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「まあ、そんな細かいことは良いじゃない。それよりも早く行きましょう」
長谷川さんはそう言いながら俺の手を引っ張り、フォトスタジオの中へと連れて行った。
長谷川さんの手は、なんか柔らかかったです。はい。
「ただいま~」
近藤さんがそういうと、店の奥からひとりの若い男性が出てきた。
「お、優衣帰ったのか」
「うん。ただいま、お兄ちゃん」
「おう、おかえり。それで? 後ろの人たちは?」
「私の友達。それでさお兄ちゃん。今からうちのスタジオ使いたいんだけど、ダメ? できれば衣装と最近できた方のスタジオも」
「いきなり、どうしたんだ? あのスタジオを使いたいって、そっち系の友達なのか?」
「うーん、そういう訳じゃないんだけどね? ちょっと、面白そうなことをやりたいから」
近藤さんがそういうと、その人の目がキラリと光ったように見えた。
それを見たとき、俺には鳥肌が立つような感じがした。
「だがな、優衣、そういうのは本人の合意がないとダメなんだぞ?」
「大丈夫だよ、お兄ちゃん。そこら辺はしっかりと言質とってあるから」
「そういうことならわかった。父さんたちにも掛け合ってみよう」
「うん。お願い。あ、そういえば」
近藤さんはそういうと、俺たちの方を向いた。
「みんな紹介するね。この人は私の兄の祐哉。今大学え~と、何年生だっけ?」
「はぁ。兄の紹介もまともにできないのかよ。改めまして、俺は優衣の兄、近藤 祐哉だ。祐哉って呼んでくれ。あと、さん付けとかじゃなくて、呼び捨てで良い。不出来な妹だが、仲良くしてやってくれ。よろしく」
祐哉はそう言って会釈をした。そして、
「じゃあ、一回父さんたちに話してくる。参加することになるかもしれないから、説明とかよろしく」
奥へと戻っていった。
「はぁ。なんか一番めんどくさそうなのを押し付けられた気がするよ、お兄ちゃん」
近藤さんはそういうと、俺たちの方を向いて、説明を始めた。
「えっとね、うちは家業としてこうやってフォトスタジオを経営してるんだけど、一家揃ってアニメや漫画が好きでコスプレ撮影用のスタジオも新しく作ったの。今回はそこと、メインのスタジオを使うつもり。でも、私の家族は面白そうなことには目がなくて、こういうことをやるとなると参加しようとすることがあるんだよ。だから、参加することになったら、ごめんね」
近藤さんの説明が一段落着いたところで、祐哉が少し年配の夫婦をつれて戻ってきた。
「優衣、面白そうっなことってなんだ。私たちも混ぜなさい」
「そうよ。自分だけ面白いことをするなんて」
「あー、悪い、やっぱりこうなった」
話からすると、近藤さんのお父さんとお母さんだろう。この人たちも参加するのか・・・
こんにちはyoshikeiです。
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次回の更新は6月17日午前9時です。