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私の話
私の話をしよう。
◆◇◆◇◆
――この力を人の欲望のために使ってはなりません。貴方は優しいので、いつかやってしまわないか怖いのですよ。
1番強く教えられたこと。
この勧告を破ってしまったことが、私の過ちだった。
◆◇◆◇◆
あの日、悲しむ男の子を見つけた。
綺麗な子だと思った。
ぐすっ。弟は神に会わせてもらえるんだ。
あいつは羽があるから。
僕も羽が欲しい。
神に会いたい。
よくよく話を聞くと、弟は天使に生まれたらしい。
人に羽は生えないと思うのだが……。
このとき、私自身が彼のあいたがっている神であることは、頭からすっかりと抜け落ちていた。
依然として彼は、グズグズと泣き止まない。
可哀想になってきてしまった。
彼に羽を与えれば、笑ってくれるだろうか?
しかし、それは人間の欲望を叶えるということになってしまう。
私の服の裾を握り泣く彼を見た。
――そして、 私は彼に羽を与えた。
彼は満面の笑みを浮かべ、抱きついてきた。
その笑顔で私は満足だった。
そして、 私は堕天した。