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フェルネがアーツを直撃させると、ボスのHPは俺の予想通り2割近くまで減っていた。
俺はその事を確認すると、矢を射りつつ次の指示を出した。
「アクタは俺がHPが減り次第ヒールをかけるから、タゲよろしく!
フェルネはヘイトをとりすぎないように遊撃! 大技が来そうだったら、離れるかノックバックで中断させろ!」
「!! 了解!」
「うん!」
指示通りアクタは時々攻撃を受けながらも、しっかりとタゲをとってくれていた。
そして全員のMPが全回復に近くなってきたところで、最後になるはずの指示を出す。
「10秒後に二人は、最大威力で攻撃!」
「「わかった!」」
俺は二人の言葉を聞くなり、早口で[火矢]の詠唱を始めた。
「“我が矢に火をまとわせよ。敵を突き刺し、炎をまとわせよ”[火矢]」
ヒュッ・・・ドオォォォン
「ウガァァァァァ」
俺の[火矢]が当たると、ティドライノは大きな声で叫び、ノックバックを食らっていた。
「いまだ!」
「[アクセルブリュット]ぉ!」
「[孤拳風陣]!」
「ガァァァァ・・・」
《フィールドボス ティドライノ の討伐に成功しました。次の街に行けるようになります》
《ドロップアイテムを入手しました》
《称号を入手しました》
「「「よっしゃ~(やった~)!」」」
俺たちは目の前にウィンドウが出た瞬間、抱きつきあって喜んだ。
きっとこの光景を見ていた他のプレイヤーがいたのならアクタに対してこう思っただろう。
このリア充め! 美少女二人に抱きつかれるなんて爆発しろ!
と。幸いといっていいのかどうかはわからないが、ここはボス用の専用フィールドだったため、他のプレイヤーが見ていることはなかった。
「で、これからどうする?」
アクタが俺たちにそう聞いてきた。
「これからどうするって、次の町にいくんじゃないのか?」
「いや、今ならゲーム内では夜だし、他のプレイヤーが来る可能性も少ない。だから、ここで休むか? ということだ」
「なんだそういうことか。俺はどっちでもいいけど、フェルネはどうしたい?」
俺はフェルネにそう聞いた。
「でもその前にりくは、ルコさんのところにいかなくてもいいんですか?」
ヤバい。すっかり忘れてた。
「そうだったな。じゃあ、アクタ、そういうことだ。俺は一旦街に戻る」
俺がアクタに告げ、戻ろうとしたその時、
「だったら次の町に行って、転移すればいいだろ?」
「「へ?」」
アクタの言ったことが理解できず、二人ともが聞き返してしまった。
こんにちはyoshikeiです。
今回も最後まで読んでくださりありがとうございました。
今後ともよろしくお願い致します。
次回の更新は5月27日午前9時です。