エルフの里
40話
優司達一行はルイの指示の通り街道を左に曲がり、エルフの森に差し掛かった。エルフの里は、この深い森の中心にあるという。エルフの森にはエルフ達が結界を張っているそうで、安全に旅が出来る様だ。その理由は、叡智の民と呼ばれるエルフの里には魔術や法術、錬金術といった魔法技術を学ぶために様々な種族が集まって来るからだそうだ。
エルフの森に入ると優司が困った顔をしている。何故ならコバエが多くなった様子である。しかしながら、それを忘れさせるぐらいの景色が広がっている。木漏れ日は木々の幹でキラキラと輝いており、所々日の当たったところでは陽炎が揺らめいている。のんびりとしてゆったりと時間が流れている。そんな感覚になり、結構リラックスしている様子である。
「ひゃぁ~、いいところでやんすねぇ~・・・。」
「本当だなぁ・・・。俺たちの里とは大違いだなぁ・・・。」
タケゾウとキヨタがのんびりと話していた。
「コボルトの里は森の中じゃないのか?」
優司ものんびりと聞いてみた。
「へえ、俺たちコボルトは坑道とか地下に住みやす。ですのでお天道様の下ってぇのは、ちょっと苦手です。」
「そういえば、ドワーフの旦那も坑道の住処が多いですよね?」
タケゾウがテュールとヘパイストへ話の水を向けた。
「そうだな・・・。我々ドワーフは山に坑道を掘って住処にするな・・・。ただ、地下は無いな。あくまでも鉱石を掘るための坑道がそのまま住処になるって感じだ・・・。」
テュールが答えていた。
「なるほど、種族によって文化が違うんだなぁ・・・。」
優司がゆったりとした口調で話していた。
「旦那!どうしたんです?なんか、気が抜けてますが?」
タケゾウが不思議そうに優司に問い掛けた。
「ああ、なんか、のんびりするなぁ・・・。この森・・・。」
優司が答えるとキヨタが話し始めた。
「そうでやんすねぇ・・・。いいところでやんす・・・。ところでエルフの姐さんは何故エルフの里を出たんでやんすか?こんな良い所・・・。」
「そういえば聞いてなかったわね・・・。ルイの身の上・・・。」
ルリが話しながらルイを見た。ルイは無言で俯いた。
「話したくなければ話さなくていいよ!」
優司がルイに話した。するとルイが顔を上げて身の上を話し始めた。
「いや、話しておきましょう・・・。エルフの里に行けば解ることだから・・・。」
「私がマリアのいとこであることは話したと思う・・・。」
それからルイはリンが産まれた経緯を話し始めた。
「リンが産まれて数日が経ったとき、リンがマリアのお腹にいる間、禁断の呪法を施されていたことが明らかになった・・・。その禁断の呪法を施したのが父親であるエディだったわ・・・。」
「発覚した理由はエディが成功を狂喜していたからなの・・・。それでエルフの幹部でエディを尋問したの・・・。」
「どんな呪法を行っていたのか、私は解らない・・・。ただ、リンを処分するか否かの話をしていたんだと思う・・・。それを知ったマリアはリンを連れて逃げ出したの・・・。たった一人で・・・。」
「私は許せなかった!例えエルフに脅威である存在であろうと、産まれたばかりの女の子を処分しようとするなんて!」
「それでマリアとリンを探すために里を出た・・・。マリアとリンを守りたくて・・・。」
「マリアは逃げ出す前に私のところへ来たわ・・・。馬を借りに・・・。状況を話して・・・。その時に一緒に里を出ていれば・・・。こんなことにはならなかったかもしれない・・・。」
「そうか・・・。事情は良く解った・・・。話してくれて、ありがとう!」
優司が優しくルイの肩に手を置きながら話し掛けた。
「なあに!魔族を滅ぼしてでもリンを救い出そう!俺たちなら出来る!」
トールが大きな声を張り上げて言った。
「グスッ・・・。あっし達も協力しやしょうねぇ・・・。あにき!」
「ばっ、ばかっ!おめぇ、泣いてんじゃねぇよぅ!」
「あにきも泣いてんじゃねえですか!」
「うるさいっ!俺はいいんだ!」
「あー、もう!うっとおしい!メソメソしるんじゃないわよっ!」
タケゾウとキヨタのやり取りにサラが文句を言っている。
そんな話をしているうちにエルフの里へ到着した様だ。目の前には大きな門があり、里へ入るには審査が必要な様だ。
入り口には行列が出来ていて、里に入るためのチェックが行われている。優司達はルイが居るので問題はないであろうと思っていた。
案の定、ルイが前に進み、門番のエルフへ話し掛けた。
「族長ロナルドの孫娘ルイだ!この者たちは私の仲間だ!通らせてもらうぞ!」
言われた門番はルイの顔を確認すると、敬礼をしながら脇にどいて道を開けた。
「はっ!どうぞお通りください!」
ルイは堂々とした態度で通過した。それを見ていた全員が思った。
「・・・今、族長の孫娘って言ったよな・・・。ルイって姫君なの・・・?」
優司達一行はルイの後ろに着いてエルフの里へ入って行った。




