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「そうか・・・」
弥生がイコタの話を終えると、ルコさんはポツリとそう呟いた。
「ルコ殿、イコタは今も元気で過ごしているはずなのじゃ。そんなに心配はしなくても良いのじゃ」
「この身ももう、そう長くは持たんじゃろう。その前に一度会っておきたかったのじゃがな、むしろこんな老いぼれがあってはなすようなことはもうないのだろうな」
ルコさんは悲しそうに下を向いた。
やっぱりルコさんはイコタに会いたかったようだ。俺にも案がないわけではない。ただ、そんなに早く完成するとは思えないので、時間や俺自身の技術が追い付くかということが問題になる。
正直出来るかどうかがあやふやなものは言いたくない。だが、この状況で言わないのは気が引ける。
「ルコさん、会う方法なら俺に考えがあります」
「どんな方法があると?」
「お主、いきなりどうしたのじゃ?」
弥生は怪しんでいたようだった。
「いや、作れるかどうかはわからないが、方法がないわけじゃないからな。歩けなくても移動するだけなら出来る。なら、移動用の物を作れば良いだろ?」
俺はそう言った。
「リクさんにはその移動用のものが作れると?」
「はい。どのような物かは考えてあります。ただ、完成させることが出来るかどうか分かりませんが」
「それでも、会うことが出来るかもしれないなら、十分じゃ。お願いします」
ルコさんはそう言った。
「わかりました。やらせてもらいます。では、そろそろ」
「ああ、長い間ありがとう。また来ておくれ」
「はい。それではまた。弥生、行くぞ」
俺はルコさんにそう言って、外に出た。
「あ、他の生産用道具を買うの忘れた」
思いっきり忘れていたが、まあ、今度きたときに買うことにしよう。
こんにちはyoshikeiです。
今回も最後まで読んでくださりありがとうございました。
今後ともよろしくお願い致します。
次回の更新は6月10日午前9時です。