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ラミアプリンセスは配信者  作者: 未羊


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SCENE125 衣織の報告訪問

 あの配信から数日後のこと、ダンジョンに衣織お姉さんがやって来た。


「よう、瞬。久しぶりだな」


「衣織お姉さん」


 姿を見せた衣織お姉さんに、僕は急いではっていく。ラミアの体だから走れないからね。


「お、俺もいるんだけど」


「あっ、高志さん。隠密使ってたんですかね。気がつけませんでしたよ」


 衣織お姉さんの後ろから、高志さんがひょっこり顔を出す。

 なんだろうか。ちょっと恥ずかしそうにしてる感じがするんだけど、気のせいかな。


「隠密使ってなかったのに、気付かれなかったんだ……。俺ってそんなに存在が薄い?」


「なーに、私が目立ちすぎているだけだ。何も気にすることなんてないぞ」


 高志さんの質問に、衣織お姉さんはその背中を叩きながら答えている。さすがにちょっと力入れ過ぎじゃないかな。

 ほら、やっぱり高志さんが痛そうな顔をしてるよ。少しくらい手加減をしようよ……。


「それにしても、衣織お姉さん。今日は何の用事できたの?」


 僕は率直に衣織お姉さんに質問をしている。

 僕からの質問を受けて、衣織お姉さんはなんともにっこりとした笑顔を向けてきた。一体どういうことなんだろう。


「まあ、今日やって来たのは、先日のお礼と報告だな」


「ということは……」


「ああ。ギルド『パラダイス』は叩き潰してきた。ギルドマスターとその取り巻きどもは警察に逮捕されたし、それ以外の連中も探索者の資格をはく奪されたよ」


「そ、そうなんだ……。ずいぶんと重い処分じゃないかな、それ」


 衣織お姉さんの報告を聞いた時、僕はものすごく驚いた。


「ああ、そうだな。ダンジョン内で探索者が死ぬのは自己責任だが、意図的にその状態に陥れていたんだから、殺人罪が適応されてな。元々が不良連中だったから、他にも余罪ありとして追及されてるんだ」


「なるほど……。それじゃ、島谷さんたちは……」


「ああ、無事に脱退届の受理となった。今頃は新しいギルドの名前を考えているだろうな」


「そっかぁ、よかった……」


 以前ここにやって来た視聴者である三人の探索者さんたちは、どうやら無事にパラダイスを脱退できたようだった。

 だとすれば、これからも時折ここに来てくれるようになるってわけだね。よかったなぁ。


「それにしても、瞬。ちょっと聞いてもいいだろうかな」


「うん、衣織お姉さん、何?」


 安心している僕に対して、衣織お姉さんが何かを聞きたがっているようだ。なんなんだろう。


「私がガルムと戦っている時に飛んできた黒い刃、あれは瞬の使った魔法だろう?」


「うん。どうやらそうみたいだよ」


 衣織お姉さんが聞いてきたのは、僕がガルムに向かって放ったシャドウランスのことだった。

 バトラーに確認してみたし、僕のレベルが上がったことからも、あのシャドウランスが僕の使ったものであることは間違いなかった。

 それにしても、衣織お姉さんはその闇の槍を見て、僕の魔法だと確信しているみたいだ。

 普通はそうは思わないと思うんだけど、衣織お姉さんだからなぁ……。僕は衣織お姉さんの話を聞きながら、そう納得することにした。


「いやぁ、私が手こずっていたあのモンスターを、たった一撃で倒すとはさすがだぞ!」


「ちょっと、痛いってば、衣織お姉さん!」


 衣織お姉さんが僕の背中をバンバンと叩き始める。その力が強すぎて、僕はとても痛く感じている。力強いよ、衣織お姉さんってば。


「もう、衣織様。ウィンク様が痛がっております。もう少し手加減をなさってはいかがでしょうか」


 僕が痛がっていると、ラティナさんが割り込んでくる。よっぽど僕が痛がっているのが見ていられなかったようだ。

 ラティナさんは優しいからね。


「悪い悪い。つい手加減ができなかったよ」


 衣織お姉さんが、ラティナさんに咎められながらも笑っていた。本当に、衣織お姉さんってば困ったもんだなぁ。

 そんな中、僕はまったくしゃべらない高志さんの方を見てみる。


(うん? 高志さん、どうしたんだろう。なんか固まったように立ち尽くしているけど……)


 高志さんの様子がおかしいことに気が付いた僕は、首を捻ってしまっている。


「高志さん、どうしたんですか?」


「えっ、あっ、なんでもない、よ……」


 僕が声をかけると、高志さんは目を泳がせながら、なんだか様子がおかしかった。まったくどうしたんだろう。


「おい、下僕くん。瞬に惚れるのはやめるんだ」


「そ、そうじゃないですってば!」


 衣織お姉さんに言われた高志さんは、必死に反論している。


「なんだ。瞬には魅力がないというのか?」


「もう、どう反応したらいいんだよ!」


 反論すると、今度は別の言葉で高志さんに迫っていく。本当に衣織お姉さんってば困ったもんだ。

 高志さんが戸惑うのもしょうがない話だよね。


「まあまあ、立ち話はこのくらいにしておきましょう。ささっ、プリンセス。紅茶の準備ができましたぞ」


「あ、うん。ありがとう、バトラー」


 バトラーの表情は、笑いを我慢しているようだった。

 そんな今にも笑いそうなバトラーの提案を僕は受け入れることにする。


「それじゃ、お茶でもしながらゆっくり話をしよう」


「ああ、そうしよう」


 僕が話し掛けると、衣織お姉さんはとてもにこやかに返事をしていた。

 衣織お姉さんから解放された高志さんは、ものすごく安心した方にほっとしているようだった。本当に大変な人に絡まれて、大変だよね。衣織お姉さんも、ちょっとは過保護から抜け出してもらいたいな。


 そんなわけで、僕たちはバトラーが用意した紅茶を楽しむために、テーブルを囲んで座ることにしたよ。

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