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白猫カフェテリア  作者: 黒茨 奏龍
6/8

第四話『都会で初めての勤務準備』

前回のあらすじ

白カフェの店長であり、銀次の下宿先の主である徹さんに挨拶をし、部屋の準備を整え、自身の時代の遅れを実感する銀次。もはや、銀次より長く生きてきた徹さんの方が近代的と言えてしまうだろう。めげるな銀次!

今回は、白カフェで初めての勤務をするための前準備をするお話である。

 想定の何倍も速く支度が終わったという事で、俺は徹さんに白猫カフェテリアの仕事を教えてもらうことにした。

 「高校生なのに下宿先で仕事をするなんて、本当に働き者だねぇ。」

 「いえ、実家でも小学生の時から働いてましたから。それに、しばらく住まわせていただくので、働くのは当然です。」

 「立派な考えをを持っているねぇ!本当にすごいよぉ。」

 「それほどでも……ないです。」

親父以外に褒められるのが初めてでかなり照れる。俺ってこんな褒められ慣れてなかったか?と思いつつ、まず更衣室に向かう。

 「これが、君の制服ねっ。」

徹さんは、俺に制服を渡してくる。真っ白いワイシャツと黒い布地に灰色のラインが入ったベスト、清楚的なパンツスーツだった。凄く落ち着いた感じで、それでいて華やかな感じの見た目である。

 俺のも似合うかな?と思いつつ俺はロッカーに先ほどまで来ていた服をロッカーに入れ、渡された制服を着用する。そして、制服を着た姿を鏡で見てみる。

 「これは…………若作りの御爺さん!?」

驚愕である。俺が、比較的大人っぽい服を着ると、大人を通り越して高齢的な見た目になるなんて…………ありえない…………。俺は、この高齢的見た目を作り出している薄汚いいろの白髪に対し絶望した。……もはや禿げたい……。

 着替え終わったので、更衣室から出ることにする。更衣室の外で待っていた徹さんは、

 「おぉ、似合ってるよ銀次君!なんだか貫禄が感じられるねぇ!」

 「は、はぁ…あ、ありがとうございます…。」

……貫禄……この言葉を聞いた瞬間、地球の重力が強く感じ、地面に突っ伏したくなった。やっぱり俺は、老けて見えるのだろうか……。そう考えすぎつつ、俺は徹さんと共に仕事場に向かう。

 最初に向かったのは、厨房である。

 「君には、主にホールの仕事をやってもらうことになるけど、一応、厨房とシェフの紹介だけしておくねぇ。」

そう言って徹さんは厨房の調理器具を紹介してくれる。そして、器具の紹介が大方終わった後、シェフの紹介に移った。

 「彼女は、葉月はつき 怜子りょうこさん、バイトでシェフをやっていてね、これまた凄く美味しくてねぇ!キッチンはほとんど彼女の管轄の元で動いているんだよぉ。要は、シェフのバイトリーダーだね!」

 「灰根はいね 銀次ぎんじです。よろしくお願いします。」

 「よろしく。」

料理中らしく、凄く淡泊な挨拶をされた。彼女の手つきは素早く正確、時間も間違いなく、材料の扱いは雑に見えるような速さでありつつも、洗練されていると言える丁寧さ。もはや、プロの領域を凌駕している。料理を少々していた俺でも分かる。この料理人シェフは、さっきの料理を作ってくれた人だ。そして、いずれ俺の想像もつかない領域を突き抜ける方だ。バイトリーダなんてついでと言えるくらいの。俺は、料理中に邪魔されたくないだろうと考えたので、これ以上の声かけをせず、感謝と敬意を心に秘めて、徹さんと共に、その場を立ち去った。

 そして、次は先程視察をしたホールに向かった。

 「ここがホールだよぉ、なかなか広いでしょう?」

 「元喫茶店と言うにしては結構広めですね。」

 「そうでしょう?それじゃあ、今から仕事について教えていくね。」

 「はい、よろしくお願いします。」

そして徹さんが教習場所に向かおうとした時、

 「私、そろそろあがります。陽介さんがいらっしゃったのでホールは大丈夫だと思います。」

先程の白髪の少女がホールを後にするために、徹さんに仕事の報告をしてきた。

 「あぁ、お疲れ様琥珀ちゃん!じゃあ、僕今から銀次君に仕事を教えてくるからねっ。」

 「はい、それでは。……これから、よろしくお願いいたします。」

突然俺に挨拶をしてきたので、

 「え?あぁ、よろしくお願いします。」

俺も若干戸惑いながら挨拶をする。

 「じゃあ、仕事を教えていくねっ。じゃあ、まずカウンターに行こうか!」

 「はい、わかりました。」

徹さんが、歩き出したので、続いて俺もそれについていく。

 向かった先は、コーヒーやその他の飲み物を作る作業カウンターである。やはり、元喫茶店の名残からか、コーヒーを淹れるための設備が整っている。コーヒーサイフォン、旧式エスプレッソマシン、手動コーヒーミル等、カフェテリアと言うには少々違和感のある機会がカウンターに置かれていた。カップも、棚にあるほとんどが使い古されたコーヒーカップである。逆に言えば、それ以外の飲料を用意する設備がかなりに少ないのである。年期を感じないガラスティーポットや、新調したと見受けられるティーカップ、種類が少ないがよく見るポピュラーな茶葉。オレンジジュースやリンゴジュースの入った大きめの瓶。コーヒー以外の事には無頓着、という印象が染み込んだ作業カウンターである。ついでに言えば、ほぼ全ての客席を見渡せるほどガラ空きの、よくあるバーカウンターである。

 「ここが、ホール担当の作業カウンターでね、コーヒーやジュースや紅茶をつくる場所だよ。」

 「なるほど。ところで、料理はどのようにして運ぶのですか?」

 「あぁ、料理はね、シェフの方々がカウンターの料理置き場に運んでくれるんだぁ、いやぁ、元々喫茶店としてやっていく想定だったからねぇ、飲食店営業許可を取って料理を扱うとは想像もしてなかったんだぁ。いやぁ、シェフの方々には苦労を掛けちゃって申し訳ないね。」

 「はぁ、なるほど。」

シェフの方々も料理をするだけじゃ無い様だ。

 「話をそらしてしまってすいません、お仕事の説明をお願いします。」

 「あっ、いいのいいの!気になるもんねぇ。まあ、とりあえず始めようか!」

そう言って、素早い手つきでコーヒーサイフォンを手に取る。

 「今日は、コーヒーの淹れ方を学ぼうね。ホールに出るのはコーヒーとか飲料の作り方を覚えてからにしよう。」

 「え?あ、はい。わかりました。」

突然、コーヒーの淹れ方だけを教えようとしてくる徹さんにびっくりしたが、まあ、喫茶店的な飲料が主流のカフェだ。コーヒーを淹れれなければ、ホールに出られないという事だろう。結局、お客様が集まっているホールでまだ働けない歯がゆさと、接客業としては若干解せない部分を感じながらも、俺は徹さんの説明を受けることにした。

銀次君、僕も時代にはあまり乗れてない気がするけど、銀次君のは相当なものだと思うよ…(by徹)


次回予告

コーヒーを淹れる練習を始める銀次、はたして銀次は元喫茶店の名に恥じぬ実力を徹さんから学べるのだろうか?

次回、第五話『神業バリスタ徹さん』

次回も、見てくださいね。

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