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ラミアプリンセスは配信者  作者: 未羊


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SCENE086 そんなマナな

 衣織お姉さんにデコイを破壊されちゃったので、僕は仕方なくデコイのあった場所に向けて魔法を使うことにする。

 僕が両手を出して構えると、探索者見習いの四人は僕の方をじっと見つめてくる。


「いや、僕を見てても魔法は見えませんよ?」


「魔法を使う瞬間を見たいんです」


「そうそう。魔法を使うとどうなるのか、それが見たいんですよ」


「そ、そうなんだ……。それじゃ見て下さいね」


 僕は探索者見習いたちの反応に戸惑いながら、魔法を使うために集中する。

 これだたら、デコイがなくても変わんないか。

 僕は心の中でため息をつく。


「それじゃ、まずは闇魔法を使いますから、よく見てて下さいね」


「はーい!」


 僕が声をかければ、みんなが返事をしてくれる。


『わくわく』


『何回か見てるけど、ウィンクちゃんの魔法の瞬間はなんだかドキドキする』


 視聴者さんたちもいたんだった。

 そっちはだいぶ慣れたので、僕は特に気にしない。


「シャドウエッジ!」


 僕は闇の刃を生み出す。

 地面に突き刺さり、思った以上にえぐってしまっていた。


「むむむ……」


「ちょっとよく分からなかったわね」


「でも、手の先に向けて、何か紫っぽい光のようなものが集まってましたね」


「そんなの見えた?!」


 僕が魔法を放った後、見習いの四人がいろいろと話をしている。なんだろう、紫の光っていうのは僕も興味があるな。

 でも、とりあえず今は魔法を見せているところなので、僕はもう一つ魔法を使うことにする。


「今度は水の魔法です。見ていて下さいね」


 僕は魔法を使う。


「わっ、今度は青白い光が!」


 また何か言ってるね。気になるけれど、それどころじゃないから後回しだ。


「ウォーターニードル!」


 水を針状に細長くした魔法を放つ。

 でも、やっぱりこれじゃ全然威力出ないなぁ。


「まあ、魔法はこんな感じですね。頭でイメージしたものを、体内に宿るマナで具体化させるというものになります。衣織お姉さんの使うスキルもそんな感じですよね?」


「うん? まあ、そうだな。ただ、私の場合はそんなに意識しているわけじゃない。そこが魔法との大きな違いかもしれないな」


 僕が話を振れば、衣織お姉さんは素直に答えてくれた。

 僕が魔法のお手本を見せたんだけど、探索者見習いたちがなんだか盛り上がっている。


「あのー、ちょっとよろしいでしょうか」


「ラティナさん。セイレーンさんとのお話はいいんですか?」


「はい、先ほどお話を終わらせていただきました」


 僕がお手本を見せ終わると、ラティナさんが僕たちの話に混ざってきた。

 何かを言いたそうにしているので、僕たちはラティナさんの話を聞くことにした。


「先程、魔力が見えるというようなお話をしていましたので、差し出がましくも口を挟まさせてもらいます」


「いいですよ。ダンジョンに関係したことであるなら問題ないですから」


「ありがとうございます。では、お話させていただきます」


 ラティナさんは、僕たちに頭を下げてきた。全身岩石の体なのに、本当にしなやかに動く。ゴーレムって不思議だな。


「これは、私の家、ロックウェル伯爵家に伝わる話なんですが、それをお話させていただきます」


 ラティナさんの表情はなんとも真剣な表情をしている。僕たちはその表情を見てごくりと息をのんだ。


「魔力の根源ともいえるマナですけれど、この空間にも漂っているのはご存じですよね?」


「はい、なんだか不思議な表現のしづらい感じのものが漂っています」


 ラティナさんの言葉に対して見習いの一人が変なことを言うものだから、僕たちはびっくりしている。


「どういうことなの?」


「やはり、あなたはダンジョンマスターの適性があるかもしれませんね」


「えっ?」


 ラティナさんがとんでもないことを言い出した。これにはバトラーも驚いている。


「ダンジョンマスターの適性のひとつに、マナとの親和性というのがあるんです。それが高い人は、マナを見ることができるとも言われているんですよ。かくいう私も、マナを見ることができます」


「なんと?! ラティナ様にそのような才能が有られるとは……」


 バトラーですらこの驚きようだ。どれだけ新事実かということがはっきりと分かる。


「ウィンク様も、もしかしたらマナをしっかり見ていたかもしれません」


「僕は……そこまで覚えていませんね。ダンジョンの中が怖くて震えていましたから」


「そうですか……」


 僕が正直に答えると、ラティナさんは残念そうな顔をしていた。


「それはともかくとしまして、マナを感じたあなたは、無人ダンジョンに入ることはおやめになった方がいいかと思います。ダンジョンに取り込まれて、ダンジョンマスターとなる可能性がありますから」


「わ、分かりました。気をつけます」


 ラティナさんの話を聞いて、マナの色が見えていた見習いの人は体を震わせながら返事をしていた。

 そりゃそうだよね。ダンジョンマスターとなってしまえば倒される側になるわけだし、ダンジョンに閉じ込められて二度と外には出られなくなるもんね。普通に考えたらすごく怖いことだよ。僕は突然すぎてそこまで感情がマヒしてたし、バトラーがいたからごまかせたのも大きいかも。


「それにしても、我らモンスターの立場からしても、ダンジョンというのは分からないことが多すぎますな」


「それは、私も思います。誰がいつ選ばれるかということもまったく読めませんし……」


 僕が思い返している横で、ラティナさんは悲しそうな顔をしているし、バトラーも腕を組んで首を捻り始めていた。

 ダンジョンを発生させている大本の世界の人たちが分からないじゃ、僕たちには余計に分かるわけがないや。

 それにしても、魔法のお手本を見せるだけだったはずなのに、意外な情報が出てきたよ。おかげで谷地さんと日下さんも慌てふためている。

 あっ、それよりこれって配信してよかったのかな……?

 よく思えば、僕の近くには配信中になったドローンが浮かんでいるんだったよ。

 でも、今さらだよね。


「あ、えと、驚くべき情報が出てきましたね。と、とりあえず今日の配信はここまでにします。それでは、また次の機会に」


 混乱がおさまらない中、僕は慌てて配信を終わらせたのだった。

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