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なんとか投稿できました。
それではどうぞ。
「真っ暗だな」
「真っ暗だね」
「きゅぅ~」
俺たちの声が暗い店内に反響していた。
ティアリーの鳴き声により、不気味な空間のはずが、かなりほんわかとした空間が出来上がった。
「すみませーん!」
俺が大声でそう言うと、奥から一人の男が出てきた。
「どうした。ここには盗るものなんてもうないぞ」
「いえ、そうではなくて」
俺は咳払いをすると、話しを続けた。
「ここでマジックバッグは売っていますか?」
「ああ、そういうことか。そんなものはもうここにはない」
「では、ほかに売っている場所は知りませんか?」
「この街に鞄屋はもうここしか残ってなかったからな、ないと思うぞ。残念だったな。ほら、用がすんだのなら帰れ」
そう言って男はもとの部屋へと戻っていこうとした。
「ちょっと待ってください。なら、工房や近くで手に入れる方法はないんですか?」
「うちでも作れないわけではなかったが、今は素材がない。買おうにも売ってないものは買えないから、作るのは無理だ」
「なら、俺たちがその素材をとってくれば作って貰えますか?」
「なに? あんたらが素材をとってくるのか?」
男は大声で笑い始めた。
「あんたらには無理だよ。必要な素材を手に入れるには、そう弱くないモンスターを倒す必要があるからな」
「それなら、素材を手に入れることができたら作ってくれるということですか?」
「ああ、作ってやる」
「わかりました」
「ほれ、これが素材だ」
男はそう言って一枚の紙を投げてきた。
「ありがとうございます」
俺はそう言って店を出た。
店の前で紙を開いてみると、
魔石 5個
空間の魔石 1個
フロッガの皮 10個
インスパダーの糸 10個
ルクスパダーの糸 10個
スペースパダーの糸 1個
と書いてあった。
魔石はどうやって入手するのかわからないが、他のアイテムは近くにあった森で数個はドロップした。
ただ、スペースパダーの糸だけはドロップしていないが、同じ森で入手可能だろう。
俺はステータスを開くと、時間を確認した。
「あ、そろそろ夕食食べないと」
「リクどうしたの?」
「アクタの家に行って、そろそろ寝ないといけない時間だったんだ」
「そうなんだ…。じゃあ、集めるのはまた今度だね」
「ああ、そうだな。じゃあ、先に送還するぞ」
「うん。またね」
「ああ。“休息を与えよ。九尾の狐、フェルネ”[送還]」
俺が詠唱を終えると、フェルネの体が光りティアリーと一緒に消えた。
その後、俺は街間転移台まで行き、カルドの街にあるアクタの家でログアウトした。
こんにちはyoshikeiです。
今回も最後まで読んでくださり、ありがとうございました。
あともう少しで100話目になるので、そこまでは週一以内で投稿したい…
今後ともよろしくお願い致します。