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「りく~」
カルドの街につくと、フェルネは手を振って俺を呼んでいた。
俺はあわてて、駆け寄った。
「フェルネ、先に行くなよ。それと、大声で呼ぶな」
「? なんで?」
「いや、わかるだろ?」
俺は理解してくれと願いを込めながら、フェルネを見つめた。
「ああ、恥ずかしいんだ」
フェルネ、それは言うなよ・・・
俺が言わなかったことを、普通に暴露したフェルネは悪びれる様子もなく、「そんなことより」と話を始めた。
「早くいかなくてもいいの?」
仕方ないか。
俺は、はぁ、とため息をつくと諦めて、この事は考えないようにした。
「ああ、まだ時間も早いから、いま行くのは非常識だろ?」
「あ、そっか。じゃあ、これからどうするの?」
「もとは宿屋に行ってもらったアイテムの確認をするつもりだったけど、アクタが部屋に入れるようにしてくれたからな。そこに向かうよ」
「わかった。アイテムの確認ってことは、わたしも必要だよね?」
「まあ、そうだな」
「わかった。ちょっと眠いけど、頑張る」
フェルネはそう言うとあくびをした。
もしかして活動可能時間とかあるのだろうか
そんなことを考えながら歩いた。
しばらくすると、アクタの家に着いた。
「フェルネ~、階段があるから気を付けろ~」
ふらふらと危なっかしい歩き方をしているフェルネの肩を揺すりながら、起こす意味もかねて声をかける。
「はぁ~い」
どうやらかなり眠いようだった。
仕方ない。手でも引っ張ってやるか。
俺はそう思い、フェルネの手をとった。
「ふゃあぅ!」
手を握ったとたん、フェルネが変な声を出して、飛び上がった。
「どうしたんだ?」
「ふぇ? ん? ここはどこじゃ?」
どうやらかなり前から眠っていたようだった。
俺は少しあきれながらも、説明を始めた。
「アクタの家の前だ。今日は朝まではここにいる予定だ」
「そうか。で、お主は何者じゃ? もしや怪しい者じゃあるまいな」
「は? フェルネ、どうしたんだ?」
「お主は何をいっておるのじゃ? 妾は弥生じゃぞ?」
「おいおい、フェルネ、いい加減目を覚ませ。お前、寝ぼけすぎて変なことになってるぞ?」
「じゃから、お主は先ほどから何をいっておるのじゃ。妾はフェルネなどと言う者ではないと言っておるじゃろ」
「は?」
俺はおかしく思い、メニューの中のテイムしたモンスターを開いた。
すると、いつもはフェルネと表示されているはずのところに《弥生》と表示されていた。
どう言うことだ?
こんにちはyoshikeiです。
今回も最後まで読んでくださりありがとうございました。
さて、実は5話ほど前からリアルの方の書き置きがなくなりまして、そのまま書いている状況にあります。
つまり、ここに書いているものはまるっきり原作もなにもない完全なオリジナルです。そのため、変なことがおこりやすいです。
何が言いたいのかともうしますと、フェルネがなぜかこんなことになりました。
これは作者も予想していなかったことで、今後どうなるのか全くわかりません。たぶん暴走ぎみになると思いますが、面白い作品が書けるように頑張りますので、これからもよろしくお願い致します。
次回の更新は5月31日午前9時です。