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ラミアプリンセスは配信者  作者: 未羊


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SCENE033 自分のダンジョン、よそのダンジョン

「おや?」


 その日は、バトラーが何か首を傾けていた。


「どうしたの、バトラー」


「いえ、我らのダンジョンデータに外部からの干渉があるようでございます」


「えっ、それってハッキング?」


 バトラーの話に、僕は魔法を練習する手を止めてしまう。


「そのようですな。元々世界中に散らばっているダンジョンを一元管理するというシステムがございましてな。こちらの世界のダンジョンも、そのシステムで管理されているのです」


「へえ、そうなんだ」


「モンスターというのは暇な存在でしてな。余興のためにダンジョンを運営しているのです。まあ殺されることもある命がけのゲームですけれどな」


「そ、そうだね……」


 バトラーは笑って話しているけれど、殺されるといいたら顔が引きつっちゃうよ。僕、死にたくないよ?


「殺されるかもっていうのに、なんでそんなに笑ってられるの、バトラー」


「いやぁ、我々モンスターからすれば、戦いこそが最高の娯楽ですからな。命の取り合いということにどうしても興奮してしまうのです」


「さすがモンスター……」


「ですが、我はプリンセスの気持ちを汲むのが仕事ですからな。戦いたくないというプリンセスのために、戦いを避けられるように努力をしているのです。まあ、あの衣織とかいう探索者でしたか、あの方は面白ったですな」


 衣織お姉さんとの戦いを思い出したらしく、バトラーはまた笑っているみたいだ。分からないなぁ、僕には。

 あっ、でも、今はそれどころじゃなかった気がする。


「バトラー」


「なんでしょうかな、プリンセス」


「なんか、ハッキングされそうになってたんじゃなかったっけ」


「おお、そうでしたな。我らのダンジョンのことに干渉しようとする者がいるみたいですな」


 僕が改めて聞くと、バトラーも思い出してくれたみたいだ。


「基本的にダンジョン同士は干渉不可能なのですよ。ですので、システム側から提示されるデータ以上のことは我らは知ることはできません」


「へえ、結構徹底しているんだね」


「そうですな。競わせることに重点が置かれておりますので、互いの手の内を知らせるようなことはしないのですよ」


「ふむふむ」


 本当に徹底してる感じだな。モンスターってやっぱりお互いの仲は悪いってことなのかな。


「それにしても、プリンセスの顔を見ていれば、何を思っているのかは分かりますな」


「えっ?」


 バトラーがそんなことを言うから、僕は思わずびっくりしちゃう。


「モンスター同士は、基本的になれ合いをしませんぞ。自分が一番な連中ばかりですからな。とりあえず、これを見て下さいませ」


 バトラーはそう言って、何か薄い板状の何かを取り出していた。

 なんだろう。僕たちの使うタブレットのようなものみたいだ。


「魔晶石というものを板状に加工したものでして、マナの力で動く道具ですな。これによって、我らは互いの情報を知ることができるのです」


「あれ? でも、手の内は知らせないって言ってなかった?」


「はい。その通りでございます。これで分かるのはダンジョンの名前と、稼いだダンジョンポイントとその順位くらいですな」


「あっ、そうなんだ」


 バトラーが持つタブレットを僕ものぞかせてもらう。

 初めて見る文字のはずなのに、なんでだろう、僕はこの文字を読めるんだけど。


「あれ、なんで僕、読めてるの?」


「モンスターになった影響でしょうな。これは異界の文字ですが、我々は普通に読めますからな」


「そうなんだ。えーっと、一位のダンジョン名は……と。ヨ、コ、ハ、マ、ダ、ン、ジ、ヨ、ン。横浜ダンジョンか」


「そうですな。それで、先程の不正な干渉は、その横浜ダンジョンからのようですぞ」


「えっ?!」


 どうやら僕のダンジョンが、世界第一位のダンジョンから調べられようとしているらしい。なんでそんなことが起きてるんだろう。


「第一位のダンジョンからの不正干渉ってどういうことなの?」


「どうやら、プリンセスが魅了の力でポイントを稼いでいるので、新規ダンジョンのくせに生意気だと目をつけたのでしょう。どうやって稼いでいるのか、調べようとしているということでしょうな」


「嬉しいことなのかな?」


「まあ、誇らしいことでしょう。トップから興味を持たれるというのはいいことです。ただ、現状の我々に干渉する方法はございません。何を考えていらっしゃるのでしょうかね、あちら側は」


 バトラーは腕組みをして考えこんじゃったよ。

 簡単に調べられるものでもないので、バトラーは現状は放っておこうといっている。よく分からないので、僕はバトラーの意見に従うことにした。

 それにしても、横浜ダンジョンかぁ。今度、管理局の人や衣織お姉さんが来たら聞いてみようっと。


「では、プリンセス。今日も魔法の練習を頑張りましょうぞ。モンスターたるもの、特殊技能をひとつでも多く持っていた方がよいのですからな」


「あ、うん。頑張るよ、僕」


 横浜ダンジョンのモンスターたちの動きが気になるけれど、僕たちでどうすることもできないみたい。だから、僕は自分のできることに集中することにした。

 そのかいあってか、僕は氷の魔法も少し操れるようになってきたよ。今はまだ、ジュースを冷やすための小さな氷しか作れないけれど、バトラーが言うにはもっとすごい魔法も使えるようになるらしいからね。

 闇魔法ならあんなに簡単にできたのに、なんで氷魔法でこんなに苦戦してるんだろう……。不思議だなぁ。

 いろいろと思うところはあるけれど、この日も僕は魔法の練習を一生懸命頑張ったよ。

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