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主人公のリアルの話が入ります。
「フェルネ、俺の両親は、いなくなったんだ」
俺はゆっくりと、話始めた。
「原因は交通事故だった。もう少しで1年が過ぎる」
「そんな・・・」
フェルネはかなり驚いたようだった。
まあ、いきなり親が死んだって聞かされれば、驚くか。
「夜、母が父を迎えに行った帰りに車が大型トラックと衝突してな、死んだんだ」
フェルネは耳を傾けるようにして静かに聞いていた。
「あっけなく死んだんだ。
それから俺は叔母のところに引き取られて、そこで育てられている。
そこの中学でもこの話はそれなりに有名でな、みんな俺から避けるようにしていたし、話すことがあったとしても人の死に関しては意図的に避けられていた。
1年もたったんだ。心のなかでは整理がついたと思ってた。
親が死んだことに関しては吹っ切れたと思ったが、まだ残っていたようだ。
さっきは、急に泣き出したりして、ごめんな」
「いえ、謝らないでください・・・」
俺が話終わると、フェルネはそれっきり黙ったままだった。
「ありがとな、聞いてくれて。かなりスッキリした」
「はい・・・」
「なんだよ、フェルネが悲しくなることなんてないだろ?
お前は明るいままでいてくれ。
これは俺の気持ちの問題だ。俺が自分で気持ちを整理しなくちゃならないんだ。
だから、この話は気にしないでくれ。
時間はかかるだろうが、その内慣れるだろうからな」
そう言うと、フェルネは深呼吸をした。
「ふぅ。やっぱりこの話をされて、気にするなってことが無理だよな」
「まあ、すこしは気になりますけど、りくが必要ならまたやってあげますから」
そう言って、フェルネは笑顔になった。
「わぁ、すごい・・・」
フェルネが外をみると、そう言った。
なんだろう。と思い、俺も外に顔を向けた。
「すごい・・・」
その一言につきた。
とてもきれいな夕焼けが見えていた。
その手前にあった浮遊城が夕焼けに被さり、幻想的な景色を産み出していた。
「きれいだな」
「はい」
俺たちは日が沈むまで、見続けた。
「きれいだったね~」
「そうだな~」
俺たちは夕日を見終わると、帰ろうとしていた。
それは当然、また転移台に乗るということで、
「りく、乗らないの?」
「フェルネは乗らないのか?」
やっぱりこうなった。
「行きにもう乗ったんだから大丈夫だよね?」
「いやいや、乗ってない人が先に乗るべきだろ」
「私人じゃないですし、私はかよわい女の子ですよ? ここは男の人が先に乗るべきなんじゃないですか?」
いつもは男扱いしないくせに、こういうときだけはするのか。
もしかしてフェルネって中に人でも入ってるんじゃないのか?
そんなことを思った。
「レディーファーストだ。お先にどうぞ」
「いえ、山ノ撫子のように男性の3歩後ろを歩きますよ。ということで、お先にどうぞ」
「前回は俺が先に行ったから、今回はフェルネが先だな。あと、大和撫子だろ?」
「え? 山ノ撫子ですよ?」
「大和なd「えい!」
フェルネは俺が気を抜いた瞬間に思いっきり引っ張り、一緒に転移台の上に乗ることになった。
最初から一緒に乗れば早かったんじゃね?
こんにちはyoshikeiです。
今回も最後まで読んでくださりありがとうございました。
今日はあと3話は投稿できると思います。
お楽しみに~