SCENE146 迷路完成のお知らせ
ゆっくり休んで目を覚ました僕は、早速配信を始める。
「みなさん、こんにちは。ダンジョンマスターのウィンクです」
『こんらみあ~』
『今日はどんな話題かな』
僕が配信を始めると、相変わらずの反応速度だった。
だって、配信を始めると、一秒で接続人数が十人を突破するんだもん。みんな暇なの?
「本日の配信内容は、迷路が完成したことのお知らせをする配信です」
『おお、できたんだ』
『どんな迷路なんだろ、楽しみだな』
『おつらみあ~』
みんな期待していたようで、反応がすごい感じだった。
「完成はしたんですけれど、まだ実際のテストはしていないところです。罠と宝物の配置も終えているんですけれどね、実際に挑戦してくれる人がいないことには確認のしようがないんですね」
『あらら・・・』
『それは大変だな』
『くっ、さすがに遠い』
僕が正直に話すと、視聴者のみなさんの反応は様々だ。
残念がっている視聴者の反応も種類があるよ。見れなかった残念さもあれば、実物を体験できない悔しさというのもある。
僕の配信を見ている人たちは、あちこちに住んでるんだなというのがとてもよく実感できるよ。
「僕も残念でなりませんね。せっかく作り上げても、実際に中に入って紹介できないんですから」
『それはそう』
『迷路だからネタバレはできんよな』
僕の説明に対して、視聴者さんたちは納得してくれているみたいだ。やっぱり、みんないい人なんだな。
視聴者さんの反応に、僕はちょっとクスッときてしまう。
「ネタばれはできませんけれど、どういう迷路かは紹介できます。お聞きになりますか?」
『興味あり!』
『wktk』
『kwsk』
視聴者さんたちがものすごく食いついてきている。これはしっかり説明しておいた方がいいよね。
僕はちらりとバトラーやラティナさんの方を見る。二人ともこくりと首を縦に振っている。
二人の姿を見て頷き返すと、僕は迷路について話を始める。
「では、迷路についてちょっとお話しますね」
『正座待機』
視聴者さんたちの反応がいちいち面白いなぁ。
僕の配信は、基本的に目に優しくないことがないからかなぁ。みんなすごく平和な雰囲気を保っている気がする。癒しって大事なんだ。
「迷路の入口は、一階層にあります。そこから転移罠を使って二階層の迷路の入口に転移します。そこから迷路の中を進んで外を目指します」
『ほうほう』
『転移罠でないと入れない場所なんだ』
「そうですね。ダンジョンマスターの権限を精一杯使ってやってます」
僕が説明を始めると、視聴者さんたちは今までにない反応を示してくれている。
「迷路の脱出方法は三つです」
『結構パターンがあるな』
「はい。ですが、このダンジョンには復活するようなシステムがないので、どの方法を取っても死なないようにはしてありますよ」
『命あっての物種だもんな』
『うむうむ』
やっぱり死なないというポイントは重要みたいだよね。結構反応がある感じだな。
「ひとつは、普通に迷路をクリアすることですね。その場合は、二階層の通路に出てきます」
『ふむふむ』
「もうひとつは、迷路の入口に連れてきてくれた転送ゴーレムですね。ゴーレムに捕まることで、僕のダンジョンの入口に連れ戻されます」
『ほうほう・・・』
最初の説明は普通に反応してたのに、ゴーレムに捕まるという話になると、ちょっと反応が悪くなった気がするなぁ。どういうことなんだろうか。
気にはなるところだけど、僕は話を続ける。
「それで、みっつ目は、迷路に仕掛けられた落とし穴に落ちることです。この場合は、僕のいる第三階層に放り出されます」
『ウィンクちゃんに会いに行ける!』
『落とし穴一択』
僕のいる場所の近くに出られるとなった瞬間、視聴者さんたちの反応が一気に変わった。なんだろう、これ……。
『ウィンクちゃんに会えるとは、実質ご褒美じゃね?』
『間違いない』
あれぇ?
攻略失敗だっていうのに、なんでこんなにみんなの反応がいいんだろ。わけが分からないよ。
後ろを見ると、ラティナさんもバトラーもなぜか笑っている。なんでなの。
「えっと、迷路の中には宝箱がありますが、5%くらいは罠の宝箱です。宝箱の中身は、僕のうろこ、ラティナさんの護石、妹の作ってくれた服、トラップゴーレムの四種類です」
『5%って結構高いな』
『20個に1個罠だもんな』
『一体、どのくらいの宝箱が迷路に設置されているんだろう・・・』
「おほん。ちょっと高いかもしれませんが、狭い空間に20個も宝箱がある方が異常だと思いますよ」
『確かに!』
ざわつく視聴者さんたちに僕がひと言加えると、すっごく納得してくれていた。
僕はもっとトラップゴーレムを仕掛けたかったんだけど、ダンジョンポイントが足りなくてやむなく入口分と合わせて三体しか雇えなかったんだよ。うう、3000ポイントは痛い。
それに、通路を変化させる罠も結構高かったもんなぁ。どうにかして回収しないといけないんだ。罠の率が高くなるのはどうしようもない。
さすがに通路が変化することを伝えると、視聴者さんたちはびっくりしていたなぁ。
「そんなわけですので、よろしければ体験しに来てみてくださいね。僕たちでは罠が正常に作動しませんから、試しようがないですからね」
『了解』
『行けたら行く』
「そんなわけで、今日の配信はここまでです。ご視聴ありがとうございました」
『おつらみあ~』
こうやって、ひとまず無事に配信を終えた僕は、ほっと胸を撫で下ろしたよ。
あとは、体験してくれる人が来るのを待つだけだ。




