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御伽話回です。
「あ、待ってくださいよ~!」
そう言いながら追いかけてきたフェルネと合流し、見渡せる場所へと移動した。
「ふぁ~、すごいですねぇ~」
「ああ、すごいな・・・」
俺たちは景色をみて、驚いていた。
草原や森林、街、海が様々な場所にあり、すごくきれいだった。まさに絶景だ。
ただ、一つだけ気になるものがあった。
「なあフェルネ、あの空中に浮いているものはなんだ?」
そう。城のようなものが、空中に浮いていたのだ。
「え? 知らないんですか? 魔剣ファレイと空中迷宮って話しに出てくはずですよ?」
「ああ、知らない。なんだその話しは」
「仕方ないですね。わたしが教えてあげましょう。といっても御伽話なので、面白くないかもしれませんけど、それでもいいですか?」
「ああ、もちろんだ。頼む」
「わかりました」
フェルネはこほんと咳をすると、話し始めた。
「昔々、この世界には魔法がすごく発達した魔族の国がありました。
その国の名はマカラ。マカラは海と山に囲まれ、他の国とはあまり交流を持たない国でした。
マカラの山にはミスリルやオリハルコン、アダマンタイトなどの貴重な資源がたくさん眠っていました。
マカラの王は魔王と呼ばれ、国の民からは慕われ、財政でもとても優秀な方でした。ですが、魔王はかなり特殊な人でした。どこからともなく、この世界にはないものを発案しては実現させ、新しいものを作り出していったのです。
ある日魔王は家臣に言いました。
「そうだ。魔法が使えるような剣はないのか?」
そう聞かれた家臣たちは、その意味すらよくわかりません。魔法というのは詠唱と自信の中にある魔力を使用してやっと出来るものです。中には魔法陣と言った、詠唱を省略するための道具もありましたが、素材となるものはミスリルなどの貴重な資源が必要でした。
魔法が使えるような剣と言われた家臣たちは、考えました。
そして、それらの金属で作り魔法陣を掘り込んだ剣のことなのではないかと思い、王に尋ねました。
「魔法陣を剣に掘り込んだ物のことですか?」
それを聞いた王は
「違う違う。その剣自体が魔法を使うんだ。魔法陣だと、詠唱をしないと使えないだろ? そうじゃなくて、もっと誰でも魔法が使えるようになる剣みたいなものだよ」
と言いました。
家臣たちは、混乱しました。詠唱をしなくても誰でも魔法を使えるようにするという技術はマカラにはありました。魔石に魔法を封じ込めるのです。ですが、魔石自体が高価なもので、魔法を込めるのはとても難しかったのです。
家臣たちは諦めて、正直に話しました。
「申し訳ございませんが、そのような剣は私どもの知る限りでは、存在しないと思われます」
すると、魔王は
「よし。じゃあ、作ろう」
と言いました。
こんにちはyoshikeiです。
今回は御伽話回となりました。
まだ続きますが、今日中に終わると思います。