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「おーい、ここだ~」
アクタがそう大声でPTメンバーを呼んでいた。
その声が聞こえたのか、アクタのPTメンバーたちも、急ぎ足でこっちに向かってきた。
「紹介するよ。こっちにいる弓を持っていて、なんか変なオーラをまとっているやつが、俺の友人のリクだ。こんな容姿だが、一応男だ。信じてもらえるかはわからないが」
「大変不本意な紹介のされ方をしたアクタのリアルの友人のリクです。VRMMORPGはこのゲームが初めてなので、いろいろとわからないことも多いと思いますので、ご教授いただけたら幸いです」
俺は、アクタの足をグリグリと踏みながら言った。
「リク、いたいからやめてくれ」
「ゲームなんだからいいだろ。お前の紹介の仕方が悪い」
「いや、体術はスキルをとらなくてもダメージが入るんだよ。それも、今お前のレベルがいくつなのかは知らんが、かなりダメージが多いんだが?」
そういえば、回復魔法覚えてたな。使う機会もなかったし、今使っておくか。
「仕方ない」
「やめてくれるのか?」
「いや、プチヒールをかけながらやってやる。俺の経験値になりやがれ、このバカが」
「ハイハイ、のろけるのはいい加減して、あたしたちのことも紹介してくれないかな?」
のろけではない。そもそも、男子が男子とのろけて何が・・・って、今俺は女の格好をしてたんだったな。とはいえ、アクタへのこの攻撃は現実でも効くからな、やめる気はない。
「ごめん、ごめん。今紹介するよ」
アクタがそういうと、他の人たちは一斉にこっちに顔を向けた。
「えー、右から、ロポカ、ユウ、リン、ベル、アイだ。全員βテスト時代からのメンバーで、リアルでオフ会もやったことがあるし、信頼できる人物だということは俺が保証する」
「よろしく」
「よろしくな、リクちゃん」
「よろしくね、えっと、リク君?」
「よろしく~」
「よろしくお願いします」
みんなはそう言って、頭を下げた。あとユウとか言うやつ、リクちゃん言うな。トラウマがよみがえるだろ。そう、小さいことから近所のおばさんたちから呼ばれ続けたトラウマが!
「で、本題に入りたいんだが、あまり他のやつらには聞かれたくない話なんだよな・・・」
「アクタ、この子は何をしでかしたんだ?」
「ユウ、リクがなにかをしでかしたなんて、俺は一言もいってないぞ?」
「おいアクタ、称号ってなにかヤバイものなのか?」
俺がそう聞くと、ロポカたちは全員俺の方にすごい勢いで、こっちに顔を振り向かせた。
アクタだけは頭に手を当てて、あちゃー、というような顔をしていた。
え?なに?称号ってそんなに変なものなのか?
こんにちはyoshieiです。
今回も最後まで読んでくださり、ありがとうございました。
今後ともよろしくお願いします。
次回の更新は4月30日午前9時です。