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第十一話　真実

「えっと、私、こんな体型ですけど……」

　しょんぼりとアンリエットがそう言うと、ガウェインは瞳を合わせて言った。

「君の心が好きなんだ。容姿なんて関係ない」

　ガウェインが力強くそう言うと、眉を寄せて困ったような表情でアンリエットが言った。

「えっと、わたし、痩せると死んじゃうので、一生このままですけどいいんですか？」

「それでもいい！！俺の妻に！！……、んん？痩せると死ぬ？」

　ガウェインは、アンリエットが自分の気持ちを受け入れてくれた事が嬉しくて、勢いよく言ったが、途中でアンリエットの言葉に違和感を感じて口に出していた。

　すると、アンリエットが昔を思い出すように言ったのだ。

「はい。幼い頃の事です。姉様から教えてもらいました。わたしは、体の中のマナが少ないので、そのままでは直ぐにマナ不足で死んでしまうと……。姉様はそんなわたしを救うために教えてくれました。マナ不足は、脂肪で補えばいいと」

「馬鹿な！！あり得ない！！」

　アンリエットから聞かされた話は、あり得ない事だらけだった。

　ガウェインに否定されたアンリエットは、目を丸くしていた。

「え？」

「マナが少ない人間はたしかにいる。だが、それで死ぬなんて絶対にない。体のマナが少なくなれば、疲労を感じるが死ぬことはない」

　ガウェインがそう言うと、アンリエットは信じられないといった顔で言った。

「えっ？死なないんですか？」

「ああ。体内のマナが少なくなっても、寝れば元の状態に戻る」

　ジェシカは、ガウェインとアンリエットの様子を離れた所で窺っていたが、まさか自分の悪事が暴かれることになるとは思ってもいなかったため、全身から汗を流して蒼白になっていた。

　ジェシカのそんな様子に気が付かないアンリエットは、さらに言ったのだ。

「それじゃ、あの時、姉様がわたしに施してくれた術式は？」

「術式？」

「はい。脂肪をマナに換える術式を施してくれたのですが……」

　アンリエットから話された内容にガウェインは、驚きの声を上げていた。

「は？そんな術式聞いたことないぞ……」

　驚くガウェインに、アンリエットは、昔を思い出すように頬に手を添えながらガウェインの疑問に答えていた。

「えっと……。昔、伯爵家で雇っていた魔法使いが術式を組んでくれたと聞いたのですが？」

　その話を聞いたガウェインは、大将首でも取らんばかりの鬼気迫る表情で、伯爵を睨み付けていた。

　射殺さんばかりの、鋭い眼光に射抜かれた伯爵は、股間が冷えた後にズボンが湿っていくの感じたがそれを気にする余裕はなかった。

　震えて掠れる声を振り絞って、ガウェインの求める答えを口にしていた。　

「彼は……、現在は……、将軍閣下の配下に……」

　それを聞いたガウェインは、配下になったという魔法使いを婚約式そっちのけで、呼びつけていた。