女の子と決闘
トラフトに戻ってきたラウラは、ギルドへ向かった。
噴水のある広場からは片道10分ほどかかるが、ラウラのステータスならば5分ほどでつく。
ギルドへ向けて歩いていくと、途中の雑貨屋の前に人集りができていた。気になったラウラは、体の小ささで人と人の間を通り真ん中まで来た。
そこには、ラウラと差ほど身長に差がない女の子が3人の外国人プレイヤーに話しかけられていた。
「なあ、なあ、お嬢ちゃん。俺らと一緒にクエストいこうぜ」
「あ、あの・・・」
「な~に、大丈夫だよ。それに俺らβテスターだから、他のやつらやより情報持ってるから」
「だ、だいじょうぶで・・・」
「ほらこっちに来なよ」
「本当にだいじょうぶですから・・・」
3人の外国人プレイヤーを怖がっているのか、女の子は小さな声しか出ておらず、男達には聞こえている様子はない。
不憫に思ったラウラは女の子と男たちの間に割り込んだ。
「あ、何だよ。嬢ちゃんも俺らとクエストいきたいのか?」
「うせっえよ、おっさん達。それとも、ロリコンさんの方がいいか?」
「てめえ、女だと思って下手に出てやれば調子に乗りやがって!」
「何だ?決闘でもやるか?今、この場で。3対1でいいぞ。こてんぱんにしてやるよ」
「なめてんじゃねえぞ。だったら、全財産を賭けた決闘だ。お前ら殺るぞ!」
「「おう!」」
『3対1の決闘を始めます』
『3』
空中にカウントダウンが出てくる。
『2』
『1』
『READY FIGHT』
カウントダウンが消え、決闘が始まる。
リーダー格の男は剣を構え斬りかかってきた。
後ろの男2人は魔法と回復担当のようで、詠唱を始めた。
「時間を掛ける気もないから一瞬で終わらせるよ」
「は、何をいって・・・」
「『我は龍。最強の種族にして敵を潰すもの』」
ラウラも魔法の詠唱を始めた。
「『原初の力を持って、敵を滅する』穿て【龍の雪吹】」
ラウラが詠唱を終え、手を相手に向けると、手から雪がブレスのように出てきた。
男達のHPは一瞬で全て削られた。
ラウラは魔力が体中を動いているような感覚に襲われたが、顔には見せなかった。
『勝者ラウラ』
『決闘に勝利したので、賭けられたものを全て譲渡します』
『報酬
・HPポーション×100
・MPポーション×50
・原初の書
・凍結の短剣
・疾風の弓
・聖なる杖
・魔王の杖
・経験値増加の指輪×3
・聖剣イグザシオン
・10578G』
「あ、あの、有難うございました。わたし、シュリって言います。フレンドになってください」
男達に迫られていた女の子が、ラウラに話しかけてきた。フレンドが増えることは嫌なことでもないので、了承する。
「ああ、分かったよ。俺はラウラ。よろしく」
ラウラが手を出すと戸惑った様子で握り返してきた。
「どうかしたか?」
「あ、えーっと、ラウラさんって男性ですか?」
「ああ。女だと思ったか?」
「はい、そこら辺の化粧を意識して付けている人よりも、よっぽど綺麗だと思いました。あっ、すいません。わたし、引っ越ししたばかりで回りの家の人たちに挨拶に行かなければならないので、失礼します」
シュリはそう言い残すとログアウトした。
ラウラもギルドで依頼の達成を報告するとログアウトした。
いつもより長かったとは思いますが、楽しんでいただけたでしょうか?
ヒロインの登場です。
今後も楽しみにして戴けると幸いです。