表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
ラミアプリンセスは配信者  作者: 未羊


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

43/79

SCENE042 複雑な巨大ダンジョンの奥へ

 ウィンクスダンジョンから戻ってきた俺は、早速、ダンジョン配信用のドローンを購入する。実はまだ持っていなかったんだけど、この間のセイレーンさんのうろこのおかげで購入することができた。

 なんで持ってなかったかというと、俺のダンジョン探索は実に地味だからだ。

 なにせ周りの冒険者にもモンスターにも気付いてもらえない。そのくらい影が薄い。

 だけど、そんなスキルがいよいよ役に立つ時が来たんだ。


 配信用ドローンを購入した俺は、早速アカウントを取得する。

 アカウントとチャンネル名は、俺ではなくセイレーンさんに設定しておく。

 スパチャは……、設定しないでおこう。セイレーンさんの魅力を伝えるチャンネルなんだ。俺がその恩恵のおこぼれにあずかるわけにはいかない。スキル同様にあくまでも陰に徹するんだ。


 無事に設定を終えた俺は、今日も横浜ダンジョンへと突入していく。

 複雑巨大な駅の地下のとある場所にできた亀裂。ダンジョンの入口はそんなところにある。

 中に入ると、完全に別世界だ。

 元が巨大建造物であるために、その構造物にならったダンジョンの内装になっている。

 ただし、それは一階層から三階層までの話。四階層からは、先日のウィンクスダンジョンと同じように、岩肌を持ったダンジョンになる。

 ダンジョンの中は複雑になっていて、部屋同士を結ぶ狭い通路の途中には、魔力の壁が存在している。

 その魔力の壁の内側に誰もいなくなると、その部分は大きく組み変わってしまう。一人でも残っていれば組み変わらないものの、しつこく残っていると、中に徘徊するモンスターがやって来て排除される。

 最下層が近くなってくると、港町横浜らしい、水の多いダンジョンに変わる。

 中には滝があったり川が流れていたりするし、ボス部屋のある最下層ははっきりいって海だ。ボス部屋までの道には海の中に見えない足場があるけど、周りにはサメなどのモンスターが泳いでいる姿が見える。

 普通にやっていれば、絶対にたどり着けない場所だ。


(はあ、俺の隠密スキルと直感スキルがなければ、上層で死にまくってるんだろうな……)


 この二つのスキルのおかげで、俺はすべての罠にかからず、モンスターにも襲われずにやって来れる。

 最下層の一番奥にやって来ると、神殿のような場所に出る。ここがセイレーンさんの暮らすボス部屋だ。


「セイレーンさん、いらっしゃいますか?」


「あら、下僕じゃないの。どうしたのかしら」


 奥にある貝殻を模したようなソファーの上で、セイレーンさんが俺の方を見てくる。


「待ちくたびれましたぞ。きちんと配信ができるようにしてきたのでしょうな?」


「はい、そこは問題なく用意できています」


 シードラゴンさんの質問に、俺はしっかりと答える。

 俺が配信の準備を始めようとすると、携帯電話が鳴る音が聞こえてくる。


「あら、これの音かしら」


 どうやらセイレーンさんの携帯電話らしい。


「えっと、どうすればよろしかったかしら」


「あっ、緑色のマークをタッチすればいいですよ」


「ああ、これですわね」


 セイレーンさんが画面をタップします。


『あー、よかった。高志さんから聞いていた番号、合ってたんですね』


 聞いたことのある声が聞こえてくる。

 この声は間違いなく、先日俺が訪れたダンジョンのマスターであるウィンクさんの声だ。


「あら、その声は確かウィンクさんかしら」


『はい、そうですよ。僕の携帯電話が新しくなったので、いろいろ確かめたくて電話をさせてもらっています。いや、よかったですよ、番号間違えてなくて』


 なんとも明るい声で喋っている。


「まったく、新参者の分際で馴れ馴れしいですわね」


『でも、いいじゃないですか。お互いに暇つぶしができそうですし』


「ま、まあ、そうですわね」


 セイレーンさんはなんか恥ずかしそうにしている。

 あんなに気丈に振る舞っているけれど、やっぱりこんなところにずっといて寂しかったのかもしれない。俺はそのように感じてしまった。


「そうですわ、ウィンクさん」


『なんでしょうか、セイレーンさん』


「あたし、これから配信を行おうと思いますのよ。よろしければ見ていただくことはできますかしら」


「ええ、構いませんよ。チャンネル名さえ教えていただければ、見させていただきますよ」


 話を聞いていた俺は、なんともいえない緊張感に襲われていた。

 あの可愛らしいラミアプリンセスのウィンクさんに、俺の配信を見てもらえるだなんて、考えただけでものすごく緊張してしまう。

 俺は、思わず胸に手を当ててしまう。


「下僕、ちょっと話を代わって下さいませんかしら。あたしには何のことやらさっぱり分かりませんのでね」


「わ、分かりました。今、代わります」


 俺はセイレーンさんと電話を代わり、ウィンクさんといろいろ話をさせてもらう。

 ウィンクさんはもう何度も配信を行われている方なので、初心者の俺はいろいろとアドバイスをもらうことになった。

 こうして、ウィンクさんに指導してもらいながら、いよいよ配信を行うことになる。

 世界第二例目となる、ダンジョンマスターによる配信。

 どうかうまくいってくれと、俺は強く願いながら準備を進めた。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ