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「ふぅ。着地成功」
「フェルネ、いきなり引っ張るなよ」
俺はあきれるようにして、そう言った。
「ごめんごめん」
「まあ、いいか。で、どうする?」
「あれ? 知り合いのところにはいかなくてもいいの?」
「あ、そうだった」
しまった。アクタのことすっかり忘れていた。
「じゃあ、行くか。フェルネはどうする? 帰るか?」
「うん。そんなに面白いって訳でもなさそうだから、そうする」
「わかった。じゃあ、またな“休息を与えよ。九尾ノ狐、フェルネ”[送還]」
「じゃあ、またね」
俺の詠唱が終わると、フェルネは光だしそう言って消えた。
「さて、行くか」
俺はマップを開きながら、アクタの家へと向かった。
「ここか」
アクタの家の前につくと、
「お、リクじゃないか。なんだ、もう終わったのか?」
後ろからアクタが話しかけてきた。
「おう、まあ転移台にびびりはしたけど、なんとかな」
「そうか。ま、入れよ」
「悪いな」
俺はそう言って、なかに入った。
「へぇー。かなり広いんだな」
「まあな。自分用の拠点だが、βからあまり使わなかった金もあったし、この際でっかいやつを買おうってことで奮発してみた」
「へぇ~」
俺はそう言いながら、部屋を見回した。
内装はかなりしっかりと綺麗に作られていた。
「大きな家のわりには、ものが少なすぎやしないか?」
「まあ、まだ攻略もほとんど進んでないからな。ここに置く必要があまりないんだよ」
「そうなのか」
「おう、そんなもんだ。立ち話もなんだ。座れよ」
アクタはそう言って、俺をソファーへと案内してくれた。
「ちょっと待ってろ」
俺がソファーに座ると、アクタは別の部屋へと移った。
数分後、アクタは手にティーポットとカップを持って来た。
キッチンにでもいっていたのだろうか。
「ほらお茶だ。料理スキルがないから、そんなにいいものじゃないが、よかったら飲んでくれ」
そう言って俺の目の前に紅茶のようなものが注がれた。
「お、サンキュー」
「じゃあ、早速話してもらうぞ」
アクタはそう言って、顔を近づけてきた。
「わかってるから、顔を近づけるな。気持ち悪い」
俺がそう言ったとたん、アクタがいきなり胸を抑え
「グハァ!」
と言った。
あからさまに演技だったのと、ゲームのなかだということもあり心配はしなかったが、俺も仕方なく心配したふりをした。
「どうしたー、なにかあったのかー」
ふりなので、完全に棒読みで、気持ちなどは一切こもってなかったが・・・
こんにちはyoshikeiです。
今回も最後まで読んでくださりありがとうございました。
ここから1時間ごとにあと2話投稿します。
書き上げてはあるので安心してください。