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「いや、前の街にも街間転移台はあったはずだろ? まさか知らないのか?」
俺とフェルネは一緒に頷いた。
「まじか・・・」
「で、なんだよ。その、街間転移台って」
俺が聞くと、アクタははぁとため息をついて、説明を始めた。
「街間転移台ってのは、名前の通り街の間を一瞬で行き来することが出来るものだ。
1時間に1回しか使えないし2つ以上離れた街に行く場合は、間にある街の数に比例してロアを取られるけど、便利だからみんな使ってるぞ。だから、次の町に行ってから、転移台を使って戻ってくれば効率はいいんだよ。このまま街に戻ると、またボスと戦わないといけないけど、やるのか?」
「いや、いい。わかった。じゃあ、次の街に行こう。フェルネもそれでいいよな」
「もちろん」
「だったら、急ぐか。次の街の方が落ち着けるだろうからな」
「わかった。よろしくな」
俺がそう言うと、アクタは「おう」と言って、走り出した。
数分間走り続けていると、街が見えてきた。
「リク、フェルネさん、もう少しスピードをあげたいんだが、大丈夫か?」
アクタがそう聞いてきた。俺は称号をOFFにするのを忘れていたため、かなり余裕があった。たぶんフェルネも余裕があっただろうと思う。そこで、俺は面白いことを考えた。
「なあ、どうせなら競争しないか?」
「競争って街の前まで速さを競うってことだよな?」
「もちろん」
「わたしはいいよ~」
「俺もいいけど、大丈夫か?」
「大丈夫だ。じゃあ、アクタが合図を出してくれ」
「わかった」
アクタはなにも聞かずに了承してくれた。
俺たちは街から 400m くらいのところで止まり一列にならんだ。
「じゃあ行くぞ」
「うん」
「ああ」
「よーい・・どん!」
俺たちは合図と共に走り出した。
その結果、アクタはステータスの差によって置いていかれ、俺とフェルネの勝負となってしまった。
「やっぱり、フェルネは俺についてこれるか」
フェルネに話しかけると、息が上がった様子もなく会話ができた。
「もちろん。もっと早くてもついていけると思うよ」
「じゃあ、やるか?」
「もちのロン」
「おーい、アクター。さき行ってるぞ~。っと、よし! やるか」
もちろん、この会話をしている間も走っている。
「わかった。せーの」
「「どん!!」」
俺たちはさらにスピードを上げて、走った。
だが、さっきから走る続けていたため、すぐにゴールについてしまった。
「ふぅ。短すぎて、あんまり差が出なかったね」
「そうだな。アクタとはあんなに差がついてしまったがな」
アクタとは、およそ 100m ほど空いていた。
俺たちは笑いながらアクタが来るまで話し合っていた。
余談だが、俺とフェルネの競争の結果はついていない。また機会があれば、やることにする。
こんにちはyoshikeiです。
今回も最後まで読んでくださりありがとうございました。
今後ともよろしくお願い致します。
次回の更新は5月28日午前9時です。