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ラミアプリンセスは配信者  作者: 未羊


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SCENE051 誰の影が薄いですか

 衣織お姉さんは、横浜ダンジョンへと再び向かっていってしまった。

 やることのない僕は、バトラーに頼んで魔法の特訓をしてもらうことになった。

 バトラーは肉弾戦に特化しているものの、魔法もある程度使える完璧な執事らしいからね。


「さて、まずはどのくらいプリンセスが魔法を扱えるようになったか、見させて頂きましょう」


「え、ええ……?」


「当然でございましょう。前回、我が見たのはいかほど前でしょうか」


「うぐぐぐ……」


 そうだったよ。バトラーもあれこれやることが多くて、最近は僕に構っていることが減ったもんな。

 その間の僕が何をしていたかだって? それは聞かないで欲しいかな。


「そうですな。ただ練習するのも面白くありません。ここはひとつ配信といきましょう」


「えっ、僕の魔法の練習風景を見せるの?」


「何を仰います。以前に一度配信をしておりましょう。何を恥ずかしがっているのですか」


 バトラーにこう言われては反論ができないなぁ。

 それに、ダンジョンポイントを貯め直さないといけないから、ここは覚悟を決めるしかなさそうだった。

 僕はドローンを引っ張り出してきて、配信を開始する。


「みなさん、こんにちは。ダンジョンマスターのウィンクです」


『こんらみあ~』


 僕が挨拶すると、もはや定番と化した挨拶が返ってくる。

 予告もしてない配信なのに、どうしてこうも早い反応が返ってくるのかな。僕たちよりよっぽどモンスターっぽくない?


「なんで僕が配信を始めると、すぐに挨拶を返してくれるんでしょうね」


『ふっふっふっ、チャンネル登録をしておけば、配信が始まるとすぐに通知が来るのだよ』


「な、なるほど……」


『たとえどこにいようとも、すぐにウィンクちゃんの配信を見れるというわけだね』


「あ、ありがとうございます」


 嬉しいんだけど、なんだろうな、どちらかというと怖く思えてくるのは……。魅了の効果だとしても、さすがにちょっとドン引きしちゃうよ。

 とはいえ、ダンジョンポイントを稼ぐためだ。僕は頑張らないとね。


「本日の配信なんですけれど、特にこれといった新しいことはないので、僕の魔法の練習風景でも流そうということになりました」


『おっ、それは見たいな』


『それはそうと、今日のウィンクちゃんの服も可愛いな。お姫様らしくていい感じだ』


「あ、ありがとうございます。衣織お姉さんと妹のアドバイスでフリフリな服を着せられちゃいました。もう、僕の男としての尊厳はどこにもないですよ……」


『そっかぁ、ウィンクちゃんって元男の子だもんね。可愛い服装って慣れないんだ』


 僕のちょっとした愚痴に、視聴者さんたちは同情してくれたみたいだ。


『でも、バトラーさんにプリンセスって呼ばれているからには、それっぽい格好はしないとね』


「そ、そうですよね。……はあ」


 プリンセスらしさなんて言われちゃうと、ため息が出ちゃうよ。うん、出ちゃったけどね。


「とりあえず、気を取り直して、魔法の練習を始めますね。今の僕は、闇魔法を中心に習得しようとしています」


『デバフでも使うの?』


「いえ、必要なら覚えておいた方がいいでしょうけれど、そういうのは配信映えしませんからね。いつものようにあのデコイに向けて攻撃魔法を撃ち込むだけですね」


 僕がちらりと視線を向けると、ドローンがそれに合わせてデコイを映し出す。

 壊せるけれど、完全に破壊することはできない、いわゆる非破壊系のオブジェクトだ。これのおかげで、僕は思いっきり魔法を使えるというわけだね。

 探索者たちも来たいとは思っているだろうけど、管理局の体制がまだ整わないらしいので、探索者はまだやって来ていないのが現状のようだよ。いくらなんでも時間かかり過ぎじゃないかな。

 とりあえず愚痴はやめておこう。

 僕はデコイに向けて、両手を突き出す。


『わくわく、どんな魔法を使うんだろうな』


 視聴者さんたちも楽しみにしているみたいだから、さっさと始めちゃおう。


「シャドウランス!」


 僕は前にも使ったことのある魔法を放つ。

 真っ黒な槍が、目の前のデコイに鋭く突き刺さる。


『おおっ』


『前より威力上がってないか?』


『やりすぎてダンジョン壊さないようにね』


 視聴者さんたちからはいろんな反応が聞こえてくる。

 確かに、視聴者さんが心配するのは分かる。よく見ると、ダンジョンの床の一部が壊れていた。


「ありゃ。威力が強いとダンジョンも壊しちゃうんだ」


「そうですな。ですが、安心していいですぞ。壊したダンジョンの部分は素材として持ち出せますが、壊れた部分はダンジョン内のマナを使って修復されますからな」


「あっ、そうなんだ」


『ダンジョンの壁や床って素材にできたんだ』


『初耳だぞ』


 バトラーの言葉に、僕だけじゃなくて視聴者さんも驚いているみたいだ。


「それはそうでしょうな。マナに満ちた物質ですからな。普通のダンジョンの壁や床は加工できる用途がありませぬ。加工するには、錬金スキルがないと無理ですな」


『錬金スキルかぁ、聞いたことがないな』


「そうでしょうな。ダンジョン内の素材を使って何でもかんでも生み出せるようなスキルですからな。武器や防具はもちろんですが、日用品にするのも手ですぞ。焦げない鍋にすることだってできますからな」


「バトラー、やけに詳しいね」


「我々モンスターの中に、錬金スキル持ちがいますからな。我やシードラゴンとは旧知の仲なのでよく知っているのですよ」


『それは会ってみたいな』


『便利そうだな』


 錬金スキルのことを聞いて、視聴者さんたちもかなり興味を持ったみたいだ。

 それにしても、僕が魔法でダンジョンを壊してしまったせいで、なんでこんな話になってるんだろう。僕って、もしかして影が薄いの?


「おっと、失礼しました。プリンセスを差し置いて、ちょっと出しゃばりすぎてしまいました。我はちょっとダンジョンの入口に向かいますので、プリンセスは魔法の練習を続けて下さいませ」


「あ、うん」


 バトラーはそう言うと、ダンジョンの入口へと向かっていってしまった。

 すっかり話題をバトラーに持っていかれてしまったので、僕はどうしようかものすごく迷ってしまった。とはいえ、新しく覚えた魔法がいくつかあるので、それを披露してこの日の配信を終わることにした。

 う~ん、なんだか不完全燃焼だなぁ。

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