会談
42話
中央の豪華な椅子に着席した老人が話し始めた。
「ルイ、帰ってきてくれた様だな・・・。心配したぞ・・・。」
すかさずルイが怒りを含ませながら答えた。
「マリアやリンの心配はしないのですか!?同じエルフ族であり、アリアも貴方の孫です!」
「私は帰ってきたのではありません!マリアとリンの身に起きたことを知らせに来ただけです!」
ルイの語気や態度を見るに相当怒っていることが伺えた。ルイが話を続けている。
「マリアとリンはこちらにいるレプラコーン達の里に身を寄せていたそうです。レプラコーンの者たちに非常に世話になった様子です。」
「そして・・・、そこでマリアが魔族に殺され、リンが連れ去られたそうです!そのときに、こちらの優司と妖族達が応戦してくれたそうです。さらに、リンを奪還するために、この様なパーティーを組んで魔国を目指して旅をしている状況です。」
「リン奪還のための対策をや方針を決めるために私たちエルフに相談をするべく、エルフの里に来訪したという訳です。」
ルイが話している最中、リンが攫われたことを話したとき、聞いていたエルフ達に騒めきが起こった。
話を聞いた老エルフは一瞬、驚きと落胆した様な表情を見せたが、直ぐに冷静に話し始めた。
「そうか・・・。マリアが殺されたか・・・。そしてリンが魔族に攫われたと・・・。由々しき事態になってしまった様だな・・・」
直ぐにルイの父であるトーマスが話し始めた。
「非常事態であると思います。魔族はリンの眠れる力のことを誰かから聞いたのでしょう。その力を利用しようと考えているのかもしれません」
すると聞いていたエルフの一人が話した。
「いったい誰がリンのことを魔族に話したのですか?リンの力のことは我々エルフのみしか知らないはず!エルフの誰かが魔族に話したとしか思えません!」
「そうだな・・・。誰かが私欲のために魔族に情報を売ったのであろう」
老エルフが呟く様に疑問に答えた。
「誰がっ!?くっ!」
誰が言ったか解らないが、エルフ達が悔しそうにしていることが痛いほど解った。するとトーマスが疑問を話した。
「魔族はリンの力を使って何をしようとしているのでしょうか?」
「天魔大戦・・・」
こちら側に座っていたダグザが呟いたと同時に立ち上がって話し始めた。
「恐らく魔族は天魔大戦の雪辱を晴らそうとしておるのじゃと思いますじゃ!」
「天魔大戦!そんな太古に起こった戦のことの遺恨が未だに残っていると!?」
トーマスが驚いた様に問い返した。
「はい、わしは魔族と天族の動向を長年伺って来ましたじゃ・・・。天族の中の天使族は魔族を神敵として敵視しておりますじゃ!さらに魔族の一部は雪辱を晴らそうと準備をしており、堕天した元天使族共がそういった魔族をそそのかしているのが現状ですじゃよ!」
「よって何かきっかけがあれば天魔大戦が再発するのは間違いないですじゃ!」
「天魔大戦・・・。我々亜人にとっては物語の中の話だと思っていたが・・・。未だに現実の問題として残っているとは・・・」
老エルフが呟く様に話した。
「リンの力を戦に役立てようと思っているのであれば、魔族に情報を流したのはリンの眠れる力を理解している者であろうと思います・・・」
トーマスが老エルフに申し上げた。すると老エルフは静かに呟いた。
「ユダか・・・」
「エルフの誰かは解らないが、今回の件にエルフが絡んでいるのは間違いない!リンを攫ったであろう馬車にエルフが魔族と一緒に居るところをこのヘパイストが確認している」
テュールがヘパイストを指さして説明した。ヘパイストは小さく頷いている。
「ユダで間違いないでしょう・・・。ヤツの物欲と権力欲を考えれば、リンをネタに魔族に取り入るのも納得いきます」
トーマスが老エルフに進言した。そして、他のエルフ達がざわつき始めた最中、トーマスが老エルフに今後の対応をどうするかと投げかけた。
「事ここに至っては我々エルフも黙っている訳にはいきません!リンを奪還することを優先とすることが望ましいと思われますが、いかがいたしましょう?」
すると他のエルフが口を挟んできた。
「しかしながら、奪還をするといってもいったいどうすれば良いのですか?いたずらに魔族を刺激してしまえばエルフ全体の被害になるかもしれません!」
「魔族の目的が打倒天族なのであれば、我々エルフへの被害は無いかも知れません!」
この言葉を聞いたルイが発言したエルフを睨みつけていた。しかしながら、リン奪還反対派の発言は続く。
「私も無理に奪還することは必要ないかと思います。幸いにも我々の里は魔族と天族の領域からは外れています。そして主戦場となるであろう土地はすでに不毛の地となっておりますので、実害は無いかと」
「元来、不干渉がこの世界の各種族の方針です。よって、こちら側から干渉しなければ魔族も我々に何もしないでしょう」
「そもそも、リンのことが判明したときに処分することが決定していたことです。それをマリア達が逃げ出したのが原因、実害の無い時点での行動は危険と思われます。よって、静観するべきではないでしょうか?」
ルイが憤りながら立ち上がるが優司が制しながら話し始めた。
「ルイ、申し訳ないが、エルフが叡智の民と呼ばれているのは、どうやら勘違いの様だな!むしろ愚者の集まりだった様だ!」
優司の言葉にエルフ達は目を丸くして驚いていた。




