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俺はアイテムボックスのなかに眠っていたハーブを一通り取りだし、どうやってお茶にしようかと悩んでいた。
ネットで調べたところ、乾燥させていないハーブを使う、フレッシュハーブティーや、乾燥したハーブを使うものなどがあった。なんとなくスキルを見ていくと、【調薬】と【料理】に乾燥させることが出来るスキルを見つけた。
「名前は違うけど、効果って違うのか?」
俺はよくわからなかったので試すことにした。
赤いハーブをとり、皿の上に置き、他のハーブはアイテムボックスのなかにしまった。
「よし、まずは料理スキルの方から試してみるか。“この物を温め干せ”[乾燥]」
すると、赤いハーブは湯気を出しながら水分が抜けていった。
変化が終わってから手にとってさわってみると、柔らかくほどよい乾燥具合だった。
「じゃあ、次は調薬スキルだな。“水分を抽出せよ”[脱水]」
調薬スキルを使ってみると、赤いハーブの中から液体が出てきた。きっとこれは水だろう。
料理スキルの時と同様に手にとってさわってみると、ポロポロと崩れていった。
「あれ?」
どうやら乾燥しすぎのようだった。お茶を作るのにここまで乾燥していると、使い物にならないだろ。
「まあ、調薬スキルだし、仕方ないか」
そう呟き、粉状になってしまった赤いハーブをアイテムボックスにしまった。
すると、アイテム名が変わっており、赤い粉末となっていた。気になったため説明を見ると、分類上は食材でどうやら食紅と同じような効果があるようだった。
「ハーブの粉末が着色料かよ」
俺はそうぼやきながら、料理スキルによって乾燥させた赤いハーブを使い、お茶を入れた。残念ながら正しい入れ方など知らないし、そもそもリアルでもお茶の葉によって入れ方が違うらしいので、透明なポットにハーブを入れてその上から沸騰させたお湯を注いだだけだった。
30秒ほど蒸らすと、ポットからハーブの良い香りが漂ってきた。
「そろそろできたのか?」
よくわからなかったが、ポットの側面から中を見てみると、色がついていたのでたぶんこれで完成だと思う。俺は取り出してあったカップとお茶を入れたポットを近くにあったお盆の上にのせ、弥生のいるリビングへと向かった。
俺は中央のテーブルに着くとカップを置き、お茶を注いだ。
「ほい」
お茶を注ぎ終わると、2つあるカップのうちの片方を弥生の前に移動させた。
「ほう。お主の入れたものか?」
「ああ、一応な」
「そうか。赤いハーブで作ったハーブティーじゃな」
「そうだ。よくわかったな」
「当たり前じゃ。それくらいは知っておる。それにしても入れ方が雑じゃの。お主が作ったのか?」
「ああそうだよ。悪かったな下手で」
「まあ、そう怒るでない。これがはじめて作ったものなのじゃろ? 最初から上手に出来るものはおらんのじゃ」
「そうですかい」
俺は少しふてくされていた。
どうしてこんなちびっこにこんなことを言われなきゃならんのだ。
そんなことを考えていると、弥生が はぁ とため息をついた。
「お主、まだ赤いハーブはあるかの?」
「ああ、使い道がなくてかなり多く残ってる」
「使い道がないと言うと、自分で摘んできたたやつじゃな。ということは生のものがあるじゃろ、それを出せ。妾が作り方を教えてやるのじゃ」
「いや、どう見ても俺よりも年齢の低いやつがなに言ってんだよ」
「まあ、この姿ではそうとられても仕方ないじゃろうな」
「どういう意味だ?」
俺がそう聞くと、弥生が お主なら大丈夫じゃろ と言って、話始めた。
「妾は世に言う転生体じゃ。現世の記憶がある。まあ、そのせいで金毛九尾になったのじゃながな」
こんにちはyoshikeiです。
今回も最後まで読んでくださりありがとうございました。
今後ともよろしくお願い致します。
次回の更新は6月3日午前9時です。