表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
ラミアプリンセスは配信者  作者: 未羊


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

163/207

SCENE162 悪いことは隠せない

 僕のダンジョンに現れたのは、金髪碧眼って言われる、本当にきれいな女性だった。ただ、そばかすがあるけどね。それがかえっていいアクセントになっていた。

 服装はポロシャツにショートパンツ。太ももには何かベルトを巻いている。靴はトレッキングブーツっていうのかな、これ。

 ずいぶんと肌が多く見える服装だなぁ。

 それにしても胸が大きい。そのせいで、僕はつい自分の胸を見てしまう。うん、ぺったんこだよ。


「さて、何故ここに来たのですかな。返答によっては無事に帰しませんぞ」


 バトラーが女性を脅している。

 僕の命を狙ったからか、本当に怒り心頭という感じだよ。ここまで怒りを露わにしているバトラーも珍しい。


「バトラー。この人もかなり頑なになっているから、脅しても効果は薄いと思うよ?」


「しかしですなぁ……」


 僕がバトラーを注意していると、困った顔をしてしまう。


「この方の素性が分かればいいのですかしら」


「アルカナさん」


 そこに出てきたのが、ここまで一人だけ顔を出していなかったアルカナさんだった。


「な、何よ、このアンデッドは……」


 アルカナさんの特殊な気配を感じて、目の前の女性はものすごく引いている。

 さっきまではすっごく好戦的だったのに、この人、ボウガンがなければ何もできないんだなぁ。


「あたくしの能力から、逃げられると思ってますの? リッチ族のアルカナ・リッチモンドですわよ」


「や、やめて、触らないでよ!」


 ずるずると下がっていく女性だったけど、さすがに武器をなくしてはダンジョンマスターから逃げきれるわけがない。

 アルカナさんの能力によって、この女性の素性が判明する。


「ギルド『リベリオン』所属のスピア・ライツ、十八歳。へえ、結構お若いですのね。スキルはボウガンがないと使えないものばかりですわね。それ以外にあるのは、直感スキルのランク2というところですかしら」


 アルカナさんは全部話してしまっている。


「生い立ちから何からすべてわかりましたけれど、これ以上お話してもよろしいかしら」


「や、やめてちょうだい。もう話さないでよ……」


 アルカナさんが顔を向けると、スピアさんは下を向いてしまった。

 すごいなぁ。これが樹海ダンジョンのダンジョンマスターだったアルカナさんの能力かぁ。どういう感じでそんなことを読み取っちゃうんだろう。


「それでは、ウィンク様たちに謝罪をして、ここに来た理由をお教え願えますかしら」


「話す。話すから!」


 どことなく涙目になっている。

 スピアさんは結局観念して、僕のダンジョンにやってきた理由を話してくれた。


「なるほど。保護ダンジョンを全部潰すつもりでいましたのね」


「ええ。今回はここと、廃鉱山ダンジョンの二か所。ここは初心者用だって聞いたから、私一人で来たのよ」


「まあ、廃鉱山ダンジョンって、お父様のダンジョンではありませんか!」


 スピアさんの話した内容を聞いて、ラティナさんが慌てている。自分のお父さんのダンジョンだから、驚くのも無理はない。


「あっちは、精鋭で乗り込んでいるから、もう時間の問題でしょうね。この世界のあるべき姿を取り戻すには、ダンジョンは全部潰さなきゃいけないんだ」


「だ、そうですよ。みなさん、どう思われますか?」


「なに?」


 話を聞いた僕は、どこかへと語りかけている。マキナさんは顔を上げて反応している。


『リベリオンギルドは聞いたことがある』


『世界中で保護ダンジョンをぶっ潰しまわっているギルドだろ?』


『てか、結構かわいい子じゃん』


『こんな子までそんな過激な活動してるん?』


『ウィンクちゃんを殺そうとしただけでギルティ!』


 視聴者さんたちのコメントが大量に流れていく。

 そう、僕はこっそりと配信を始めていたんだ。外国語だったので、オプションの翻訳機能をオンにして流している。


「そ、そんな……。モンスターが、配信をしているですって?」


 スピアさんはありえないって顔をして僕を見ている。


「自己紹介がまだでしたね。僕はウィンク。このダンジョンのマスターであり、元人間であるラミアプリンセスです。来年、探索者デビューだったので、配信ドローンを持っているんですよ」


「ありえない! 人間が、モンスターにだって?!」


 僕が話をすると、スピアさんはものすごく取り乱している。

 そりゃまあ、僕が初めての事例だからね。こういう反応をするのもよく分かるよ。


「でも、これが現実なんです。僕は、このダンジョンをいろんな人に役立ててもらいたいんです。あなたにだってです。だから、さっきのことはバトラーが殴り飛ばしてくれたのでおあいこです」


 僕は、とても真剣な表情をスピアさんに向けている。

 驚いた顔をしていたスピアさんだったけど、やっと柔らかい表情を見せてくれた。


「分かったわ。ここのことは見逃してあげる。他の人にも手出しはさせない」


「本当ですか? ありがとうございます!」


 スピアさんが約束してくれたので、僕は思いっきり抱きついてしまう。


「ちょ、ちょっと、急に抱きつかないでよ。これ、配信してるんでしょ? は、恥ずかしいから、や、やめてってば!」


「いいえ、離しませんよ」


 僕はしばらくの間、スピアさんを離さなかった。

 僕の後ろでは、ラティナさんは笑い、アルカナさんとバトラーは呆れた様子で僕たちを見ていた。

 とりあえず、こっちのことは解決したけれど、あとは廃鉱山ダンジョンと……衣織お姉さんだ。

 きっと、僕を殺そうとしたなんて聞いたら、まさしく鬼のような形相でスピアさんを殺しにかかっちゃう。

 僕はラティナさんのお父さんの無事を祈りつつ、スピアさんをダンジョンに引き留め続けることにした。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ