56
そういえば、ここのキッチンって使ってもいいのか?
ふとそんなことを思った俺は、アクタにチャットを繋いだ。
『おう、リクか。どうした?』
「今、大丈夫か?」
『もちろん。街をぶらついているだけだからな』
「そうか、今お前の家にいるんだが、キッチンを使えないか、と思ってな」
『そんなことか。その家にあるものはおおよそ自由に使ってもらって構わないぞ』
俺はアクタの貰った腕輪の効果を聞いていないことを思いだし、ついでに聞くことにした。
「ありがとな。じゃあ、もう1つ」
『なんだ?』
「お前が貰った腕輪あっただろ? あの効果を聞きたくてな」
『ああ、あれか。あの腕輪の効果は取得経験値の上昇だった。まさに名前の通りだな』
チャットの向こうでアクタが笑っていた。
たしか名前は レベリング(腕) だったはずだ。
その名前で、効果が取得経験値の上昇とか、どう見てもネタ装備でしかないだろ。
俺は心のなかで運営に突っ込みをいれた。
「詳細は?」
『普通は明かさないような気もするが、まあお前なら大丈夫か。その代わり、お前の貰ったアイテムの詳細も教えてもらうぞ』
「もちろんだ」
『あの装備の効果は取得経験値の1割上昇と耐久値の自動回復だった。耐久値の自動回復は文字通りこのアクセサリーの耐久値が時間で回復していく。全壊以外なら修復が可能みたいだ』
「かなり有用なアイテムじゃないか?」
『だな。譲渡も可能みたいだから、ギルドとかで管理するレベルのものだろうな』
「なあ、俺にも貸してくれ」
『まあ、必要なときがあったら貸してやるよ』
「サンキュー」
『おう、で、お前の貰ったアイテムは?』
「それがまだ使ってないんだよ。説明欄にも俺の分のアイテムは譲渡不可って書いてあるだけで、他には書いてない」
『うわ、怪しい装備だな』
「ま、この後にでも使ってみるさ」
『わかったら、次にあったときにでも報告してくれ』
「おう」
俺はアクタとのチャットを切り、キッチンへと向かった。
「さて、お茶でも作るか」
俺は棚からカップとティーポットを取り出した。
「そういえば、茶葉って乾燥されたものしかないよな」
実を言うと、市販の茶葉を買って、入れ方などは特に気にせずに作っていた。そのため、どのように作るのかはあまり考えたことがないのだ。
「仕方ない。ネットでも使うか」
俺はメニューの中からインターネットを開き、お茶の入れ方を調べた。
その結果、多すぎてよく分からないということがわかったのだった。
こんにちはyoshikeiです。
今回も最後まで読んでくださりありがとうございました。
今後ともよろしくお願い致します。
次回の更新は6月2日午前9時です。