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「うむ、まあこれなら合格で良いじゃろ」
「アーツって誰が使っても同じじゃないのか?」
「アーツとな? ああ、技のことじゃな。誰が使っても同じというわけではないのじゃ。技はイメージによって左右されるものじゃからの、むしろ同じという者のほうが珍しいのじゃ」
「そんなもんか」
「うむ」
弥生は大きく頷いた。
「まあ、そんなことはどうでもよい。教えることが1つ減ったからの、妾としては楽になったのじゃ」
弥生はそう言って、笑った。
「ふぅ、さて、次は入れ方じゃの」
「早いな。どうやるんだ?」
「うむ、基本的には他の茶葉と同じじゃの。沸騰させたお湯を少し冷ましてから、茶葉をいれたポットに注いで5分くらい蒸らす感じじゃ」
「え? それだけなのか?」
「そうじゃぞ? 他に何かあると思ったのか?」
「あ、ああ。もう少しなにかあるのかと、」
「そんなわけないのじゃ。お茶は入れ方に多少の差はあっても、ほとんど同じじゃ。まあ、色々なものがあるからの、どんなものでも一番美味しくいれようと思ったら、覚えることは多いのじゃ」
「へぇ」
「ほれ、早くやってみるのじゃ」
「わかった」
俺は弥生にせかされつつ、お茶を入れた。
「ふぅ、これであとは待つだけだな」
俺はお湯をポットにいれ終わり、そう呟いた。
「お主、何を休もうとしておるのじゃ。3分もあれば他にやれることがあるじゃろ。早く動かんか」
「え? なにかあるのか?」
「はぁ、そんなことも知らんのか。カップを温める、お茶請けを用意するなど、色々あるじゃろ」
「そうだったのかよ。そういうことは先にいってくれ」
「こんなことは常識じゃ」
「いや、常識じゃないって、知らない人のほうが多いだろ」
「そうなのか? これも時代の流れというやつかのぉ」
弥生は遠くを見るような目をして、そう言った。
「まあよい。早く動かんか」
「はいはい」
俺はそう言って、また動き始めた。
「もうすぐ5分たつのじゃ。準備は終わっておるかの?」
「ああ、なんとかな」
ポットの近くに戻ってくると、弥生に聞かれた。残念ながらお茶請けは持っている食材が野菜しかなかったため、作れなかった。
せめてフルーツがあればよかったんだがな。
「本当はお主が時間を測らねばならんのじゃからな」
「わかってる」
「ほれ、5分たった。カップの中のお湯を捨ててお茶を注ぐのじゃ」
「あれ? リビングで飲まないのか?」
「まあ、普通はそうじゃろうが、これは練習じゃ。ここで少し飲むくらい問題ないのじゃ」
「そういうことか」
「うむ、それに、持っていく時間がもったいないじゃろ?」
「よくわからんが、そんなものか」
「そうじゃ。今度からはしっかりするのじゃぞ」
「おう」
それから、俺たちはお茶を飲んで、まったりした。
かなり長い時間まったりしたのだった。
こんにちは、レベリングについて1つの反応もなかったため、少し落ち込んでいるyoshikeiです。
今回も最後まで読んでくださりありがとうございました。
本当に、一人くらい反応してくれてもよかったじゃないですか。せっかくなにか反応がもらえるかな、と期待していたのに、なんの反応もないとか、悲しいです。悲しすぎます。
まあ、そんな作者の個人的な意見は置いておきましょう。
今後ともよろしくお願い致します。
次回の更新は6月5日午前9時です。