表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
ラミアプリンセスは配信者  作者: 未羊


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

97/120

SCENE096 ひとまずはお知らせしなきゃ

 結局、ダンジョン管理局からの新しい方針というのは何も示されなかった。採掘場だけで十分だったのかな。

 谷地さんたちが帰った後、僕はずっと腕を組んで首を捻り続けていた。


「ウィンク様、どうされたのですか?」


 僕のことが気になったのか、ラティナさんは心配そうに僕に声をかけてきた。


「うん。ダンジョン管理局の方から僕のダンジョンをどうしたいのかっていう意見が出てこなかったからね。僕はどうしようかと悩んでいるんだよ」


「なるほど、そうですか。でも、このダンジョンはウィンク様のものですよね。でしたら、ウィンク様の思う通りでよろしいではないですか。ウィンク様は探索者を目指されていたのですから、自分のあったらいいなを実装すればいいのではないでしょうか」


「あっ、そうかぁ……。すっかり忘れてたや」


 ラティナさんから指摘されて、僕は元々探索者を目指していたことを思い出した。

 うん、いけない。すっかりモンスターに染まってきてるみたいだ。


「もう、ウィンク様ってば……」


「こういうドジなところが、プリンセスらしくてよろしいではないですか。このくらい可愛げのある方が、我としては守りがいがあるというものです」


「ちょっと、バトラーってば!」


 僕は思わず文句を言ってしまう。さすがにバトラーのその言葉は侮辱でしょ。庇護欲をかき立てるとか、僕は守られるだけのお姫様じゃないよ?!

 僕がぷんすかと怒っていると、ラティナさんはくすくすと笑っていた。


「ラティナさんまで、何を笑ってるんですか」


「いえ、ウィンク様は愛されているなと思いましてね」


「むむむ……。そうなんですかね」


「ええ、そうですよ」


 僕は納得していないけれど、ラティナさんが笑って頷いているので、怒るに怒れなくなっちゃった。

 僕は大きなため息をついて、結局そのまま納得してしまっていた。


「それで、プリンセス。どうなさるおつもりですかな」


「うん? どうするって何をなの、バトラー」


「いえ。新しく追加した採掘場を、配信なさらないのかと思いましてね」


「ああ、そういえばそうだね」


 バトラーに言われて、僕ははっとしていた。

 新しいものを追加しては配信してきたので、今回も配信しないわけにはいかないかな。


「よし」


 バトラーに言われたので、僕はダンジョンに追加した採掘場を紹介するために配信することに決めた。


 ドローンを連れて、僕はボス部屋の入口に立つ。

 他人には見えない画面を操作して、早速配信を始める。


「みなさん、こんにちは。ダンジョンマスターのウィンクです」


「助手のラティナです」


「ちょっと、ラティナさん? 助手ってなんですか」


 急にラティナさんが助手を名乗り始めたので、僕はツッコミを入れてしまう。


「ダンジョンでお世話になっているんですから、これでいいと思うんですよね。ウィンク様のお手伝いをさせていただきたいのです」


「うう、分かりましたよ。でも、普通の自己紹介でいいですからね」


「分かりました。精一杯助手を務めさせて頂きます」


『こんらみあ~』


『ウィンクちゃんがたじたじや』


 今日の配信は唐突だったので、視聴者さんたちの反応が遅れている。

 でも、そんなことも気にならないくらい、ラティナさんの言い分に僕は困り果てていた。

 だからといって、配信を止めてなんていられない。僕は気を取り直して、今回の配信を進めていく。


「今回の配信ですが、新しい部屋を追加しましたので、その紹介をさせていただこうと思っています」


『おおっ、部屋を増やしたのか』


『どんな部屋だろう』


 視聴者さんたちは興味津々のようだ。


「ラティナさんを見ていて、思いついた部屋なんですよ。ボス部屋のちょっと前なので、今から移動しますね」


『ほうほう』


『wktk』


 視聴者さんたちの期待のコメントを見ながら、僕はダンジョンの中を移動していく。

 僕が立ち止まった場所は、ダンジョンの岩壁しかなかった。


「ちょっと分かりにくくしました。簡単に入られては困るというわけです」


『配信してたら意味なしwww』


『そのおちゃめなところも可愛い』


 とりあえず、コメントには苦笑いをしておく。

 僕は改めて、岩の壁を押してぐるんと回転させる。その先には、行き止まりの広々とした部屋が広がっていた。


「ここが新しく追加した採掘場です。ここでは低レベルの物ですが、金属や宝石を掘り出せます」


『おお、それはいいな』


 反応は上々といったところかな。

 でも、一応注意事項を話しておかないとね。


「ですが、安全に掘り出せる代わりに、デバフを一種類受けるようにしました。デバフの種類によっては、掘り出せなくなる可能性はありますのでご注意ください」


『それはいい交換条件だ』


『世の中には楽はないということを教えるわけか、いいね』


「はい。僕もダンジョンマスターとしていろいろとしなきゃいけないことがありますからね。そこはギブアンドテイクです」


『うんうん』


「あっ、それと。資源が枯渇していた場合はごめんなさい。時間経過で復活するようには設定しましたが、ダンジョン内のマナの状況によっては、復活に時間がかかるそうですからね」


『りょ』


『かしこまり~』


 視聴者さんたちは、本当にいい人ばかりで僕は安心して配信をしてられる。

 まあ、下手なことをいえば、衣織お姉さんに地の果てまで追われるからだろうなぁ。本当にやりそうで怖いよ、衣織お姉さんは。


「では、みなさんのご来訪を、ラティナさんやバトラーと一緒にお待ちしていますね」


『は~い』


『行けたら行く』


 そんなわけで、採掘場のお披露目は短い配信ながらも無事に終わることができた。

 これで来訪者が増えて、ダンジョンポイントも増えていけばいいな。僕はひそかに願うのだった。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ