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蒼き星を目指して

地球…機械人はおろか他の惑星の種族よりずっと短い時を生きる種族が治める惑星…

他の惑星の種族の受け入れどころか未だに地球人とは…同じ種族同士で争いあったりしている未開の惑星の種族

そんなネガティブなイメージが先行しがちな星にどうしようもなく惹かれたのはそこには様々な音楽があったから

争い合う半面、短い時を生きる彼らは様々な音楽で人種や言葉の壁を越えたコミュニケーションをとってる

俺にはそれがすごく魅力的に見えた


『Yeah!神さまありがとう!』 

俺っち最ッ高にツイてる

これで地球行きの上手い言い訳がつくじゃん

地球なんて野蛮な惑星を選ぶなんてブレインがおかしくなったとか口煩いアネキを説得するなんか良い情報でも無いかとネットの海をさ迷う事50年ほど100年休暇の半分で済んだ

あと半分注ぎ込めば休暇の課題も終わるオッケイ!

【常磐誠一】

若い頃は宇宙飛行士で今はNASAの宇宙開発に携わってる人か…

良いねえ、やっぱヒトなら夢が無くっちゃ

この人をダシに…じゃないレポートの課題にピッタリじゃん

そして何より最高なのは彼も俺と同じ音楽を愛する"ヒト"だって事

ネットだけじゃ知り得ない色んな国の曲について教えてもらいたいし

自分が知った色んな素晴らしい曲を分かち合いたい

残念ながら俺の住むこの星は音楽への関心事が非常に低かったりする

音痴を公言するかの有名なワーカーのリスタ・ヴィオールほど理解が全くないって訳じゃないけど俺みたいに熱中する連中はいないといっていい

同盟惑星のリザードマン達もそれは同じ

前にアカデミーでゲリラライブをやった時のなんともいえない反応ときたらもうね…

リザードマンが初めて冬ごもりする時でもあんな戸惑った顔はしないと思う

とにかく俺はこの地球研修に夢をかける事にした

地球に行って他に何が出来るかまだ分からないけど後悔はしたくない

地球なんてこんな機会じゃないといつ行けるか分からないしね


(どうかこの次はメッセージが届きますように…)

地球とこのラクリマを繋ぐ一般的な通信は物理的に距離があり過ぎるせいかあまり感度が良くない

(ワーカーは良いよなあ…もっと繋がりやすい通信があって)

繋がるまで諦めず何度も何度も通信する


自然と口から歌が溢れた

『君に伝えたい』

『暖かな愛を』

どこの誰が作ったのかわからない、昔からある愛の唄

小さい頃に親父がよくこの唄を歌ってくれたっけ


『…その唄、君は誰だい?』

『!?繋がったの!』

不思議な唄が奇跡を連れてきてくれたんだろうか

その相手は俺が探している常磐誠一その人だった

1度繋がってしまえば後は簡単なものでその日から俺と彼とのやり取りが始まった

理解のある人らしく彼は俺の事をすぐ受け入れてくれ、俺の向こうの住まいも決まった

『でさ、大変だったんだよ』

『ハハッまるで私の若い頃みたいだな』

好奇心旺盛な彼との会話は楽しくあっという間に時は過ぎ、地球へのワープの日が明日へと迫っていた

『なあマグ頼みがあるんだ』

『なに?』

『こちらへ着いたら私の孫と会ってくれないだろうか、君が着く頃には君と同じくらいの歳になる』

『もちろんさ』

『あの娘には広い世界を見せてあげたい、何より君とあの娘はきっと良い友人になれると私は思っている』

そう言って彼は笑った

そしてそれが俺が聞いた彼の最後の言葉だった


彼との約束の場所には彼の代わりに小柄な女の子がいた

俺の唄を共に歌ったあとその娘は言った



『貴方は…誰ですか』





























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