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ラミアプリンセスは配信者  作者: 未羊


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SCENE084 ハプニングは突然起こるもの

「あの、ウィンク様」


 体験教室が始まると、ラティナさんが僕の服の裾をつかんで声をかけてきた。


「この人たちが、将来お父様たちの住むダンジョンなどに入っていかれることになるのですよね?」


「そうですね。場合によっては、ダンジョンのボスを倒して消滅させることもあるでしょう。まあ、横浜ダンジョンのように素材回収のためだけに潜るような場所もあるでしょうけど」


「そ、そうなのですね。ダンジョンを攻略するだけが、探索者のやることではないのですね」


「その通りです。無理だと思ったら、道中のモンスターを倒して素材を持ち帰るだけでも相当な収入になりますからね」


 僕はラティナさんに探索者のことを説明してあげていた。

 そこに、衣織お姉さんがやってくる。


「瞬、早速今から配信をしてくれ。特訓の様子を世界中に知らしめるぞ」


「衣織お姉さん。ずいぶんと唐突だね……」


「突然ではないぞ。私たちがいかに真剣に探索者を育てようとしているか、それは広めなければならないことだ。瞬、早くドローンを出せ」


「もう……しょうがないなぁ……」


 あまりにも衣織お姉さんが圧をかけてくるので、僕は仕方なく配信用のドローンを取り出していた。


「ウィンク様、それは?」


「これは探索者たちが持っている配信用のドローンですよ。僕も元々はこっちの人間だったので、持っているんですね」


「そ、そうなのですか……。それはなんだか申し訳ないですね」


「ラティナさんが謝ることじゃないですよ。とりあえず見ていて下さい」


 僕は話を終えると、ドローンを起動させる。

 咳払いをひとつすると、ドローンに向かって話しかける。


「みなさん、こんにちは。ダンジョンマスターのウィンクです」


『こんらみあ~』


『ウィンクちゃんだぁっ!』


 視聴者さんたちがものすごいテンションで反応してくれている。まったく、みんなすごいなぁ。


「本日は、ダンジョン体験の第二回が行われています。その様子をみなさんにも見せようかと思います。申し込みの時点でプライバシーの同意はいただいていますので、無修正で配信させていただきます」


『顔出し配信かぁ』


『参加者、すごく恥ずかしいだろうな』


『まあいいじゃん、潜る様になったらみんな配信するんだしさ』


 視聴者さんたちからの反応はまちまちといったところだ。

 ひと通り話を終えたところで、まずはデモンストレーションから始まる。

 衣織お姉さんとバトラーの戦いだ。

 僕の配信において、実は一番の人気コンテンツなんだよね、これ。配信者である僕を差し置いて一番人気だから、軽く嫉妬を覚えちゃうよ。

 でも、衣織お姉さんとバトラーの戦いはものすごい迫力があるからなぁ……。うう、負けないんだからね。


「くそっ。やっぱり勝てないな」


「それはそうでしょう。この我はプリンセスの護衛ですからね。半端な腕前で護衛は務まりませんよ」


 結果はいつものようにバトラーの勝ち。衣織お姉さんも強くはなっているんだけど、レベルはまだバトラーには及ばないみたいだ。


「おおーっ!」


「本当にこの蛇の人強いんだ……」


「このくらい戦えるようになりたい!」


「感動した!」


 探索者見習いの四人も、ずいぶんと満足しているみたいだ。

 目の前でトップランカーの戦いが見れたんだもんな。そりゃまあそうなるか。

 でも、ずいぶんとダンジョンの中を壊されちゃったなぁ……。僕はダンジョンの岩壁や地面を見ながらため息をついてしまう。

 マナがあるから時間をかければ直るとはいえ、ここまでボロボロにされてしまうと、住みづらくなっちゃうよ。


「ウィンク様のお姉様って、とてもお強いんですね。バトラー様とあれだけ戦えるなんてすごいです」


「まあ、衣織お姉さんは探索者の中でも指折りの強さですからね」


『おや、ウィンクちゃんの隣に見慣れない子がおる』


『ホントだ、誰だろこの子』


「ひゃっ!」


 配信に表示されるコメントに、ラティナさんがびっくりしちゃっている。

 そういえば、この配信のことを詳しく説明してなかったもんね。しょうがないか。

 ちょうど衣織お姉さんとバトラーの戦いが終わったことだし、今度は僕たちの出番だもんね。


「さぁ、ラティナさん、僕たちの出番ですよ」


「えっ?」


 僕が手を差し伸べると、ラティナさんが驚いている。

 僕がじっと目を見つめていると、ラティナさんは戸惑いながらも僕の手を取ってくれた。

 ゆっくりと移動していく僕たちだったけれど、その時に事件が起きた。


 びたーんっ!


 僕は盛大にこけた。

 原因は、ラティナさんが僕のしっぽを踏んだことだ。

 そのせいで前進できずに、慣性の法則だっけか、上半身だけ前に進んでこけてしまったというわけだ。


「あたたた……。鼻打った……」


「あわわわっ、ごめんなさい! 私ってば、ウィンク様のしっぽを踏んでしまうなんて、なんてことを……っ!」


 ラティナさんが完全に取り乱している。


「ば、バトラー、ラティナさんをお願いします」


「承知致しましたぞ、プリンセス」


「くそっ。瞬、大丈夫か?!」


 僕の声で、バトラーがラティナさんの対応に動く。

 突然のことで固まっていた衣織お姉さんもようやく我に返って僕のところに飛んできた。


「だ、大丈夫だよ、衣織お姉さん」


「大丈夫なものか、血が出ているぞ」


「えっ?」


 僕はなんと、鼻を打ったことで血が出てしまっているみたいだった。

 でも、これくらいなら水魔法の回復でどうにかできるや。


「アクアヒール」


 僕は冷静に回復魔法を使って、体のケガを治してしまう。

 しかし、突然のハプニングでボス部屋の中は混乱している。

 う~ん、これはどうにかできるのかなぁ……。

 僕はちょっと考え込んでしまった。

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