表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
3/4

僕の話

 

 僕の話をしよう。


 ◆◇◆◇◆

 

 僕には思い出せない記憶がある。

 う〜ん、空白の時間があると言ったほうがいいかもしれない。


 ◆◇◆◇◆


 空白の時間の前。

 僕は、弟が神さまに会えると聞いて自分も会いたいと言って駄々をこねていた。

 孤児院の先生は泣いていて、ベッドに横になっている弟をぎゅっと抱きしめていた。


 ずるいよ。

 弟はどうして神さまに会えるの?


 先生が言った。

 あの子は、天使だからね。

 

 きっと弟は羽を持っているのだろう。見たことはないけれど。

 僕も羽がほしい。

 そして、羽を探し回ってとうとう見つからないかもしれないと泣き喚いた。

 そこまでは覚えている。

 

 しかし、後の記憶は消えていた。


 ◆◇◆◇◆


 空白の時間の後。

 僕はベットの上に寝ていた。

 背中がいたい、苦しい。

 背中には包帯が巻かれ、先生が泣きながら僕を見下ろしていた。

 泣き笑いの顔になると、僕を抱きしめて、何かを口にした。


 ――すまない。

 

 あまりにも小さいその声は、僕の耳には入らなかった。

 

 すこし落ち着いた僕は、弟を探した。

 弟はいつもずっとベッドから出ずに遊んでいたから、すぐに捕まるはずだ。

 僕が神さまに会えないなら、弟を引き止めて神さまに会えなくしてやる。

 

 でも、弟は居なかった。

 神さまに連れて行ってもらえたんだって。


評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ