表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
この作品には 〔残酷描写〕が含まれています。
苦手な方はご注意ください。

そうしてお姫様は、

Fear of Friday the 13th (13日の金曜日)

作者: 東亭和子

 昨日、女が殺されたという。

 ナイフで首を引き裂かれて、道路に捨てられていた。

 金品を奪われたわけではない。

 怨恨か?

 それは犯人しか分からないことだ。


 それから毎週金曜に女が殺されるようになった。

 同じようにナイフで首を引き裂かれている。

 明らかな同一犯だった。

 警察は威信をかけて犯人を捜した。

 だが、捕まえることは出来ていない。

 人々は恐怖に慄いた。 

 次は私かもしれない、と全ての女は思った。

 金曜日は恐怖の金曜日となった。


 女達は金曜には出かけなくなった。

 それなのに女は殺され続けた。

 犯人は誰なのだろう?

 どうして殺すのだろう?

 何が目的なのだろう?

 分からないことばかりで警察も途方に暮れた。


 金曜が恐ろしいからといって出かけることを止めることは出来ない。

 私には仕事があるし、生活がある。

 気楽な主婦ではないのだから働かなければならない。

 大丈夫、夜遅くに帰らなければいいことだ。

 私が殺されることはない。

 よく分からない自信があった。


 それが間違いだと知るのは後のこと。

 仕事で遅くなってしまった私は家に向かって走っていた。

 暗い夜道は気持ち悪い。

 自然と駆け足となる。

 私の足音と共にもう一つの足音が聞こえた。

 誰かがついて来ている?

 今日は何曜日だっけ?

 そう思ってゾッとした。

 今日は恐ろしい金曜日。

 女が殺される金曜日だ。

 恐怖で後ろを振り返ることも出来ない。 

 だが、知らない誰かは確実に近づいて来ている。

 

 私は息を乱しながら走った。

 ぐいっと腕をつかまれて、首筋に冷たい感触がした。

 鋭い痛みと体から力が抜けていく感覚。

 ああ、私は生きるために働いているのに。

 それだけなのに…

 そうして私は冷たくて汚い道路に横たわった。


評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ