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古流武術異世界戦記  作者: タキケン
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亜人の誕生

63話


「・・・んっ!?ノアの息子!?俺が?・・・ノアって、方舟の?」


 竜族の長であるサーラガが言ったことに優司自身も内心驚いていた。


「ダグザ、ノアって何だ!?これは、一体・・・?」


 優司は少し混乱しながらもダグザに疑問を投げかけた。優司以外の者も驚きながらダグザを見ている。すると、サーラガもダグザを問い質した。


「ダグザ殿、この者はヒューマンのことを知らないのですかな?」


「はい、話してはおりませんですじゃ!ヒューマンのことも、亜人が誕生した経緯も・・・」


「そうですか・・・、お話しておいた方がよろしいのでは?」


「そうですじゃな・・・、頃合いでしょうかな・・・」

「まずは、この世界の成り立ちを少し話しておきましょうかのぉ・・・」


 ダグザはサーラガに促される様にヒューマンと亜人誕生の秘話をゆっくりと語り始めた。


 神霊や精霊は自分たちの存在を確固たるものにするために生命を創り、生命が営む生活から発生する信仰心を自分たちに向けさせることで、自分たちの存在意義の糧にすることを思いついた。そして、自然神の中に豊穣の神であるイシスが産まれた。

 豊穣神であるイシスは初めに天神ヴィシュヌ、魔神シヴァ、樹木神ユグドラシル、竜神バハムートを創り、各神に役目を与えた。その役目とはヴィシュヌとシヴァに生命の管理を任せ、ユグドラシルとバハムートには生命の営みを任せた。

 生命の営みを任せられたユグドラシルは植物を創り、バハムートは動物の初めである竜族を創った。さらにバハムートは水の中で生活する生物の神霊である魚神レヴァイアサンを創り、続いて陸上で生活する獣たちの神霊である獣神ベヒモスを創り、同時に空で生活を行う鳥の神霊である鳥神ジズを創った。こうして各種族の核となる種族神が産まれた。この種族神たちは自身に連なる氏神や精霊たちを生み出し、そういった氏神や精霊たちが様々な生物を生み出していった。

 いつしか、生物たちは環境による進化や退化、突然変異を繰り返し、多種多様な生物が発生していった。

 あるとき、獣神ベヒモスから派生していた獣の中に猿人が産まれた。そして、猿人の中に体毛が薄く、牙や爪も鋭くない原人が発生した。原人は他の獣人よりも力が弱く体も脆い存在であったため、他の生物の捕食対象として格好の的であった。しかしながら、原人たちは群れを成し、自ら社会を形成することによって他の生物から辛うじて自分たちの存在を守っていた。

 自ら社会を形成する原人を見て天神ヴィシュヌより生命の管理を任されていた意思の神霊ルシフェルと知恵の神霊であるサマエルが原人の中に信仰心の強さを感じた。その原人の信仰心の強さを更に高めて神霊や精霊たちの糧となるように計画し、原人に自ら考えて行動する自由な意思と知恵を与えた。これにより、原人は人間へと進化した。

 しかしながら、自由意思と知恵を持った人間は世界を脅かす存在であると秩序の神霊であるヤルダバオトがルシフェルとサマエルを非難し、人間を抹殺するべく行動を起こした、これは後に『天界紛争』と呼ばれるものである。

 天界紛争はヤルダバオト率いる天族と、ヤルダバオトに賛同した神霊や精霊たちで構成された陣営と、ルシフェルとサマエル率いる天族と人間との連合軍の間で争われた紛争である。

 この紛争の結果はヤルダバオト陣営の勝利で終わった。敗北したルシフェルは魔界に逃れ、サマエルは行方不明となった。しかし、ルシフェルとサマエルは敗北が決したとき、豊穣神イシスへ人間の救済をお願いした。人間達を哀れに思ったイシスは地母神ガイアへ相談し、人間の住む異世界を創り、人間と色々な生物を方舟に乗せて送り出した。その異世界が優司の住む世界であるらしい。しかし、一部の人間は天族に捕まり、以降天族の奴隷として存在している。

 天界紛争後、以前より魔族を敵視していたヤルダバオトはルシフェルを匿う魔族を非難し、宣戦布告を行った。天魔大戦の始まりである。


 天魔大戦時、とある精霊が天族の奴隷である人間が最前線に多数送られるとの情報を得た。その精霊は肉体を手に入れるチャンスと思い、仲間の精霊たちを集めて戦場に向かった。

 戦場には予想通り、数多の人間の死体が転がっていた。それを見た精霊たちは我先にと人間の肉体を手に入れていった。それを見たヤルダバオトは、自由意思と知恵を持った人間の肉体を手にした精霊たちに激怒した。そして、受肉した精霊たちに人間同様の寿命と子をなす苦労を与え、未来永劫苦しみの中で生活する様に試練を課した。これが亜人の始まりであるそうだ。


 ダグザは話し終えると優司の顔を見て言った。


「あのとき、ガイアとイシスの手によって送り出されたノア達の子孫が今はこうしてこの世界を救おうと奮闘してくれている。因果とは奇妙なものですじゃな・・・」


 全員が息を呑んでダグザの話を聞いている。

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