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ラミアプリンセスは配信者  作者: 未羊


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SCENE129 お呼び出し

 ようやく、俺はダンジョン管理局から解放された。

 ギルド『パラダイス』の実態解明のためとは、もう二度とあんなことはしたくないよ。


「はあ、やっと自由だぁ……」


 俺は横浜にある自宅に戻ってきていたんだけど、すぐに携帯電話が鳴り始めた。

 誰からだろうと着信画面を見てみると、セイレーンさんからの電話だった。

 正直疲れているので出たくはない。でも、出ないとセイレーンさんからどういわれるか分かったものじゃない。葛藤を感じながらも、俺はやむなく電話に応答することにした。


「はい、俺ですが」


『やーっと出ましたわね、下僕。今からあたしのところに来なさい』


「えっ、今からですか?」


 セイレーンさんからの呼び出しを受けて、俺は面食らってしまう。

 なにせ、ようやく面倒から解放されてゆっくりできると思ったのに、今度はセイレーンさんに捕まったんだからね。もう、一体何だってんだよ。


『聞こえていますの? つべこべ言わず、すぐにあたしのところに来なさい。まったく、重要な用事があるからってしばらく我慢していましたのよ? 下僕なんだから、主の言うことには従うのよ』


「分かりましたよ。今から行きますから、待ってて下さいって」


 ものすごくヒステリックな声が聞こえてきたので、俺は断り切れずにすぐに出かけることになってしまった。

 どうせ両親も、俺の隠密のせいであんまりいなくても気にしていないし、しょうがないから行くしかないや。

 俺は諦めて、横浜ダンジョンへと向かうことにした。


 ダンジョンの入口では、ちゃんと入場の手続きを踏んでおく。

 俺の隠密を使えばすべてを無視して入れるんだけど、最近のできごとを踏まえると、一応手続きをしておいた方がいいだろう。

 そうして、正規な手段を踏んでダンジョンへと入っていく。

 入ってすぐからは隠密を再度発動する。こうすると、目の前にいても相手は俺のことを完全に見失ってしまう。これは、サンダーウルフでも実証済みだ。

 直感スキルと合わせて、俺はまったく危なげなくボス部屋へと到着する。


「お、お待たせしました」


「待ちくたびれたわよ、下僕。早速だけど、最近何をしていたのか報告してもらえるかしら」


「えっ」


「えっ、じゃありませんわ。あなたはあたしの所有物なの。報告しろと言われたら、きちんと報告なさい」


「セイレーンさんってば強引だなぁ……」


 なんで俺が自分の行動を報告しなきゃいけないのか。はっきりって理不尽には思えるけれど、セイレーンさんには俺の隠密が通じないし、レベル差も大きい。戦っても敵いようがないので、従うしかない。俺はどんなに不満があっても、そうするしか道がないというわけだ。

 そんなわけで、俺はおとなしく何をしていたかということをセイレーンさんに報告する。


「まあ、モンスターにも匹敵する酷い男がいましたのね」


「ええ、俺もぼこぼこにされましたからね。ラティナさんにもらった護石があったので、この通りケガはほぼ治りましたけど」


「さすがラティナ様ですわね。ゴーレム族は守りに長けておりますから、危険に立ち向かう際にはとても頼りになりますのよ」


 ラティナさんから護石をもらっていたことに怒られるかと思ったけど、さすが友人同士なのか問題視はしていないみたいだ。交友関係に助けられたかな。


「それよりも気になりますのは、そのシャボテンダンジョンですわね。雷のモンスターがいたのですか」


「ええ。サンダーウルフとその上位種のガルムに出くわしました。サンダーウルフは作戦のためにわざと突っ込んだんですけど、ガルムは予想外でしたね」


「おやおや、ガルムがいたのですか。よく生きていられましたな」


 俺たちが話をしていると、飲み物を用意してくれたシードラゴンさんが話に混ざってきた。

 セイレーンさんもそうだけど、シードラゴンさんもかなり驚いた表情をしている。二人とも、ガルムは怖いんだろうかな。


「別に怖くなんかはありませんわよ。ただ、あたしたち水のモンスターとは相性が悪いだけですわ」


 あっ、俺の考えが読まれちゃったぞ。そんなに顔に出てたかな?


「ガルムはモンスターレベルとしては58程度ですので、我々よりは下になるのですが、我々水属性のモンスターは雷を弱点とします。それゆえ、相性による補正によって、我々としても厳しい戦いを強いられるのですよ」


「ああ、そういうものなんですね」


 シードラゴンさんの説明で、俺はとても納得がいった。

 だけど、セイレーンさんは相変わらず厳しい表情をし続けているようだ。俺はとても気になってしまう。


「あの、セイレーンさんは一体どうなさったんですかね」


 思わずシードラゴンさんに確認をしてみるものの、シードラゴンさんは答えたくないのか、首を横に振っていた。

 ダンジョンが同一世界からの来訪者たちばかりによるものだとしたら、セイレーンさんの知っている人物がダンジョンにいても不思議じゃないか。

 だって、廃鉱山ダンジョンのダンジョンマスターやラティナさんは、セイレーンさんの知り合いの方だったわけだもの。となると、ここは聞かない方が吉というわけかな。

 とりあえず俺が報告を終えた後も、セイレーンさんはしばらくの間、ずっと考えごとを続けていたようだった。

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