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ラミアプリンセスは配信者  作者: 未羊


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SCENE100 探索者を求めて

 俺はセイレーンさんに頼まれて、三時間かけてウィンクスダンジョンまでやって来た。

 ここまでやってくるだけでも、乗り継ぎが大変だから困る。最後は最も近いバス停からでも歩いて三十分だからなぁ……。どれだけ外れた場所にあるんだよ、ここは……。

 とはいえ、セイレーンさんからの頼みでここまで来ているんだ。こんなことで弱音なんて吐いていられない。俺はウィンクスダンジョンへと入ることにする。

 だけど、ダンジョンの入口には管理局の人がいる。

 どうしよう。このまま隠密を継続して無理に突破もできるけど、それっていいのかなぁ。

 迷った俺は、隠密を切って堂々と入ることにした。


「どうぞ」


「えっ」


 普通に手続きをしたら、普通に入れてしまった。

 当たり前といえば当たり前なんだけど、俺には逆に新鮮だった。隠密で突破してた反動からかな……。

 ダンジョンに入った俺は、普通に最奥を目指して歩いていく。

 途中にある部屋に入ると、一斉にキラーアントに目をつけられてしまう。


「ひっ!」


 俺はびっくりして、思わず隠密を発動させてしまう。

 その瞬間、キラーアントたちは俺の気配を見失い、きょろきょろとあちこちを見た後、何事もなかったかのように気ままにうろつき始めた。


「はあ、怖かったぁ……」


 俺はまだまだ弱い探索者なので、キラーアント相手でも苦戦は免れない。隠密があるからこそ、どうにかやっていけているんだ。


「少しは……強くならなくちゃいけないよな」


 ふうっとため息をついた俺は立ち上がり、改めてボス部屋を目指してダンジョンの中を進んでいった。


 無事にダンジョンの一番奥へと到着する。


「この気配は、セイレーン様の下僕ですな」


「えっ、誰か来たの?」


 ボス部屋に足を踏み入れるなり、二人の声が聞こえてくる。

 俺に気がついたのは、このダンジョンのボスであるウィンクさんの執事のバトラーさんだ。遅れて反応したのがウィンクさんだ。

 俺の隠密は、ウィンクさんにはまだ通じているみたいだね。


「どうも、こんにちは」


 俺は隠密を解いて、二人の前に姿を見せる。


「あっ、高志さん。どうしたんですか、僕のところに来るなんて久しぶりですね」


「はい、お久しぶりです。今日はセイレーンさんから頼みがあってやって来たんです」


「セイレーンさんから?」


 俺が訪れた理由を話すと、ウィンクさんはとても驚いていた。


「そういえば、セイレーン様も探索者育成の乗り出したそうですな。そのことに関連してということでございましょう」


「ああ、そういうことか。でも、参ったなぁ。僕には探索者の知り合いはいないもん」


「衣織殿くらいですな」


「うん」


 バトラーさんは俺の話をすぐに理解してしまっていた。さすがダンジョンマスターの補佐をするモンスターだ。頭の回転が速すぎる。

 だけど、予想と違ったのは、ウィンクさんに冒険者の知り合いがいなかったことだ。これには俺は正直頭を抱えた。


「そうですか。困ったなぁ……」


「ごめんなさい。お役に立てそうになくて」


「いや、俺も思い込みでセイレーンさんに提案してしまったので、どちらかといえば俺の方が悪いですよ」


 ウィンクさんが謝罪してくるので、俺は気にしなくていいと慰めることにした。

 そんな中だった。


「衣織殿を呼びますかな」


「ちょっと、バトラー?」


「唯一の探索者の知り合いなのですから、活用しない手はありませぬ」


「いや、今衣織お姉さんは横浜だよ? 車を飛ばしてきても二時間近くかかるから、迷惑だよ」


 突然、鬼百合の衣織を呼び出そうとか言い出し始めて、俺は表情が引きつった。あの人、ものすごく怖いんだよ。


「うん、谷地さんと日下さんを呼ぼう? それなら時間があまりかからないから」


「むぅ、仕方ありませんな。ダンジョン管理局の方ですから、程よい探索者を教えて下さるかもしれませんしな」


「うんうん、そうそう。そうしよう」


 なんだかよく分からないけど、この辺りのダンジョン管理局の人を呼んでくれるみたいだ。それならいい感じのいけに……探索者を見つけてくれるかもしれない。

 俺が見ている前で、ウィンクさんは携帯電話でどこかに連絡を入れ始めた。


「二十分後にはこちらに来られるみたいです。なので、ちょっとテーブルでも囲んでゆっくり待ちましょう」


「はい、お言葉に甘えさせてもらいます」


 通話を終えたウィンクさんに勧められて、俺はウィンクさんの出したテーブルを囲んで座ることにした。

 こんなことをしていると、ここがダンジョンの中ということを忘れそうになってしまう。


「あら、見知らぬ方がいらしてますね」


 突然声が聞こえてきた。その声のした方向に目を向けて、俺はびっくりして椅子から転げ落ちてしまった。


「ご、ご、ゴーレム?!」


「あらら、驚かせてしまってごめんなさい。私はラティナ・ロックウェルと申します。先日よりウィンク様のダンジョンでお世話になっております。あの、どちら様でしょうか」


 目の前に現れたゴーレムは、とても礼儀正しかった。

 気が動転していた俺だったけど、どうにか落ち着いて立ち上がると、挨拶をさせてもらう。


「俺は水瀬高志といいます。時折こちらのダンジョンにお邪魔させていただいている探索者です」


「まあ、そうでしたか。それでは、これからも時々こうやってお会いすることができますのね」


 ゴーレムだというのに、表情がころころと変わって、なんとも可愛らしい人だった。

 なんだろうか。俺はちょっとした心の高鳴りを感じた気がした。


「おや、どうやら谷地殿と日下殿がやって来たようですぞ」


「そっか、バトラー、お出迎えを頼めますかね」


「お任せを」


 むむっ、どうやらダンジョン管理局の人たちが到着してしまったようだ。

 だけど、ちょっと気になっただけで、俺はまたラティナさんの方に目を向けてしまう。

 まさか……これが恋というものなのだろうか?

 俺はしばらくそのまま立ち尽くしてしまっていた。

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