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「は?」
俺は、弥生が転生体だと言うことがよくわからなかった。
え? なに? このゲームって転生とかあるの?
「まあ、そのような反応をするのが妥当じゃろうな。じゃが、人間の中にも能力値を上げたものは転生するはずじゃが?」
「そうだったのか」
どうやら、このゲームは転生システムが導入されているらしい。
となると、レベルの限界っていくつなんだろうな。
「知らぬのならそれでもよいのじゃ。妾はその転生体の中でも特殊な例のようでの、この1つのからだの中に、あやつと妾の2つの魂が入っているのじゃ。そのためなのか、こんなめんどくさいことになってしまったのじゃ。まあ、転生体じゃからの、転生前のスキルは持っておるし、この体になってから能力値も多少は上げた。それに記憶もほとんどが残っておるから色々なことを知っておる」
弥生はそう言って話を終えた。
「そうか。まあ、フェルネも弥生もどっちでも良いや。同じ仲間ってことで、これからもよろしくな」
俺がそう返すと、弥生は少し驚いたような顔をした。
「お主は怖いとは思わんのか?」
「何をいっているんだ? どのみち同じだろ? それに俺はこれでも中身は男だ。多重人格くらいで怖がるようなことはない」
「そうか。あやつは良い主人に巡りあったのじゃ」
「ありがとよ」
「お主が怖がらないのなら、それでよいのじゃ。ほれ、ハーブティーの入れ方を教えてやるのじゃ。さっさと出さんか」
弥生は笑顔になると、ハーブを要求した。
「わかったよ・・ほい」
俺は全種類のハーブを生の状態で弥生の前に出した。
「青や紫、オレンジまであるのじゃ。珍しいものを持っておるのじゃな」
「え? 珍しいのか?」
「うむ。良い土地でしか育つことがないものなのじゃ。今はどうなっているかはわからんがの」
「うまいのか?」
「もちろんじゃ。転生前の時代では良い土地でしか育たんかったゆえのぉ、かなり高値で取引されていたのじゃ。それに、青は水が豊富な土地、紫は塩分と水分が豊富な土地、オレンジは養分が豊富な土地でしか育たんのじゃ。全部をてにいれるのは大変だったのじゃ」
「へ~」
「久しぶりによいものが見れたのじゃ。まあ、今回使うのは赤だけでよい。この中で一番数が多いのじゃろう?」
「まあ、そうだな」
「ならば、それで練習するのじゃ。さあ、調理場へと向かうぞ!」
弥生は元気にキッチンへ歩いていった。
「まずは、乾燥したものからじゃの。お主、料理ができたと言うことは料理スキルを持っているのじゃろ? 乾燥をするのじゃ」
「わかった」
弥生は張り切りながら、俺の前にお皿に入った赤いハーブを出してきた。
張り切りすぎて、カップとか落とさなければ良いが、大丈夫だろうか。
俺はそんなことを考えながら、アーツを使った。
「“この物を温めて干せ”[乾燥]」
アーツを使うと、先程と同様にハーブはしぼんでいった。
こんにちはyoshikeiです。
今回も最後まで読んでくださりありがとうございました。
どうしてこうなったのかよくわかりませんが、今後ともよろしくお願い致します。
次回の更新は6月4日午前9時です。