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ラミアプリンセスは配信者  作者: 未羊


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SCENE114 制裁ののろし

 非難の採択が行われた時だった。


「どうした?」


 剛力さんの携帯電話が鳴り、応対を始めた。


「分かった、すぐに行く」


「どうしたんですか、剛力さん」


「客人が来ている。衣織、色、お前たちもついて来い」


「は、はい!」


「俺もですかい?」


 私がちょっと戸惑いながらもちゃんと返事をしているのに対し、色のやつはびっくりしてろくに答えないままついていくはめになった。

 本部のロビーに向かう剛力さんの後を、私と色の二人が追いかけていく。


 私たちがロビーに着いた時、そこには私の見覚えのある人物が姿を見せていた。


「ど、どうも、こんにちは……」


「なんだ。瞬のダンジョンにも姿を見せているセイレーンの下僕じゃないか」


 挨拶に対して、私は事実をただぶつけてやっていた。


「知り合いか?」


「ええ。今回パラダイスをぶっ潰すのにうってつけだと思いましてね。彼に協力を頼もうとしていたんですよ」


「うってつけって、どういうことなんだ?」


「それは、応接室か会議室に移動してからにしましょう」


「ああ、分かった」


 私の発言に、剛力さんは流されるように返事をしていた。


「あっ、すでにもう一方を応接室に通していますので、そちらに移動をお願いします」


「それを先に言え」


 剛力さんは受付のギルドメンバーに文句を言っていた。

 まったくその通りだよ。危うく会議室に移動するところだったじゃないか。というか、なぜもう一人はさっさと応接室に行ってしまったんだ。まったく、困ったものだ。


 私たちが応接室に移動すると、そこにはダンジョン管理局の副支部長である浮島さんが座っていた。


「すまない。先に用意しておきたいものがあったので、応接室に先に通させてもらっていたよ」


「浮島さん、どういうことなんですか、一体」


「まあ、そこは座ってから話をしようじゃないか」


 人のギルドにやって来ておいてと文句を言いたいところだが、相手は管理局の人間だ。相手が乗り込んできたとはいえ、立場としては向こうが上。私はぐっと言葉を飲み込んだ。

 私と剛力さんと色は浮島氏と向かい合うように、セイレーンの下僕は浮島氏の隣に座っていた。


「さて、どうやらパラダイスはかなり好き勝手していたことが浮き彫りになったようですね」


 浮島氏はそのように切り出していた。


「ああ。あの配信を見れば誰だってそう思うでしょう。だから、早めに対処をすべきだと思います」


「一応、ウィンクさんのダンジョンは警備を強化しております。いくら脅そうにも、もう簡単に中に入ることはできないでしょうね」


「そうか。それならひと安心だな」


 警備を強化したと聞いて、私はほっとしている。

 瞬に何かあっては、私はやつらを半殺しにしなくては気が済まない。いや、半殺しでも生ぬるいな。


「そ、それにしても、俺が呼び出されるってどういうことなんですかね。なんだか嫌な予感がしているんですけれど……」


 おっと、この下僕くんはずいぶんと勘が鋭いな。さすが直感スキル持ちといったところか。


「いや、正直あのギルドの探索につき合わせるというのは、気が進まないのですけれどね」


「なあに。やつらが今までやって来たことを思えば、生ぬるいことでしょうよ」


「そうですね。調べてみた結果、彼らの探索では、毎回死人が出ております。しかも、損傷が激しくて身元の特定に時間のかかるものばかりです。となると、疑惑として浮かび上がっていたことは事実ではないかと考えざるをえません」


 かなり浮島氏は消極的だな。まあ、いくら真相を明かすためとはいえ、無関係の人間を巻き込むんだからな。


「え、えっと……」


「下僕、だいたい察しがついただろう。パラダイスの連中に探索を持ちかけて、あいつらを罠にはめてやるんだ」


「え、ええ?!」


 私が作戦の内容を話すと、下僕はものすごく驚いていた。


「なあに、ここまでの推測からすると、あいつらはお前をお取りにしてモンスターの前に突き飛ばすだろう。そこでモンスターを十分引き付けたところで、お前の持つ隠密を発動するんだ」


「で、できるかな……」


「ああ、できるさ。あいつらが何をしようと、お前は絶対安全になるようにしてやるからな。浮島氏、ちょうどよさそうなダンジョンはありますかね」


 下僕くん相手に話をつけたところで、私は浮島氏に話を振る。


「この辺りでよさげなダンジョンといったら、シャボテンダンジョンでしょうかね。石橋さんなら、このダンジョンの名前にピンと来るはずです」


「……ああ、忘れもしない。友人を失ったダンジョンだ。はは、あの因縁の地で、奴らに引導を渡そうっていうわけか。ずいぶんと粋な計らいをしてくれますね」


「ええ。実のところ、私たちダンジョン管理局も、彼らの振る舞いにはほとほと呆れているのです。このままでは探索者に嫌気をさす者も出てくるでしょうから、いい機会だと考えております」


 私はつい笑ってしまう。友人の敵討ちと、瞬に対する無礼へのお礼参りとが同時にできるわけなのだからな。


「分かった。決行の際にはまた連絡をして欲しい。準備のために、私は一度瞬のところに行かなくちゃいかないからな」


「ウィンクスダンジョンにですか?」


「ああ。この下僕くんのスキルは優秀だが、あいつらが何もしないとは限らない。もしスキル発動が妨害されたら、この下僕くんは今までの人たちの二の舞だからな」


「ひっ……!」


 死ぬ危険性のことを話すと、下僕くんは震え上がっていた。


「大丈夫だ。この作戦を成功させるカギは、瞬のダンジョンにいるラティナっていうゴーレムが握っている。準備のために彼女に会いに行くとしよう」


「わ、分かりました。一緒に行けばいいんですよね?」


「うむ。それじゃ早速向かうとしよう」


「はい!」


 おやおや、さっきまでビビってたやつが、ずいぶんと威勢のいい返事をするな。

 話のついた私は、下僕くんを連れて本部を出発することにする。あとのことは剛力さんと色に任せておこう。

 車に乗り込んだ私たちは、一路、瞬のダンジョンへと向かっていった。

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