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紺碧の説明論

 突然、周囲が暗くて青い光に包まれた。コウくんの周りだけ明るく、ほとんど周りは見えない中でコウくんは話しはじめた。


「まずハッピーエンドに欠かせないのは、事実の認識だね。演劇同好会は、大会には勝てなかった。僕が失踪したせいでできた穴を、二人は埋めることができなかったからだ。そして、僕たちよりもすごい先輩達を越えることも。逆に言えば、僕さえいれば大会に勝てたはず。だから、今から二人の過去を書き換える」


 チヒロが困惑した声を上げる。


「ええ……?」


 私も少し混乱していた。確かにコウくんは戻ってくるともハッピーエンドを作るとも言っていたけれど、今何が起こっているかは私にはわからなかった。


「それは…どういう」


 コウくんは勿体ぶらず、率直ないつも通りの口調で話を続ける。


「二人は、僕が失踪しないことを望んでいた。それから、大会で高い評価を得ることを」


 私はコウくんに尋ねる。


「そうだけど……過去は変えられないんじゃないの?」


 コウくんは不敵な笑みを浮かべて、無表情なままだった顔を少し緩めた。


「普通はそうかもしれないね。じゃあ、僕があれほど長い間学校に姿を見せなかったのに、先生は何も言わなかったよね。それはなぜか分かるかい?」


 いなかったことになっていた。それはわかるが、先生はコウくんが去るときにも何も言わなかった。全く何もわからない。頭が混乱する中、私は一言「わかんない」と言った。コウくんは残念そうに言う。


「そうか……。じゃあ答を言わせてもらおう。……それは、この世界線が僕のいないものに書き換わってしまったからなんだ」


 コウくんが言っていることの意味は本当にわからない。考えても、何を思っているのかすら今はわからない。


「さっきから言ってることの意味が……」


 そう言ってから「どういうことなの、説明して」と聞こうとすると、それを遮るようにしてチヒロが言った。


「パラレルワールドってやつ?」


 コウくんはスマホを背後に隠したチヒロを見て言った。


「おっ、チヒロは分かったみたいだね」


 チヒロはウィキペディアの説明文のように、パラレルワールドの説明を始めた。


「パラレルワールドは、平行世界ともいわれる、少しずれた別の世界。無限に存在し、あらゆる選択によってあらゆる方向に分岐する……とされている。つまり、この世界が少しずれた世界、パラレルワールドになったから……コウくんがいなくなっても先生は何も言わなかったってこと?」


 コウくんは音がしないように拍手をして言う。


「正解だよ、チヒロ」


 私はチヒロをつついて、「チヒロ、ググった?」と聞いてみた。チヒロは「ふふっ」と笑って、「バレた?」と言ってから


「でもどうして世界が書き換わったの?」


 とコウくんを見て尋ねた。


「大丈夫、チヒロたちが気にすることじゃないよ。僕がハッピーエンドに連れて行くから」


 コウくんはそう言って胸を張った。チヒロがコウくんを仏像を見るような目で見て


「コウくん……もしかしてあれは本当なの?」


 と意味ありげに尋ねた。


「あれって何?」


 そう私が聞くと、コウくんはうなずいて言った。


「ああ、本当だよ。僕はこの世界の全てを操れる、アノマリーなんだ。前にも言ったはずだけど」


 聞いた覚えがない。というか、何の話だろうというような単語ばかりが出てくる。何かがおかしい、そう思って私は話を止めた。

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