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ラミアプリンセスは配信者  作者: 未羊


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SCENE139 迷路の進捗報告配信

 谷地さんたちと話をした翌日、僕は迷路の形を決めたこともあって配信をすることにした。


「みなさん、こんにちは。ダンジョンマスターのウィンクです」


『こんらみあ~』


 僕が配信を始めると、相変わらずほぼ同時に挨拶が返ってくる。配信が始まると通知が行くらしいけれど、どんだけ早い反応だというのかな。

 本当、これだけ早い反応を示してくれる視聴者さんたちには頭が下がるなぁ。


「みなさま、こんにちは。助手のラティナ・ロックウェルです」


『おお、ラティナちゃんもいる』


『ゴーレムに萌えるなんて思ってもみなかった』


「も、もえ……。私は火属性なんて持ってませんよ」


 ラティナさんはこっちの言葉がまだまだ分からないみたいだね。萌えるっていう言葉を燃えると思ったみたいだ。


「ラティナさん、みなさんはラティナさんのことを可愛いって言ってくれてるんですよ」


「えっ、そうなんですか?」


 僕が意味を説明すると、すごく戸惑った反応を見せている。

 本当にラティナさんは可愛いと思うよ。僕が男のままだったら、きっと好きになっていたと思う。いや、ラミアプリンセスっていう女性になっても、ラティナさんのことは好きなんだけどね。

 それはそれとして、僕はとにかく配信を続ける。


「新しく作っている迷路ですが、おおよその構想が固まりました。あとは実際に組み立ててみて、数名に試してもらう予定です」


『ほう、それはとても興味深いなぁ』


『どんな感じなのか、ちょっとだけでも教えてもらうことはできる?』


 視聴者さんたちはとても気になっているみたいだ。何人か僕に詳細を聞こうとしてきている。

 ちょっと悩んだんだけど、お宝となっているアイテムについて話しておかなきゃいけないと思ったので、僕はシステム的なことを話すことにした。


「どんな構造になっているのかはお話しできませんけれど、お話させていただきます」


『わくわく』


「迷路の中には宝箱が置いてあります。一度手に入れると、配置が勝手に変わるようにするつもりです」


『ふむふむ』


 僕が説明をしていると、視聴者さんたちの反応が少し鈍った気がする。それだけ真剣に聞いてくれているということなのかな?

 ラティナさんが横で立っている中で、僕は説明を続けていく。


「まずは罠の方からですね」


 まずは悪い情報を先に流すことにした。


「罠は二種類です。ダンジョン入口に飛ばされるモンスターと、三階層に放り出される落とし穴です」


『まあ、定番な罠だな』


『ウィンクちゃんのダンジョンだと、下手にケガをするようなものを仕掛けられないもんね』


『そういえばそうだったな』


『初心者ダンジョンだし、やむなし』


 罠の紹介をしていると、視聴者さんたちはとてもすんなり理解してくれていた。いや、視聴者さんたち、結構頭がよくないかな?


「それで、お宝の方も紹介します」


『わくわく』


『ドキドキ』


 お宝の方になると、さらに緊張した雰囲気が伝わってくる。


「用意できるものが絞られるので、僕たち自身が文字通り身を削ることにしました」


『え?』


『なんで?』


 僕の発言に、視聴者さんたちから戸惑いの声が飛び出してきた。この反応には僕の方も困っちゃったよ。

 だけど、僕は話を続けることにした。黙り込むのは配信という形である以上、したくないもん。


「ダンジョンの予算というのがありますからね。罠の方に回したら、宝物の方に予算が回らなくなりました」


『なるほ』


『それはしゃーなし』


「それで、僕のうろことラティナさんの護石を出すことにしました」


『ガタッ!』


『それは欲しい』


『ラミアのうろこって魔法系に対して強いからなぁ』


『護石ってなんだ?』


 宝物の情報を出したら、ものすごくみなさん反応してるね。ラミアのうろこってそんなに情報出てるんだ。

 その一方で、ラティナさんの護石は知らないといった声が多いようだった。


『護石はすごいぞ』


 そんな中、ラティナさんの護石についてコメントが書き込まれる。


『むっ、誰だ?』


『おい、瞬、電話しても大丈夫か?』


 視聴者さんが戸惑う中で、次のコメントで誰かすぐに分かった。

 衣織お姉さんじゃないか。まさか配信を見ているなんて思わなかった。


「衣織お姉さん、そっちの名前で呼ばないで下さい。それと、電話なら大丈夫ですよ」


『む、すまん、それじゃ今から電話をする』


 謝ったかと思えば、直後に電話が鳴り響く。相変わらず行動が早いよ、この人!


『すまなかったな。それじゃ、ラティナの護石について説明するぞ』


「衣織お姉さん、待って。今スピーカーモードにするから」


 電話に出るなり、前のめりで喋り出そうとしている。僕はひとまず一旦落ち着かせようとしてひと言割り込む。


『鬼百合の衣織、ウィンクちゃんのこととなると人が変わりすぎん?』


『知り合いみたいやけど、過保護っぽいよな』


『鬼百合の衣織が呼ぶ名前を聞く限り、本当に男の子やったんか・・・』


 ああ、突然のこと過ぎて視聴者さんたちが混乱してるじゃないか。本当に、衣織お姉さんの勢いといったら困るなぁ……。

 衣織お姉さんの対応をしながら、僕はその扱いにすっごく困り果てていた。


『よし、それじゃ、ラティナの護石について話をするぞ』


 準備が整ったところで、衣織お姉さんが僕の配信を乗っ取り始めたよ。

 ラティナさんがおろおろとしている目の前で、僕はそのなりゆきをただ黙って聞いておくことしかできなかった。

 ごめんね。僕じゃ衣織お姉さんを止められないみたいだよ。

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