マグニ
『俺?俺はマグニ、マグで良いよ、君は?』
2メートルはゆうに越える大きな身体の夕焼けのような優しい赤のロボットは物怖じせずに応えた
『私は…』
『あ!もしかして君が誠一の孫なの?そうだよね?面影あるし!』
私が応える前にそのロボット…マグニさん?はまくし立てた
『人間って凄いよね!たった5年でこんな大きくなるなんてさ』
『あの…』
『で、誠一はどこ?約束の時間過ぎてるけど忙しいの?』
『…おじいちゃんは亡くなったんです、4年前に』
『え?』
『…事故で』
声が震える
もう4年前の出来事だと言うのに未だに受け入れる事が出来ない
ただでさえ目が悪いのに視界がぼやける
溢れ出した想いは止まらない
大好きだった、誰よりも
『ごめん、俺…』
『ごめんなさい、私そんなつもりじゃなくて…』
辛いのは私だけじゃない
彼だって祖父と会うのを楽しみにしていたのに
私は自分の事ばかりだ
拭っても拭っても涙は止まらない
『…』
そっと大きな手が頭を撫でた
そして彼は唄いだした
『届かなくても君を想うよ』
『君に優しさを愛を勇気を』
優しいその歌声は我慢しなくて良いんだよ、そう語りかけてくれるようだった
暫くたって私は漸く泣き止んだ
あれほど悲しかったのに今はすっかり落ち着いた
『ありがとう、素敵な歌ですね』
私がそう言うと彼は照れたのか頬をかきながら微笑んだ
『ちょっとは元気でた?』
コクンと頷く
『常磐奏、私の名前』
スマホに文字を打ちながら説明する
宇宙だけじゃなく、歌も好きだった祖父が付けてくれた
自分だけじゃなく、人と喜びという唄を奏でる子になって欲しいから奏とつけた
そう祖父は微笑みながら教えてくれたのだと
『良い名前だね』
澄んだ青空みたいな目を細めて微笑む
その笑顔はあの日の祖父に似ている気がした