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「わ、わかった! 消す! 消すから!」
アクタはそう言うと、ウィンドウを操作して写真を消した。
「本当に消えているんだろうな」
「ああ、俺のほうに送られてきたやつはしっかりと消した」
「ならいい」
俺はそう言って、アクタの上から離れた。
「それにしてももったいないよな」
「何が?」
「いや、あの写真そこそこ可愛かったのにって思ってな。お前を知ってる人でも騙されるやつがおいと思うぞ?」
「っ!!」
俺は即座にアクタの前にファイヤーボールを作り、停滞させた。
「おいアクタ。二度とこの話をするな」
俺がドスを聞かせた声でそう言うと、アクタは慌てて話はじめた。
「す、すまん! わかった。わかったから、ファイヤーボールを消してくれ!」
「はぁ・・・。そんなに取り乱さなくてもいいだろ。お前は俺が本気で怒ったところも見たことあったと思うが、気のせいか?」
「いや、見たことはある。怖すぎて忘れられないって」
アクタが小声でなにか話していたようだが、少しやり過ぎたような気もしてきたので、仕方なくファイヤーボールを消してソファーに座った。
「そういえばリク、無詠唱が出来るようになったんだな」
「ん?」
「ファイヤーボールの無詠唱だよ。さっきやってただろ?」
「あー、確かにな」
「相変わらずコツをつかむのだけはうまいな」
「まあ、コツをつかんでからはそれまでの時間が重要になるだろ? ノータイムで出来たのは、さっきのがはじめてだからな」
「リクって怒ると本当に怖いよな」
アクタがなにか小声で呟いたため、よく聞こえなかったが、少しイラっとした。
「まあいいや。ポテトチップス食べようぜ」
「ああ」
俺たちは皿に手を伸ばしたが、
パクッ、ポリポリポリ・・・
「ふぅ。ごちそうさまでした」
「「あー!」」
フェルネにすべて食べられていた。
「あ、リク! ポテトチップスすごく美味しかった!」
フェルネは俺に向かって満面の笑みでそう言った。俺はその笑顔に向かって、怒れそうもなかった。
「まあ、いいや。これやるよ。ほとんど食べてないだろ? 調理台を使わせてもらった使用料だ」
俺はそう言ってアクタにポテトチップスをアイテムボックスから50枚ほど取り出して渡した。
余談だが、取り出したときにはすでに、袋に入っていた。
「お、サンキュー」
「ああ」
「って、ちょっとまて!」
アクタが、突然多きな声を出した。
「なんだ?」
「いや、この性能がおかしいんだよ!」
「ん? これってただのポテトチップスだろ?」
「完成度の高いものは貴重だって言ったよな!」
「ああ、確かにそんなこと言ってたような気もするが、どうしたんだ?」
「なんでこんなハイスペックなんだよ!」
「ハイスペックって、このポテトチップスがか?」
「ああ、そうだ。HPとMPの両方を回復するものはβ版でも見つけられなかったんだぞ!」
「へぇ、そうなのか。でも、回復量が少ないし、そんなに意味はないだろ?」
俺がそう言うと、アクタは呆れたようなしぐさをして話し出した。
「回復量が少ないっていっても、何枚も食べれば別だろ? それに、これは一枚でHPとMPが1ずつ回復するだけじゃなくて、アタック上昇のバフもつくんだ。回復アイテムとしても十分すぎるアイテムだ」
「へぇ。そうだったのか。アタックは俺の場合ほとんど関係ないようなものだからな」
「そういえば、まだ練習用の矢筒使ってるのかよ」
「ああ。便利だしな」
「攻撃力足らないんじゃないか?」
「コネクトアーツでなんとかなるし、最低でも1はダメージが入るからな、使いなれると結構便利だぞ?」
「やっぱり、お前ずれすぎてるって・・・」
「そうか?」
俺はアクタにそう言うと、アイテムボックスからポテトチップスを取り出して、食べた。
「うん。うまい」
こんにちはyoshikeiです。
今回も最後まで読んでくださりありがとうございました。
昨日の午前中にスマホでこの回を書いていたのですが、書いている途中で寝落ちしてしまい、データが一度消えました・・・。そんなことがありましたが、なんとか書き上げることもできたので、投稿しました。
今後ともよろしくお願い致します。