倒さなければなりません」


 院長が、六人を見た。


「銀の絆、闇の王と戦った経験から、敵の力を教えてください」


「はい」


 セリアが前に出た。


「闇の王は、圧倒的に強いです」


「私たちの攻撃は、ほとんど効きませんでした」


「速度、力、防御、全てが桁違いです」


「六人全員で挑んでも、一瞬で倒されました」


 冒険者たちが、ざわめいた。


 Sランク相当の六人が、一瞬で?


 どれだけ強いんだ。


「でも、弱点はないんですか?」


 レオナルドが尋ねた。


「分かりません……」


 あかねが答えた。


「攻撃が効かなくて、弱点を探す暇もありませんでした」


「そうか……」


 全員が、沈黙した。


 どうすれば、勝てるのか。


 その時、エルヴィン院長が口を開いた。


「闇の王には、弱点があります」


「え?」


 全員が驚いた。


「千年前の記録に、記されています」


 院長が、古い本を取り出した。


「闇の王の弱点は、『心臓』です」


「心臓には、闇の核があります」


「それを破壊すれば、闇の王は倒せます」


「でも、心臓は鎧の下にあります」


「鎧を破らなければ、心臓に届きません」


「鎧を破る……」


 フェンリルが考えた。


「だが、銀の絆の攻撃でも鎧に傷一つつかなかった」


「どうやって、破るんだ?」


「一点集中攻撃です」


 院長が答えた。


「一箇所に、全ての力を集中させる」


「そうすれば、鎧にひびが入るかもしれません」


「そして、そのひびから心臓を狙う」


「なるほど……」


「でも、誰が一点集中攻撃を?」


 ギルドマスターが尋ねた。


「あかねさんです」


 院長が、あかねを見た。


「選ばれし者の力なら、可能です」


「全ての力を統合し、一点に集中させれば」


「鎧を破れるかもしれません」


「私が……」


 あかねが震えた。


「でも、私一人じゃ……」


「一人じゃありません」


 凛が言った。


「私たち全員が、あなたを支えます」


「みんなの力を、あなたに集中させます」


「そうすれば、必ず勝てます」


「みんなの力を……」


 あかねが、仲間たちを見た。


 六人の仲間。


 凛、院長、四天王。


 冒険者たち。


 全員が、あかねを見つめている。


 信頼の目。


 期待の目。


 あかねは、決意した。


「分かりました」


 あかねが力強く言った。


「私、やります」


「みんなの力を借りて、闇の王を倒します」


「よく言った」


 フェンリルが微笑んだ。


「では、作戦を決めよう」


 作戦会議は、三時間続いた。


 詳細な作戦が決まった。


作戦「希望の光」


第一段階:囮作戦


Aランク、Bランクの冒険者たちが、闇の王の注意を引く

四天王が、闇の王を牽制する

闇の王の動きを制限する


第二段階:魔力集中


エルヴィン院長、凛、他の魔法使いが、あかねに魔力を送る

あかねが、全ての力を統合する

仲間の力も統合する


第三段階:一点集中攻撃


あかねが、統合した力で闇の王の鎧を攻撃する

一点に集中させ、鎧にひびを入れる


第四段階:心臓破壊


鎧にひびが入ったら、六人が連携して心臓を狙う

セリアの連撃剣、リーナの分裂矢、エルミナの複合魔法

トムとダリウスの連携攻撃

あかねの最後の一撃


第五段階:撤退


成功でも失敗でも、全員が安全に撤退する


 作戦は、危険だった。


 でも、これしかない。


 全員が、納得した。


「では、明日の朝、闇の王のもとへ向かいます」


 エルヴィン院長が宣言した。


「今夜は、しっかり休んでください」


「明日は、世界の運命を賭けた戦いです」


「はい」


 全員が答えた。


 その夜


 六人は、一緒に過ごした。


 最後の夜になるかもしれない。


 だから、仲間との時間を大切にした。


「ねえ、みんな」


 あかねが言った。


「もし、私たちが勝ったら」


「何がしたい?」


「私は……」


 セリアが考えた。


「のんびりと旅がしたいわ」


「冒険じゃなくて、ただの旅」


「綺麗な景色を見て、美味しいものを食べて」


「いいわね」


 リーナが微笑んだ。


「私は、孤児院の先生になりたい」


「子供たちに、弓を教えたい」


「素敵ね」


 エルミナも続けた。


「私は、魔法学校を作りたい」


「みんなに、魔法を教えたい」


「俺は……」

 トムが言った。


「平和な生活がしたい」


「普通の仕事をして、家族を持って」


「普通の幸せが、欲しい」


「俺も同じだ」


 ダリウスが頷いた。


「平和な日々を、過ごしたい」


「あかねは?」


 セリアが尋ねた。


「私は……」


 あかねが考えた。


「まだ、分からない」


「日本に帰るか、この世界に残るか」


「でも、一つだけ確かなことがある」


「みんなと一緒にいたい」


「どこにいても、みんなと繋がっていたい」


「それが、私の願い」


「あかね……」


 五人が、あかねを抱きしめた。


「私たちも、同じよ」


 セリアが言った。


「あかねが日本に帰っても、心は繋がってる」


「『銀の絆』は、永遠よ」


「うん」


 六人は、泣きながら笑った。


 そして、誓った。


 明日、必ず勝つ。


 闇の王を倒す。


 世界を救う。


 そして、みんなで幸せになる。


 その未来のために、戦う。


 六人は、手を重ねた。


「『銀の絆』、ファイト!」


 全員が、叫んだ。


 声が、夜空に響いた。


 明日、最終決戦が始まる。


 世界の運命を賭けた、最後の戦いが。


 六人は、覚悟を決めた。


 どんな結果になろうとも。


 仲間と一緒に、最後まで戦う。


 それが、『銀の絆』だから。

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