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あのあと俺は、長谷川さんの誘いを断りきれずに、商店街の中にある喫茶店につれてこられていた。
「理巧斗君は何にする?」
「え! ああ、ええっと」
長谷川さんは微笑みながらそう聞いてきた。
俺は慌ててメニューをみる。
ここの喫茶店には、紅茶もおいてあるようで、色々なハーブティーがメニューに書いてあった。
「じゃあ、この、カモミールで」
「かしこまりました。少々お待ちください」
そう言って、店員は店の奥へと入っていった。
「あれ? こういうところに来るのって初めて?」
長谷川さんがそう話しかけてきた。
「ああ、あまり来ないな」
「へぇ、甘いものとか好きそうな感じがしたけど、違った?」
「いや、甘いものは好きだが、こういうおしゃれなところに俺だけで来ないからな。行くとしても、もう少し落ち着いたところだな。あとは、スタパとか?」
「そうなんだ。てっきりよく来るものだと思っていたけど、違ったんだね~」
「まあな。長谷川さんはどうなんだ?」
「うーん。ここは友達とはよく来るかな? 一人の時はもう少し落ち着いた別のお店に行くよ。そこには、コーヒーチケットも置いてあるくらいよく行くから、気楽だしね」
長谷川さんはそう言って笑った。
「そういえば、なに頼んだんだ?」
「ん? 私?」
「ああ」
「私はブレンドだよ。ここのお店のブレンドコーヒーはそこそこ美味しいから」
「なら、教ええくれれば良いのに」
「あはは、だって、来たことあると思ったんだもん」
「実際は一回もないけどな」
「そうだったね」
長谷川さんはそう言って笑った。
「でも理巧斗君は、なにも聞かずに、注文してたけど?」
「最近ハーブティーについて調べる機会があったからな。名前だけ覚えていて気になっていたんだ」
「そうなんだ。じゃあ、ちょうどよかったってわけだ」
「まあ、そうなるな」
「ならよかった」
「お待たせいたしました。ブレンドコーヒーとカモミールです」
話が一段落着いたところで、頼んだものが出てきた。
「ありがとうございます」
俺は会釈をしながら、コーヒーとハーブティーを受けとる。
「はい、これ長谷川さんの」
「ありがとう」
俺は長谷川さんにコーヒーを渡すと、自分の分のハーブティーを一口飲んだ。
「お、うまい」
口に含むと、ほどよく甘くリンゴの香りがして、美味しかった。
「へぇ。ねぇ、一口もらっても良い? 私のもあげるから」
「ああ、はい」
俺はそう言って、カップを渡した。
こんにちはyoshikeiです。
今回も最後まで読んでくださりありがとうございました。
今後ともよろしくお願い致します。
次回の更新はいつでしょう。
まあ、明日6月13日の午前9時には投稿します。